Q&Aのタイトル (乳幼児編)


「概要」
 
 現代は、いろいろな情報が手に入りすぎて逆に不安になってしまいます。少子化が進み、子供さんを大切に思う気持ちが高じて心配になる場面も多いと思います。一人で抱え込まないで、それぞれの専門家にご相談ください。少しでもお母さんのお役にたてば幸いです。


Q、乳歯はいつ作られるの?
 
A、お母さんが妊娠に気づくころ、乳歯は妊娠7〜10週、永久歯は3〜4カ月頃、どちらもお母さんのおなかの中で作られ始めます。10週目ごろまでには20本の乳歯の芽(歯胚)のすべてが赤ちゃんのあごのなかで次々と発生します。お母さんが妊娠に気づいて栄養や健康に気をくばりだすころには、もうすでに乳歯のもとはできはじめているのです。
 歯は最初から硬い組織ではなく、石灰化というカルシウム塩の沈着によって硬い歯になっていきます。乳歯の石灰化は、妊娠4〜6カ月頃に始まり、歯冠という歯の頭の部分は、生後1カ月から1年の間に完成します。永久歯では、第一大臼歯が一番早く、生まれる時に石灰化を開始します。


Q、丈夫な歯のために母として気をつけることは?

A、カルシウムだけでは歯はできません。歯はコラーゲンというタンパク質でできた繊維の網にカルシウム、リンなどのミネラルが固く結合(石灰化)してつくられます。カルシウムとリンのバランスが大切です。リンのとりすぎはカルシウムとの結合を狂わせてしまいます。最近のレトルト食品にはリン(リン酸塩)が多く使われています。食べすぎに気をつけましょう。
 また、糖分のとりすぎは、相対的にカルシウムの吸収に必要なタンパク質やビタミンを摂らないですますことになることが多いため注意が必要です。妊婦のカルシウム所要量とは1000〜1200mg(成人の所要量としては600mg)です。
 妊娠中のお母さんのからだは微妙です。バランスのとれた食事を心がけましょう。胎児の成長を心配して小魚やカルシウム剤にたよるよりも、お母さん自身の食生活がかたよりのない健康なものであることが大切です。


Q.生まれたばかりの赤ちゃんの口の中はどうなっているの?

A.まだ、歯は生えていませんが、顎の骨の中では、たくさんの歯が作られています。また、お母さんのおっぱいを飲むように都合のいいように、上顎と下顎の間には顎間空隙という隙間があります。
 まれに、先天歯といって、生まれた時に下の前歯が生えているときがあります。


Q.乳歯が生えてくるのは、いつ?乳歯が生えそろうのは、いつ?

A.早いお子さんでは、4〜6カ月頃、平均的には8〜9カ月頃に、下の前歯(乳中切歯)から生え始めます。上の前歯が最初に生えることもあります。この頃には、離乳食も始まり、よだれも増えてきます。
 乳歯は、上顎と下顎に10本ずつ20本あります。1歳のお誕生日の頃には上下の前歯が4本ずつ並び、その後、乳犬歯の奥の第一乳臼歯が先に生え、1歳半健診の頃に、乳犬歯が生えてきます。2歳から2歳半頃に1番奥の第二乳臼歯が生え始め、2歳半から3歳頃に20本生えそろい、乳歯列と呼ぶ歯並びが完成します。
 乳歯列では、歯と歯の間にすき間がよく見られ、大きい永久歯が生えるときに有利になっています。幼稚園時代は乳歯列が続きますが、乳歯の下の顎の骨の中では永久歯が育っています。レントゲン写真でわかります。


Q、乳歯の歯ならびでは隙間があるといいと聞いたが?

A、乳歯の歯ならびでは隙間(歯間空隙)があるのが正常です。
 乳歯は赤ちゃん時代から使えるように、小さいあごに合った小さいものがはえてきます。成長とともにあごは大きくなりますが、歯は大きくなりませんので隙間ができるわけです。そのあと成長したあごにちょうどよい大きさの永久歯にはえ代わって隙間はなくなります。
 隙間がまったく見られないと将来の永久歯の歯ならびが悪く(不正咬合)なりやすいようですが、隙間があってもかならずしもきれいな歯ならびになるとはかぎりません。この時期は顎の成長を促すために、かむ回数を増やす食生活を工夫してください。


Q、健診で小帯の異常をいわれたが?

A、形態的な異常が多いのですが、上唇小帯(上くちびるの内側のすじ)の場合は上の前歯の裏側までつながっているものを言います。歯みがきのときに歯ブラシがあたってしまい歯みがきをいやがり、上の前歯を早いうちにむし歯にしてしまうこともあります。また、前歯の間に隙間を残すことがあります。他には、舌小帯に強い異常があると発音や飲み込みに問題をもつことがあります。歯科医院にご相談ください。


Q、はえたばかりの歯は、むし歯になりやすいというのは本当なの? 
 
A、はえたばかりの歯は、歯の表面がやわらかく酸に侵されやすいのです。歯がはえてから表面が固くなってくる(十分な石灰化)一年くらいの間にできるむし歯が多く、この時期にフッ素を塗るなどのむし歯予防が大切になってきます。


Q、フッ素塗布がいいと聞いたが?
 
A、フッ化物は歯の質を強くすることと、再石灰化を促進させる等で、むし歯予防において確立された方法です。無色透明で、定期的に歯科医院で塗布する物です。主に乳歯の前歯がむし歯になった後で、進行を抑えるために塗る(銀が沈着してむし歯の部分が少し黒ずむ)、フッ化ジアンミン銀とは別の物です。


Q、むし歯はうつるの?

A.むし歯は細菌による“感染症”なのです。つまり、口腔に連鎖球菌(ストレプトコッカス・ミュータンスなど)や乳酸桿菌(ラクトバチラス)や放線菌(アクチノマイセス・ビスコーサス)がいなければ、むし歯にはならないわけです。
 では、どこからうつうつるのでしょうか。実はほとんどの場合、母親からなのです。離乳食期に口移しで食べさせたりすると、子供のお口の中に細菌は簡単に移ってしまうわけです。もちろん、母親だけとはかぎりませんが。
 お口の中はいつかは菌が住み着くわけですが、その菌のバランスが問題となります。母親がお口の中があまり清潔でなくてしかもむし歯もあるような場合、細菌叢(菌のバランス)はむし歯になりやすい方に傾いています。そのままのバランスで子供のお口の中にも住み着きますので、その後のお口の管理が難しくなるのです。
 ですから、お母さんとなられる方は、妊娠前に自分のお口をきちんとむし歯のない状態にしておき、それを長く保つように、歯科医院で定期的にPMTCと指導をお受けください。
 ただし、このむし歯菌も、歯の表面にくっついて住み着くことができなければむし歯はつくれません。このくっついて住み着く時に重要な働きをするのが、実はショ糖(砂糖)なのです。
 むし歯菌の中のミュータンス菌は、ショ糖からできたグルコース(ぶどう糖)から不溶性グルカン(水に溶けにくいミズアメのようなべたべたした糖)をつくり、この不溶性グルカンによって、細菌は歯の表面にくっつくわけです。さらに、細菌同士もくっつきあい、こうして歯の表面に大量のプラーク(歯垢)が形成されます。このプラークの約80%は細菌だといわれていますから、細菌はもう勝手放題に酸をつくり、歯のハイドロキシアパタイトは溶解されていくわけです。
 もっとも溶けだしたカルシウムイオンやリン酸イオンは、一部は唾液の緩衝作用によって再びエナメル質に沈着して、再石灰化をしますが、ミュータンス菌などの酸産生能が強い場合には当然脱灰の方に傾いて、歯はむし歯になっていきます。
 このように考えると、歯垢の除去も重要だとわかります。いいかえれば、食後のブラッシングがとても重要だというわけです。最初はお母さんがガーゼで拭き取るところから始まります。


Q、子供には何を飲ませたらよいの?
 
A、暑い夏がすぎると、幼児、小児のう蝕が急に増加することがあります。原因を調べてみますと、多くの場合、糖分を含む水分を大量に摂取していることにあります。人は、必ず毎日、必要量の水分摂取は欠かせません。とくに幼児、小児は、水分量が不足しますと、発熱したり、ぐったりしてしまい、うわごとまでいうような場合もあります。
 といって、親が水分を与えようとして、子供の要求に応じて、水やお茶(緑茶、麦茶、ウーロン茶)以外の水分をいつも与えることによって、う蝕をつくってしまうケースがけっこうあります。「水やお茶はあまり飲まないものですから・・・・」といって、ついつい乳児のときから、乳児向けイオン、果汁飲料を与え続けてしまい、夏になって急に量、回数が増えてしまっているというお母さん、お子さんの歯は大丈夫ですか?
乳幼児の時から、白湯や水を与えて、それに慣れ親しんでいれば、急に水分量が増加しても、問題はおきません。入れ替えのいらない手軽さからボトルが直接哺乳瓶として使えるイオン飲料、果汁飲料などを安易に使いはじめ、「ほ乳瓶う蝕」をつくってしまうというケースが後をたちません。便利なものを利用するときには、それを利用するデメリットも、必ずあることを知っておいていただきたいと思います。
 発熱や下痢のときなどの水分補給のために、小児科医の要望により開発されたイオン飲料ですが、乳幼児のときから飲んできた子が、1歳すぎに乳歯がう蝕だらけになったことを、歯科界から指摘され、乳幼児向けに発売されているイオン飲料や果汁飲料に、メーカーが「むし歯の原因となることがあります」という表示をしています。
 酸性度の強い飲み物を(酸性の強い飲み物には、必ず糖分が多く含まれています)寝る前に飲ませていると、歯の表面が白濁しはじめ、それでも与え続けると、硬いエナメル質に穴があいてしまい、立派なう蝕をつくります。しかも、飲料水でできたう蝕は、特徴があります。人間が生まれて最初に摂取するのが母乳(ミルク)、その次に与える水分として、親がいかに上手に、白湯を与え続けられるかが、低年齢児のう蝕予防につながる、といっても過言でないでしょう。喉がかわいたら、まず大人が率先してふつうの「水」を飲みましょう。


Q、1.5歳の子どもだが、いまだに寝る前に哺乳ビンが手ばなせない。歯にも何か影響がでるの?
 
A、なるべく早くやめるようにしたほうがよいでしょう。哺乳ビンのダラダラ使用は乳幼児のむし歯の原因になりますし、お口のまわりの筋肉の発達にも影響がでてきます.。徐々にコップに切り換えましょう。母乳も牛乳も乳糖という糖分を含んでいますので、ショ糖ほどではなくてもむし歯の栄養源になります。天然果汁やイオン飲料も、しっかり糖分を含んだ酸性の飲料ですので入れないでください。麦茶でものどが渇けば飲んでくれるでしょう。どうしても寝る前の授乳がやめられなければ、飲んだ後は哺乳ビンをはずして口の中をきれいにふいてやります。決してお口の中が汚れたまま寝かさないで下さい。
 
 
 
Q、2歳で前歯がとけてきたようだが?
 
A、前歯がとけてきたようにみえるのは、むし歯であるとおもわれます。哺乳ビンにジュース(果汁100%でも糖分にかわりはない)やスポーツ(イオン)飲料、乳酸飲料を入れて与えたり、哺乳ビンのだらだら使用によってできることが多いようです。むし歯は、まず歯の表面が白くなり、しだいに歯が溶けたような状態になってきます。お母さんがむし歯の状態に早く気づき、早めに治療と指導を受けて下さい。
 
 
Q、3歳で急にむし歯がふえたようだが?
 
A、この頃になると、外に出て甘いものを口にすることが多くなってきます。また、歯と歯の間にむし歯ができてくる時期でもあります。このむし歯は、歯と歯の間のかくれたところで進行し、お母さんが気づいた時には大きなむし歯になっていることが多いのです。また、乳歯の神経はまだ未熟で、あまり痛みを感じません。このことが発見を遅らせる原因の一つです。早期発見、早期治療をおこなうために、定期的な検診が必要になります。
 
 
Q、乳歯のむし歯の特徴は?
 
A、乳歯は永久歯に比べて軟らかく、歯の厚みも薄く小さい形をしています。特に歯の表面の硬いエナメル質は永久歯の半分の厚さで石灰化が弱く、一度むし歯になるとその進行は早く5〜6カ月で神経の近くまで進みます。
 神経までむし歯が広がっても、子どもはほとんど痛みを訴えないのが特徴です。そのため骨の中まで細菌が入り腫れて、初めてお母さんが気付いたりします。 神経のない乳歯の根は非常に弱く、大人の歯と生えかわるまでもたないことがあります。
 乳歯は小さく歯の厚みも薄いため維持が弱く、治療したものがかけたりはずれたりします。もし、そんな場合はすぐ再治療してもらいましょう。そのままにしているとたちまち悪くなります。
 
 
Q、乳歯のむし歯は永久歯に影響するの?
 
A、乳歯のむし歯は、食べ物をよく噛むことができなくなることはもちろん、正しい発音を身につけなければならない大切な時期にあり、発音の修得に悪影響を及ぼします。
 それに加え、乳歯のむし歯は永久歯の歯並びや咬み合わせの成立に悪影響を及ぼします。健全な乳犬歯、第一乳臼歯、第二乳臼歯の前後的な最大の幅を加えますと、これら乳歯と交換して生えてくる犬歯、第一小臼歯、第二小臼歯の前後的な最大の幅の合計よりも大きいのです。上あごで約1mm、下あごで約3mm大きく、そのために永久歯がゆっくりと、余裕をもって生えてくることができる仕組みになっています。
 ところが、乳歯がむし歯になると、とくに歯と歯がお互いに接している部分では、歯が隣の歯のむし歯の部分に入り込んでしまいます。これでは、第二乳臼歯の後に生えてくる第1大臼歯が乳臼歯を前の方向に押すため、永久歯が生えてくるスペースが不足してくるのです。そのために、永久歯が完全に生えてこなくなったり、横のほうに生えてきて、永久歯の歯並びを乱すのです。東京歯科大学小児科講座の研究によりますと、この部位の乳歯のむし歯を予防し、健全な乳歯の状態で永久歯と交換すると、この部分の永久歯の歯並びは、ほとんど乱れないことがわかっています。お母さん方も、この部位のむし歯を予防することの大切さを自覚してください。
 さらに、乳歯のむし歯が進んで、永久歯が生えてくる時よりもかなり早い時期になくなってしまいますと、永久歯があごの中に埋まったままで生えてこないこともあります。最初から歯がなかったのではありません。第二乳臼歯が早い時期にむし歯になり、なくなってしまったためです。そのために第1大臼歯は、第二乳臼歯のあったスペースまで前方に移動してきて第一乳臼歯に接してしまい、その結果、第二乳歯のあとに生えてくるはずの第二小臼歯があごの中に埋まったままになってしまったのです。この部分のエックス線写真をみると明らかです。
 
 
Q、乳歯の根の先の病気は永久歯に影響するの?
 
A、乳歯のむし歯が進むと、歯の真中にある歯髄という軟らかい組織に炎症が波及し、さらに進むと歯髄は死んでしまい、歯に根の先に膿の袋ができます。
 乳歯のすぐ下には、永久歯の芽があります。そのために、永久歯の芽のできはじめほど、永久歯の形成に大きな影響を与えるのです。しかし、乳歯の根の先に病気ができても、生体自体これから防御しようとする力もかなり強く、必ずしも目で見てもはっきりわかるような障害は少ないのです。しかし、皆さんは気づかなくても、永久歯の形成状態が悪くなり、むし歯にかかりやすくなることが多いので注意しなければなりません。
 

Q、一番奥の乳臼歯をむし歯で早く抜いてしまったが、このままでもよいの?
 
A、6歳臼歯の生えてくるスペースを確保し、咬み合わせをしっかり作るためには装置を入れたほうがいいでしょう。ただし、この装置を入れたからといって、全体がよくなるというものではありません。以前はよく用いられていましたが、最近ではケースバイケースで、微妙な診断がひつようです。
 歯科医によく相談し、入れる場合は定期的に管理を受けるようにしてください。大切なのは、なるべく入れっ放しにすることです。


Q、乳歯に冠をかぶせると永久歯がはえるのに邪魔にならないの?
 
A、とくに永久歯がはえるのに邪魔になるということはありません。しかし、大きなむし歯などによって歯の根の先に病変があったり、根の神経をとってしまったりすることにより、乳歯の根の吸収がうまくいかなくなり、永久歯がきれいにはえてこないということもあるので、冠をかぶせなければならないような大きなむし歯をつくらないということが一番大切なことなのです。もちろんむし歯はきちんとした治療がなされることが前提で、乳歯がむし歯になるということは、口の中がむし歯になりやすい環境にあるということですから、永久歯のために食生活の整備や歯磨きをして、悪い環境を改善する必要があります。
 

Q、3歳児では、むし歯の治療はできるの?
 
A、この時期は自我の芽生えとともに何でも一人でしたがりますが、歯の治療はお母さんと一緒がいいようです。最初はお母さんに抱っこされて治療にのぞみますが、慣れれば一人で治療ができる年齢でもあります。「母子分離の完成はお子さんの心の中にお母さんとの絆ができたとき」とされています。母子関係が確立されている場合は、わりと早く慣れて治療室に一人で入っていきます。
 しかし、何がいやかもいえず、ただ泣くだけのお子さんはなかなか治療に慣れず、いくら説明しても話を聞いてくれません。冷静になって相手の話を聞けるようになるまで、何回か来院することになるとしても、押さえつけて治療を強行することはできるだけ避けたいと考えています。
 つまり、お子さんが小さいうちにむし歯を進行させることをできるだけ避けてください。むし歯が軽ければ、もう少し聞き分けができる3歳6ヶ月くらいまでは、ある種のセメントをつめたりフッ化ジアンミン銀という薬を歯に塗って進行を抑えてもたせる処置もできます。


Q、麻酔の注射を受けるときの注意は?

A、麻酔注射は安全な処置ですが、ごくまれに薬でアレルギーを起こすことがあります。アレルギー体質のお子さんは前もって歯科医に申し出てください。
 歯を抜いたり神経の処置をするときに痛くないようにするための注射です。針を刺すところに前もって表面麻酔薬を塗ったり細い針を使ったりして工夫していますので、思ったより痛くないはずです。しかし、ふだんから「悪いことをしたら歯医者さんに注射をしてもらいますよ」などと脅しに使うことがあると、その気配だけで泣かれてしまいます。
 また、治療後も2時間前後麻酔が効いていて、しびれた唇や頬の内側を、自分の歯でつい噛んで傷をつくってしまうことがおこらないよう、お母さんは注意して見守ってください。噛んでしまうと、ひどい場合は数時間後に唇が倍ぐらいに腫れてあわてることになります。食べるときに不自由ではありますが、1週間後には傷も残ることなくきれいになおります。


Q、歯磨きをいやがって困るが、泣いても押さえつけてやってよいの?
 
A、泣いている子どもを押さえつけてまでする必要はないのですが、1日1回だけはきっちりというようなやり方はかえって逆効果です。毎食後すぐに短時間でという習慣をつけましょう。寝かせ磨きを仕上げ磨きとして、小学校中学年ぐらいまでは不定期ながらも続けた方がよいでしょう。磨き残しがたくさん見つかると思います。
 また3歳以前では、歯みがきとともに食生活でのむし歯予防が重要なのです。まず歯ブラシを持って遊ぶことからはじめ、歯磨きが生活習慣の一部になるようにしたいものです。
 
 
Q、3歳で指しゃぶりがひどいが、歯に悪い影響はないの?
 
A、生後間もない赤ちゃんは、自分の口のまわりにあるものをくわえようとします。これは、乳首を上手にくわえてミルクを飲むために必要な練習にあたるわけです。
 3歳ぐらいまでの指しゃぶりはあまり気にすることはありません。外に出てお友だちと遊ぶようになれば、しだいに減ってきます。しかし、4歳になってもまだひどい指しゃぶりがあるようであれば、あごの発育や永久歯の歯ならびにも影響が出てくるのでやめさせる必要があります。指が上下の歯の間に長時間位置することによって、上下の歯の間に隙間を生じ、また上の歯が前方に突き出すために出っ歯になってしまうのです。これは、永久歯の噛み合わせに引き継がれてしまいます。
 その時、あまり強制するのではなく、子ども自身に指しゃぶりは良くないのだということを自覚させ、徐々にやめていくようにします。本人にやめる気持ちさえあれば、手袋をして寝たり、指に絆創膏を巻くなど、ちょっとした工夫だけでもやめられます。決して指しゃぶりをすることを、怒ってはいけません。
 
 
 
Q、ころんで歯をぶつけてそのままにしていたら、だんだん色が変わってきたのだが?
 
A、すぐに歯科医を受診してください。これをそのままにしておくと、いろいろと後になって影響がでてくることになります。歯の色が変わってきたのは打撲によって、歯の中にある神経が切断され出血したことによるものです。
 このような症例をそのまま放置すると、むし歯で歯の先に病気ができた時と同様に、後から生えてくる永久歯の形成不全を起こすことがしばしばあります。歯が破折することによって外力が吸収されると、見たところは大変だと思うかもしれませんが、むしろまったく変化がなかったように見える症例のほうが、後になっていろいろな障害が現れることが多いので、外傷を受けたら、何でもないように見えても、歯科医院を訪れ、診査してもらい、定期的に観察してもらうことをおすすめします。


Q.4歳の男児だが、転んで前歯が抜けてしまった。永久歯が生えるまでこのままでよいの?

A.3才以前では処置が難しいことがあります。4歳ですと歯並びへの影響はほとんどないのですが、抜けたままにしておくと抜けた場所に舌を出す癖がつき、そのため永久歯が出てきたときに出っ歯になったり、あるいは発音が不明瞭になるなどの影響が出てくるので、基本的には処置しておくことをおすすめします。保隙装置(子供用の入れ歯のような物)をつけたりします。
 
 
Q、乳歯の外傷の影響は?
 
A、 子供さんの乳歯の外傷は、近年環境の変化からか増加の傾向があります。乳歯の外傷は、食べ物を噛むという機能だけではなく、審美性や顔や歯並びの発育に影響を及ぼすことがあるので、外傷を受けないように、日頃から十分注意しなければなりません。
この発現頻度は、まだ運動神経の発達がにぶい低年齢児ほど高いので、この時期のお子さんをおもちのお母さん方は、環境の整備に十分気を配らなければなりません。
外傷の原因は、転倒がもっとも多くなっています。家の中で転んで、机の角などに顔をぶつけたりすることが多いので、幼児の行動範囲については、できるだけこのようなものを置かないようにすることが大切です。
 乳歯が外傷を受けたとき、同時に唇や顔なども怪我したり骨を傷つけたりすることがあります。それによって顔の発育や審美性に影響も与えることもありますが、乳歯外傷の影響としてもっとも多いのは、乳歯のすぐ下にあり、発育している永久歯に影響を及ぼすことです。
 乳中切歯が細かく割れて一見重症に見えるものでも、この症例は、破折しただけで他の部分には大きな影響を与えていません。これは、歯が割れることによって力が分散されたためです。
 あたかも釘を金槌で打ちこんだように、上あごの乳中切歯が骨の中に埋入しているものは、エックス線写真で見ると、歯はまったく破折していません。このような症例が乳歯では多くあります。しかし、歯は破折していなくとも、永久歯に与える影響は大きいのです。
 3歳児の乳歯が外傷を受けますと、永久歯が歯冠と歯根の間で曲がってしまい、口の中に生えてこないことがしばしばあります。しかし、このような症例でも、定期的に検診を受けていれば、最適な時期に処置することによって、口の中に永久歯を誘導することもできるのです。このような理由で、日頃の定期健診が重要なのです。
 これほど大きな障害にならなくても、永久歯の形成不全を起こすことはしばしばあります。障害の程度は、一般的に外傷を受けた時期が早いほど重症になり、永久歯の歯冠ができ始めた頃の外傷、つまり乳中切歯が生えたばかりの一歳未満のお子さんの場合は、まったく歯の形を呈していない歯牙腫というものになってしまうこともありますので、とくに低年齢児については、外傷を受けないよう、十分に気をつけなければなりません。
 
 
 
 
Q、食べるのが遅い子は、全部食べさせた方がよいの。それとも、さっとかたづけたほうがよいの?
 
A、いつまでもダラダラ食べるのは、躾のうえからでも良くないと思われます。ある程度の時間を決め、それ以上は食べないものとして、かたづけたほうがよいのではないでしょうか。子どもは、お腹がいっぱいであれば、意欲的に食べようとしません。おいしく食事をするためにも、食事のまえの間食はさけて、戸外でお友達と遊ぶなどして空腹状態で食事をするようにしたいものです。

Q、食事を上手に食べたり、飲み込んだりできないのだが、少しずつでもよくなるの?
 
A、 生まれながらに、食欲のある子と、食の細い子といますが、親としては、食欲のある子であってほしいと望む人が多いようです。
 兄弟の数が少ない近ごろは、子供に手をかけすぎて、かえって子供の発育に悪影響を及ぼす行為をしてしまっている親が目につきます。離乳食を与える頃でさえ、子供の発育段階に合わせて食の形態や内容を選択しなければいけないのに、親の好みや都合によって、子供の食を選んでしまっているケースがあります。
たとえば、離乳食が始まるとすぐに、親の好みの味付け(味の濃い食べ物)の食を与えてしまったり、水分も果汁という名目で、市販のジュースを与えてしまって、よく飲んでくれるという喜びから、いつの間にか習慣づいてしまうハメになっていることがあります。 また、離乳初期と離乳後期では、口唇や舌の動きもまるっきり違うにもかかわらず、そのことに気がつかないまま、同じ食べ物を与えていては、食欲のある子供でさえ、食べ物を上手に食べられません。そして、生まれながらに、障害をもっていないにも関わらず、上手に食べられない、飲み込めないなどという状況で、相談を受けることがよくあります。
 乳臼歯がはえてきているのにもかかわらず、離乳初期の食事を与えていると、舌の左右の動きが悪く、臼磨運動(上下臼歯を摩り合わせる動き)もしないで、飲み込む行為のみをしてしまいます。このような行為を続けていると、口に入れた食べ物を噛まないで、即飲み込んでしまおうとしてしまいます。もし、飲み込む前によく噛まなければならないものだったらどうなるかは、想像できるでしょう。
時には、母乳やミルクをすっているような行為をいつまでもするように、水分の少ない食品をいつまでも口の中にためこんで、まるでハムスターやリスのように頬をいつまでも膨らませている子供もいます。「それ、まさにわが子」というお母さんいませんか?このような行為をしていると、当然、う蝕や歯肉炎などの原因にもなります。疑問を持つ方は、口の中に食べ物をほおばった状態で、噛まないで食べ物の水分を吸い込んでいただくと、口唇と歯列の間に食べ物がベッタリ張りつくことがおわかりでしょう。そのまま寝てしまえばう蝕や歯肉炎になることがよく理解できると思います。
 このような行為を治したい場合には、臼歯部に繊維のある噛みごたえのある、噛めば噛むほど味のある食品を当てて噛ませます。臼歯部に食べ物をおきますと、舌が食べ物の方向に向きます。つまり、子の行為の繰り返しが噛むことにつながるのです。お母さんも手本を見せながら、気長に続けてみてください。かならず上手に食べられるようになれます。
 以上のことからも、離乳食を始めることから、赤ちゃんの口腔機能に合わせて食の形態や味を選択し、適切な与え方で与えることが、なにより大切であることがおわかりいただけたと思います。お腹をすかせ、食に興味をもたせることが、なによりも必要なことなのです。
 そのまま放置すると、 子供たちは食べ物として歯ごたえのあるものよりも、柔らかい、口当たりのよいものを好む傾向となります。たとえばハンバーガー、スナック菓子、ケーキ、プリンなどがその代表例です。そしてその反対に、穀物類や、野菜、果物などを嫌いな子供が多いようです。
 体が育つ大事な時期に、一生懸命噛むことを怠けると、歯や体の成長、発育が正しくできなくなり、さらに舌の発達が悪くなり、正しい発音ができなくなったり、知能の発達にも影響があるとの報告もあります。
 ですから、噛む、飲み込むなどの摂取行動が確立する子供のころから、軟らかい食品でなく、歯ごたえのある食品を好んで食べるような習慣をつけてあげる必要があります。また、口の中の病気を早くみつけて、きちんと治しておくことも重要です。
 これらのことが”よく噛める子”、”よく噛む子”を育ててあげることにつながるのです。正しく、よく噛ませることは健康への入り口であり、丈夫な子を育てるための大事な要素でもあるのです。

たかはし歯科医院


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