Q&Aのタイトル(病巣感染編)
 
 
「概要」
 
 体の一部に慢性感染病巣(細菌が慢性的に存在し、軽い炎症を起こしているところ)があり、この病巣自体はあまり症状を示さないか、時にわずかな違和感が生じる程度なのに、その病巣とは、まったく関係なさそうな臓器に障害が出てきてしまい、二次的な病気が起こってしまうのが病巣感染です。
 
 
Q.病巣感染となる慢性病変の起こりやすい場所は?
 
A.口の中の慢性感染病巣としては、扁桃腺炎、歯周病、根尖性歯周炎(根尖病巣)などがあげられます。
 まず第一は扁桃腺炎です。カゼをひいて喉が痛い、扁桃腺が腫れたなど、体の防御能力がおちると、よく症状を示すところです。つまり、慢性的に細菌が侵入してしまう場所です。
 次にあげられるのは、歯です。口の中は、体の中でもっとも細菌が住みつきやすい場所なのです。口の中には、300種類以上の細菌が数千億個も存在しています。
 細菌の餌である食べ物のカスをしっかり取らない人の口の中には、その数倍の細菌が心地よく暮らしていて、その住みかを広げようと、歯の溝のなか、歯肉と歯の境目のなかへ、と侵入していきます。そして、慢性的に細菌が繁殖する病変(むし歯、歯周病)となり、体内に細菌を送り出す、または細菌の毒素を送り出す基地として、存在するようになるわけです。
 
 
Q.感染病巣の被害を受けやすい場所は?
 
A.では、私たちの体の一部の感染病巣の存在により、被害を受けてしまうのはどんな場所、どんな臓器なのでしょうか。それは、心臓、腎臓、肺、皮膚、胃、そして胎児などです。
 その二次疾患としては、次のようなものがあげられます。
・腎疾患
・リウマチ性疾患(リウマチ熱、リウマチ性関節炎)
・循環器障害(心内膜炎、心筋障害、冠動脈障害)
・皮膚疾患(掌蹠膿疱症、結節性紅斑、多型滲出性紅斑、膿疱性細菌疹)
・胃潰瘍、胃癌
・低体重児出産、早産・・・など
 
 
Q.なぜ病巣感染が起こるのか?
 
A.病巣感染が起こる理由としては、次のような点が指摘されています。
・細菌が病巣から、血管を通って他の部位に住み着く(菌血症)
・細菌の毒素、代謝産物が血管を通って体内を巡り、沈着することによる感染防御反応
・細菌、細菌の死骸、毒素、代謝産物に対する抗体によるアレルギー
・持続的な病変からの刺激による神経系(自律神経)の過剰な反応・・・など
 
 
Q.歯周病・根尖性歯周炎(根尖病巣)とは?
 
●歯周病とは・・・
 
A.しっかり噛むためには、歯の根の部分が骨に植わってなければなりません。一方、歯の頭の部分は口の中に出ていなければならず、歯と歯肉の境目という、硬い組織と軟らかい組織が接する部分ができてしまいます。
 この歯と歯肉の接する境目には、歯肉溝という溝があります。ここで細菌が繁殖し、歯と歯肉を剥がすことによってその溝を深くし、その炎症により骨が吸収されていく病気が歯周病です。
 そして、剥がされて深くなった溝を、歯周ポケットといい、その名のとおり細菌、その代謝産物を貯めておくポケットのようになってしまいます。その中で細菌は、多量の毒素を出すため、歯肉の腫れ、出血、膿が出るなどの症状を示し、歯を支える骨が溶け、歯がグラグラしてきます。これが歯周病の特徴です。
 
●根尖性歯周炎(根尖病巣)とは・・・
 
A.むし歯が進行し、歯髄(神経・血管などがつまっている空間)にまで細菌が感染し、それが根の先で膿瘍、嚢胞(うみの袋)をつくっている状態です。症状は、歯が浮いたような感じがするなどとなります。
 歯の感覚、つまり硬い石を噛んだ感じと、軟らかいパンを噛んだ感じが違うのは、歯のクッションの役割をする歯根膜の中の神経や血管に、圧縮された感覚が伝わるからです。歯根膜の中(この場合は歯の根の先)に炎症が広がったとき、その圧力により歯が浮いた感じがしたり、違和感が生じます。
 
 
Q.歯周病・根尖病巣があまり痛みを感じないわけは?
 
A.むし歯といえば、ズキンズキンと歯が痛むなど、歯の中の神経の症状が主ですが、これは歯の中という硬い密閉度が強い空間のなかで炎症が起こり、すぐに圧力が高まり、神経が圧迫された結果生じる痛みです。
 一方、歯の周囲の組織は、歯肉など柔らかい組織なので、圧力が高まりにくく、強い痛みになりにくいのが特徴です。この点こそ、歯周病が気がつかないうちに進行してしまう大きな理由なのです。
 
 
Q.その予防と治療は?
 
A.歯周ポケットで細菌が繁殖し、歯肉が腫れ、出血し、膿が出ている状態では、体内に毒素がまわって、なんらかの影響が出ることは明らかでしょう。しっかりした口腔清掃、歯科治療により、歯肉はひきしまります。
 ふだんから、この細菌の巣である歯周ポケットの中に、細菌の餌を与えない、根本的には歯周ポケットをつくらない、できてしまったらそれをなくすことが大事なことです。私たちは、自分の体のためにも、細菌が増殖しにくい「口の中の環境」を目指しましょう。
 

たかはし歯科医院


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