Q&Aのタイトル(代用甘味料編)
 


「概要」

 甘味は人間がもともと好む味であるので、やみつきになりやすい性質があります。砂糖を取りすぎると肥満になり、動脈硬化や糖尿病を引き起こしますし、もちろん、むし歯の原因の一つが砂糖であることを、みなさんはよくご存じであると思います。


Q.人間は甘味が大好き?
 
A.人間に限らず動物は生きるために食べなくてはなりません。私たちの日常生活の中で、やらなければならないことはたくさんありますが、この食べるという行為自体はけっして不快なことではなく、生きがいにさえもなります。人間は、いろいろな食材を駆使して、多くの食品・料理を作り出していますが、その理由の1つとして“美味しく食べたい”という欲求があるからでしょう。
 ところで、味には甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つの基本があります。私たちが美味しいと感じる味はどれでしょうか?これは単純には答えが出せません。なぜなら、私たちが食べ物を美味しいと感じるのは、味だけではなく、見ためや感触、温度や臭いなどのバランスがちょうど良いときだからです。つまり、美味しさは、もともと動物がもつ本能的なものから、経験により獲得されたものや、情報や先入観によって得られるものなどいくつかの要因により得られるものなのです。
 それでは、人間が本能的に美味しく感じる味はどれでしょうか?苦い、酸っぱい、辛い食べ物は、子供のときにはあまり食べませんね。はじめて口にするビールやコーヒー、わさびが入った寿司、辛いカレーを、子供は美味しいとは感じません。しかし、初めて味わうものでも、甘いものに関してはすぐに受け入れると思います。この理由として人間がはじめて口にする食べ物、母乳には乳糖が含まれているので甘いからです。そのため、甘味は人間がもともと好む味であるので、やみつきになりやすい性質もあります。
 
 
Q.甘味の代表=砂糖の功罪は?
 
A.甘味を感じさせる物質はたくさんあり、たとえばある種の蛋白質やアミノ酸、金属イオンなどもそうです。もちろん、糖類はもっとも代表的な甘味物質です。自然界に存在する糖類の中で、もっとも甘味度の高いものの1つに砂糖があります。私たちは、この砂糖をいろいろな形で日常的に摂取しています。砂糖を置いていない家庭は少ないと思いますし、菓子やパン類、清涼飲料水にも含まれています。果物や野菜にも、砂糖は含まれています。ですから、この砂糖は人間生活にとって非常に重要な食べ物であると言えるでしょう。さらに砂糖は味の点だけでなく、水によく溶けるため、いろいろな食材に使うこともできますし、砂糖漬けなどは腐敗を防ぐ防腐剤として、佃煮などの照りをつけたり柔らかくする保湿剤として使用するなど、多くの利点があります。
 砂糖を含む植物、サトウキビなどは簡単に栽培でき、利用効率が高いこともあり、人間は昔から砂糖を好んでいたと考えられます。ただし、この砂糖はやみつきになりやすい味であるため、どうしても摂取量が多くなりがちで、必要以上に取りすぎると、私たちの身体に具合の悪いことを起こします。糖類は代謝されエネルギーとなりますが、余った糖類はグリコーゲンの形で肝臓に蓄えられます。それでも余ると脂肪になり、身体の中にたまっていきます。私たちが普段からたくさん食べるご飯やパンなどの炭水化物に加えて、砂糖を取りすぎると肥満になり、動脈硬化や糖尿病を引き起こします。
 もちろん、むし歯の原因の一つが砂糖であることを、みなさんはよくご存じであると思います。ただし、むし歯は砂糖の取りすぎよりも、摂取頻度が問題となります。量ではなく砂糖を食べる回数が多い、口に含む時間が長いことが、むし歯を引き起こすのです。
 このように、取りすぎなどで欠点もあるため、砂糖にかわる甘味料も必要であると考えられています。
 
 
Q.砂糖にかわる甘味料=代用甘味料とは?
 
A.代用甘味料とは、砂糖のかわりに用いる甘味料で、肥満の予防や治療で用いる砂糖よりもカロリーの低い甘味料や、糖尿病でも食べられる甘味料などを指します。ただし、ここではむし歯予防に関係するものについて説明します。
 私たちの食生活でまったく砂糖を食べず、代用甘味料を使うと、むし歯はできないのでしょうか?先ほど書いたように、野菜や果物にも砂糖は含まれるため、まったく砂糖を食べないことは不可能です。
 紅茶やコーヒーに入れたり、お菓子や料理に使用する砂糖を、すべて代用甘味料キシリトールにかえた研究によると、普通の食事をしていた場合と比較して、二年間でむし歯の発生や進行が86%抑えられました。つまり、私たちの食生活から砂糖を可能な限り取り除くと、むし歯の危険がほとんどなくなることがわかりました。
 しかし、味も良く安価で安定供給される砂糖を、食生活から排除することは現実には不可能です。間食で砂糖を食べたときに、むし歯発生の危険が大きいことがわかっていますので、そのために代用甘味料をお菓子に応用することが考えられています。これには、お菓子に含まれる砂糖を代用甘味料にかえる方法と、ある一部のお菓子に含まれる砂糖を代用甘味料にかえる方法がありますが、全部を代用甘味料にかえる方法は現実問題として大変困難です。
 前述のように砂糖は多くの食材や食品形態に対応できますし、なによりも美味しくて安いですから、強制的にすべてのお菓子から取り除くことは不可能でしょう。そのため、ある一部のお菓子に含まれる砂糖をかえるほうが現実的です。とくにチューインガムやタブレットなど、長く口の中に留まり、唾液を出す効果のあるお菓子に代用甘味料を応用することは、むし歯を予防する効果が大きくなると考えられます。
 むし歯予防効果の点から、代用甘味料はむし歯の原因となる酸やプラーク(歯垢)を作りにくい甘味料と、むし歯になりにくい環境をつくり、むし歯の進行を抑える甘味料に分けられます。これらの甘味料は、たくさんの基礎的研究や臨床実験でその効果が認められていますが、その甘味料を使ったお菓子を食べることにより、現実にむし歯の発生や進行が抑制されることを証明したものは、それほど多くはありません。
 
 
Q.キシリトールが追加型のむし歯予防とは?
 
A.代用甘味料には、たくさんの種類があります。その中で最近、キシリトールが話題になっています。キシリトールは糖アルコールの一種で、やはり代用甘味料として使われています。他の代用甘味料ともっとも異なる点は、基礎的研究や臨床実験だけでなく、いくつもの疫学的な調査で、むし歯の発生を防ぐ効果があることが証明されていることと、長期的にキシリトールを摂取していると、口の中や歯の表面がむし歯になりにくい状態になるという二点です。
 そのため、キシリトールをたくさん含むチューインガムやタブレットを食後に摂取する方法は、追加型むし歯予防法と呼ばれています。この追加型の意味は、私たちが普段行っているむし歯予防活動−「歯ブラシ」「フッ素の使用」「正しい食生活」「歯科定期検診」−の四つにキシリトールを追加することで効果が得られるという意味と、食後の後に追加して口に入れるという二つの意味があります。つまり、フッ素入りの歯磨粉で歯をきちんと磨き、間食を含めた正しい食生活を心がけ、少なくとも一年に一度の定期検査を行わなければ、いくら良い性質をもっているキシリトールでも、その効果は十分に得られないのです。
 さらに、このキシリトールの効果を得るためには、ただ単にガムを噛むのではなく、しっかり噛みしめ、出てきた唾液を歯の表面や歯と歯の間に十分浸けてから飲み込むことが大切です。タブレットも同じで、ゆっくり溶かして、出てきた唾液を歯の表面や歯と歯の間に十分浸けてから飲み込まなければなりません。
 
 
Q.アスパルテームやステビアとは?
 
A. アスパルテームの甘さは砂糖の約200倍であり、甘みを得るのに量が少なくてすむので、ダイエット用低カロリー甘味料として用いられています。アスパルテームのように、甘さが砂糖の数百倍から数千倍に及ぶ甘味料を高甘味度甘味料といいます。
 アスパルテームは温度が高くなると味が変わる性質があるので、おもにダイエット系のコーラやヨーグルト、シャーベット、漬け物など、低い温度で飲む(食べる)食品に使われています。ほかにも卓上用甘味料としても販売されていて、喫茶店によっては砂糖の代わりにアスパルテーム製品をおいているところもあります。
 アスパルテームは甘味物質ですが糖類ではありません。でんぷんを原材料とする、L−フェニルアラニンとL−アスパラギン酸というアミノ酸の化合物です。したがって、むし歯の原因となることはありません。しかし実際の商品では、砂糖など他の糖類といっしょに用いて、その糖の甘味度を補う目的で使われることが多いので、アスパルテームを含む商品がすべてむし歯を起こさないわけではない点には注意を要します。
 またアスパルテームは、フェニルケトン尿症患者にとって摂取量を制限すべき食品です。厚生省は、この疾患の患者はアスパルテームを含む食品の摂取に注意が必要であるという通達を食品添加物指定と同時に出して、アスパルテームを含む商品には「L−フェニルアラニン化合物を含む」旨の記載を義務づけています。国内年間消費量は約200トンとされます。

 さらには、ステビアという砂糖の200〜300倍の人工甘味料を使用しているものもあります。ステビアは、キク科の植物ステビアの葉から抽出し精製したもので、日本で研究開発されました。原産地の中南米では甘味料のほか避妊剤としても用いられ、多用すると妊娠障害を起こすともいわれています。もちろん日本では安全性が実証済みとされていますが、現在認可されている国は日本や韓国など5カ国にとどまり、米国やEUでは認可されていません。安全性について疑いだすときりがありませんが、控えめに取り入れた方がよいと思います。

 
 
Q.代用甘味料を上手に使うためには?
 
A.代用甘味料が含まれている食品を上手に使うために、2つの方法が考えられます。キシリトールがたくさん含まれているガムやタブレットを積極的に応用して、むし歯になりにくい口や歯の環境を作り出すことと、代用甘味料を使っているお菓子を上手に利用し、むし歯を気にしないでおやつを食べれることです。
 いずれにしても、今の食生活が自分の口や歯の健康にどのような影響を与えているのか、またご自分の口の中や歯の状態がむし歯や他の病気になりやすいかどうか歯科医師や歯科衛生士に判断してもらうことが大切です。そして、この判断した結果にもとづいた、自分にあった口や歯の健康増進を指導してもらいましょう。


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