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リス

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第13話 逃げ リス



春はリスにとって発情のシーズン。
これは誰でも知ってることですよね。
でも、ただざっくりと『春』と一言で言ってしまっては言い表すことのできない、 リスにとってかなり微妙な季節でもあること、リスを飼ったことのある人なら分かるでしょうか。

「春は発情 ようよう性質穏和となり すなはち噛ぬリスとなりぬべし……」
古の書物にはこの程度しか書いてありません。
発情したリスは噛ぬリス化しますが、でもリスは春の間ずっと発情しっぱなしではありませんよね。
発情するのは約2週間おきで5,6回。
つまり言い換えれば、1度発情したリスは翌日から約2週間程度の非発情期間を迎えるということです。
実はその時期のリスが、飼い主にとって1年のうちで一番扱いにくいリスなんです。
そう、それが「逃げリス」。
どんなリスなのでしょうか。


1.逃げリスの特徴

     
    逃げリスは人との接触を拒みます。
    カーテンの上からタンスの裏側へ。
    タンスの裏側から机の下へ。
    「こいつはこんなにオレを嫌いだったのか……。」
    と、飼い主を落胆させるほどの素早い逃げ足で、逃げリスは部屋中を駆け回り、姿をくらまそうします。
    もちろんこれは飼いリスのお話。
    森にいるリスは1年中人との接触を好みませんから、本来の逃げリスの特徴とは、自分以外の動物との接触を拒むということです。
    特にメスリスの場合は、オスリスとの接触を嫌います。
    そのわけはね……。


2.逃げリスの目的


    その理由は、正しいタイミングで交尾をするため。
    リスの性周期において交尾が許されているのは、異性を求めて大声で鳴くその日だけ。
    その日が過ぎればリスのあそこにはシャッターが降り、次に開かれるのは2週間後。
    その2週間の間に、オスリスとメスリスが単に友達同士の関係で仲良くできるなら別に何も問 題はないのですが、一緒にいればいつオスリスが平常心を失い、オオカミと化してメスリスを押し 倒し肉体関係を強要しないとも限りません。
    そんな間違いを犯さないために、男女のリスはこの期間離れて暮らさなくてはならないのです。
    交尾のタイミングを誤れば妊娠できないわけですから、リスも必死です。


3.逃げリスの捕獲

    飼いリスの場合、そんなに逃げたいなら勝手にしろ、と部屋の中にずっと 放しておける人はいいですが、1日中凶暴なリスと寝食をともにするのはあまりに危険な行為です。
    やはり多くの飼い主はリスをかごに閉じ込めずに平穏な生活を送ることはできません。
    私の場合は逃げリス捕獲には迷わず捕虫網を使用しています。
    ただ、網でリスが捕まるのは最初の1,2回が限度。
    リスもまんざらバカではないので、やがて網を見ただけで網の届く有効半 径を即座に計算し、危険ゾーンには近づかなくなります。
    でもご安心あれ。
    リスにとって人間との追いかけっこなんて面白くもおかしくもありません。
    そのうちリスは人間に追いかけられると、
    「アホ飼い主なんか相手にしてられるか。」
    と、自分からかごの中に隠れるようになります。
    ホントだよ。


4.逃げリスへの想い

    発情の谷間、リスが飼い主との接触を拒むのはリスの性質ですから当然のことです。
    すべての発情が終わればリスはしばらくの間噛ぬリス期間(子育てっすね)に入り、 やがて普段の孤独で凶暴なリスに戻るのです。
    逃げるリスを追う飼い主。
    リスにとっても飼い主にとってもこんなに情けない姿はありません。
    ボブはどうせ追いかけられるなら、オスリスに追いかけられたかっただろうと思います。