My Guitar-2のページ

その1:注文

さて、とはいうもののそろそろ次のギターが欲しいという想いが高まり、一大決心をしました。
いろいろ手工ギターの事を調べた後、まず楽器店で弾き比べて買うのではなく工房に出向いて注文して作ってもらう事を決め(この時点で舶来品という選択肢は無くなった訳ですが)、その中でもよしこれだっと決めて東京在住のギター製作家、井田英夫さんの工房を訪ねました。ちょうどゴールデンウィークで皆出掛けて我が家はお父さんだけ休みという日があり、アポを取りました。
西部新宿線は西部柳沢駅に到着。駅に着いたと連絡すると、ご本人自ら愛車スカイラインで迎えに来て戴きました。
井田さんは個人製作家でお弟子さんを置かず、全部おひとりでギターを作っている方です。自宅を工房とされており、応接間のすぐ隣が作業場でした。


まずは予算、自分の弾き方の癖からこういうのが欲しいという音の希望、材質、デザインなどを。まだギターの音を語る程良く判ってはいないのですが、深爪なので親指は爪伸ばせず指頭弾き、他の指は逆に爪のみ弾きという私の弾き方から、低音をしっかり出したい、高音はあまり金属的にならない様にしたいという事を伝えました。井田さんのギターは良く鳴る、と掲示板などでも評判です。また今使っているヤイリのギターも持参したので、ネックの採寸などもしてもらい、出来るだけ乗換えた時に違和感を覚えない様にしたいという旨も伝えました。

こういう考え方が正しいのかどうかは判りませんが、私はギターは楽器であると同時にひとつの工芸品であり、ひとの手になる作品としてそれを所有する喜びを感じられるものでありたいと思っています。たとえ忙しくて弾けなくても、眺めるだけでも満足出来るものがいいなあと。
これは私がエンジニアとして永年やってた仕事とまったく同じで、「○○は□□するものだから性能がちゃんと出れば良い」「性能が同じなら見た目はどうでもいい」「形を追求するのは飾り物で結構」なんて事は考えた事もない。ひょっとしたらユーザーの方には全く気付かれない、作っている本人しか判らない様なものでも、少しでも美しく見目良くと細部にわたってこだわってきました。買ってくれたお客様がその作り手の思い入れを感じてもらえたら幸せだ、と思っています。
仕事だけじゃなくCGや粘土細工が好きなのも、形へのこだわりがひと一倍あるからです。井田さんの門を叩いたのはネットで調べたユーザーの声で音の良さ、弾き易さを知ったのはもちろんですが、弦楽器フェアへの出品作品やホームページで見たデザインに強く惹かれたからです。

結局今度も2時間近くお邪魔してしまい、いろいろとお話を伺いました。昔のギターブームの頃は随分個人製作家が増えたけどもブームが去ると一気に需要が減り、随分お仲間が減ってしまった事。安定した数が作れる様になられてからは楽器店には卸していない事。それで滅多にお目に掛れないんですね。ヘッドやロゼッタ、ブリッジのデザインにこだわるお客さんも多く、中にはどこかの本から取ってきた図案を持ち込んでこれでぜひ作ってくれ、という方もいるとの事。

一応仕様も決まり、

・表は松、裏と側板はハカランダ(美しいメイプルも心動きましたが、初めて作るのならまずこれかなと)
・20フレット付き(バリオスの森に夢見るを弾くかどうかは判りませんが・・・)
・ロゼッタは井田ギター標準の闘牛モザイク(これ一目見て気に入りました)
 追加で外側と内側に赤いラインを入れてもらう(情熱の赤!前から赤いアクセントに憧れてました)
・ヘッドは井田さん標準のクラシックタイプでは無く、ライトギターに使われている先細りのタイプ(これもクラシックギターでは少ない)
・ヘッドとブリッジは彫刻付き(個性的な外観が欲しかった)
 ヘッドの上部に別材で牛の角のモチーフを入れる(どうせなら闘牛で統一だ!) 
・ラベルは標準と為書き付きを上下に並べて(せっかくなので両方付けたかったんです・・欲張りですみません)

製作に取り掛かるのは今年の10月、完成予定は年末から年明けだそうです。
それまでは完成予想図で我慢、我慢・・・・。

完成予想図

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その2:楽器フェアにて

さて!そろそろ制作開始かな〜と思っていた頃、今年も弦楽器フェアが開催されました。
井田さんは毎年出品されてるので今年もそうだろうと思い、行ってきました。入り組んだ会場を奥に進んで「ギター・リュート・マンドリン」のコーナーに。
まず入り口近くに現代ギターとYAMAHAが陣取っており、そこを通り抜けて奥に行くとようやく日本弦楽器製作協会ギター製作家メンバーの方々のコーナーがありました。出品順にいくと・・・阿部康幸、井田英夫、井上保人、今井勇一、尾野薫、加納木魂、黒澤澄男、小林一三、桜井正毅、堤謙光、寺町誠、水原洋、横尾俊祐、敬称略。
それぞれ1台ずつこのフェアの為に作ったギターを展示しています。

滅多に無い機会なのでいろいろと試奏。久しぶりにとっかえひっかえいろんなギターを弾きました。有名な製作家の方々の入魂の一本ですから、いいギターばっかり。恐れ多くも結構楽しかったです。
井田さんも丁度いらっしゃってお話を伺う事が出来ました。今年は当初予定が無かったのが急遽出品する事になり、計画外の制作になったとか。フェア直前まで大変だったそうです。うちのギターはフェア終了後、取り掛かるとの事でした。

その3:いよいよ制作開始

楽器フェアも終わり、しばらくして井田さんから連絡を戴きました。
「もう取り掛かってます。一つ気掛かりな点はネックの形状です。幅、厚みなどの採寸は取らせて頂きましたが、握り具合をもう一度確認させて頂ければ」
乗り換える時に違和感が無い様に、とYairiのギターを持参し図ってもらったのですが、ノギスで図って残すだけでは表せない、微妙な寸法を取りたいという事なのでしょう。
早速お邪魔しました。慎重に測ってもらい、終わった後作業途中のギターの様子を工房で見せて戴きました。

おおっ!これが自分のギターの材料か!

まだ無塗装のスプルースの表板、ロゼッタと力木がもうセットされてます。ハカランダの裏板。ついさっきベンディング・アイロンで曲げたばかりのハカランダの側板。もともと一体で削り出したヘッド部分を一旦切断して、角度を付けて継ぎ直したネック。表板、裏板側板共20年乾燥してるそうです。
自分のギターを組み立てる前のバラバラの材料の時に見るなんて、そう経験出来るチャンスは無いですよね。


ところで、今のYairiのギターは全体に薄手で、それに合せてネックも薄めとのこと。井田さんのギターはもっと厚めなので、それに合わせて直しますよとの事。もちろん握りの感覚より音がまず大事、宜しくお願いしますと答えました。

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