第1回 愛はリスを救えるはずがない (その8)

貝間:なんだかもう、お話になりませんわねえ。
私、そろそろ帰ろうかしら。


司会:いえ、いや、あの、まだお時間の方、少し残ってますので。

貝間:それじゃあ、結論を出しましょうよ。
こんな話し合いは、いつまで続けても時間の無駄よ。


司会:縞田さん、そろそろ結論をというお話ですけど。

縞田:うるせえ、勝手にしろ。

貝間:勝手にしますわ。
結局、リスの飼育に愛情は不可欠なものであり、この愛情こそがリスを幸せに 導く道しるべであり、愛情だけがリスに幸せをもたらす唯一のもの、ということでよろしいんじゃないでしょうか。


司会:それだと、ちょっと結論が一方に偏りすぎてしまうきらいがあるような気がするんですけど……。
縞田さん、これでいいんですか。

縞田:うるせえ、いいわけねえだろ。
この女はリスの敵だ。
人間の愛情で幸せになったリスなんて、いまだかつて1匹もいない。
リスを飼うやつは全員リスの敵だ。
愛情、愛情と口走りながら、リスをおもちゃにしているだけなんだ。
この世に人間に飼われたがってるリスなんていないんだ。
リスは森で暮らすために生まれてきたんだ。
それができないのは、みんな人間が悪いんだ。
特にこの女が一番悪いんだ。
こいつはリスの敵だ。
味方のふりをした敵なんだ。


貝間:あらあら、最後は大騒ぎするのね。
帰りにこの人に襲われないように気を付けなきゃ。
愛情を信じられないかわいそうな人。


司会:えー、お送りして参りました、リス徹底討論。
今回のテーマは『愛はリスを救えるはずがない』ということでしたけれど、みなさんはどんな感想をお持ちになったでしょうか。
この討論が、リスの飼育問題について、愛情の是非について、みなさま自身が考える上でのきっかけになれば幸いかと思います。
縞田さん、貝間さん、本日はお忙しい中お越しいただきありがとうございました。
では、みなさん、来週のこの時間までごきげんよう。

つづく