噛みリスのうんこ
この季節、噛みリスの飼い主は悩みます。
かごから出すべきか、出さざるべきか。
出すと怖い。
痛い。
憎たらしい。
出さないとかわいそう。
退屈そう。
たまってそう、……ストレスが。
心は揺れます、ふりこのように。
「別にかごから出たって何するってわけじゃねえんだし……」
「手袋してれば、そんなに危険じゃないんだよな」
「ずっとかごに入れときゃ、そのうちなれるよ」
「俺だったらずっとあんなとこにいたら気が狂う」
やっぱりなるべく出せるなら出した方がよかんべな……。
そう思うでしょ。
実は、これはうちだけかも知れませんが、ボブは特別かごから出たい理由があるのです。
ボブはうんこがしたいのです。
(飼い主に似ず)清潔でプライドの高いボブは、かごの中で排泄するのをイサギヨシとしません。
かごの扉が開くまで、じっと我慢します。
そして、飼い主の気まぐれで扉が開くやいなや、飼い主に襲いかかるのもそこそこに、タンスの上にまっしぐら。
タンスの上の、ボブのトイレ、あるいはその周辺に身を置き、しっぽを高く上げ、雨に濡れた子猫のように小刻みに震えながら、
「ミリミリッ、メリメリッ」
と微細な音を立てて、うんこをひり出すのです。
ボブがうんこをためているのに最初に気づいた時は、本当に度肝を抜かれました。
彼女は私の目の前で大粒のうんこをなんと十数個も連続で排出し続けたのです。
まさに夢でも見ている気分でした。
「そういえばかごから出すの、1週間ぶりぐらいだったな……」
ボブが小さな体で、1週間ケナゲにうんこを我慢していたことを思い、何だか切ない気持ちになりました。
「ひとこと言ってくれれば……」
と思いました。
かごの中にボブのトイレを作ればいいのかとも考えます。
去年は作っていました。
でも、それは妥協策でしかありません。
だって、かごの中にトイレがあるということは、うんこもかごの中にあるということで、ボブ本来のライフスタイルと相容れない気がします。
うんこぐらい、こまめにさせてやりたい。
そう願う私でした。