思い出話を少し。そもそも考古学を始めたきっかけ。20年も前の話である。

 確かあれは小学校6年の冬休みだったと思う。たまたま行った博物館の展示で,ボタンをピッて押すと電飾が付く,その町全体の遺跡地図があった。今でこそ良くみる展示であるが,少年の僕には,自分の住んでいる町にこんなに遺跡があるものか〜ということがただただ驚きであった。多分遺跡なんて特別な場所に行かないと無いんじゃないかな?ぐらいに考えていたのだろう。その日は戻り,翌日は地図を持参して再び来館し半日かけて遺跡の位置すべてを地図の上に落とした記憶がある。
 その手製の書き写した地図を基に初めていった遺跡は,自分の家からバスで30分ほどの縄文時代の貝塚であった。それが初めてのバスの一人旅で,後で聞いたら親は随分と心配したらしい。でも子供一人が探すのにはその大まかな地図のみでは限界があった。結局貝塚の場所はわからず,肩を落としてその日は帰宅した。それでもあきらめきれなかったので,数日後,博物館の考古の学芸員さんに詳しい場所を教えていただき,父親と再びその貝塚へ向かうことになる。夕方まで探し回り,やっと貝が落ちているのを発見した。土色のぼこぼこした土器らしきものも2・3片あって,半信半疑だったが念のためポケットの中にしまうことにした。
 早速翌日,貝塚からの採集品を学芸員さんに見ていただくと,縄文時代の貝と縄文土器に間違いないとの鑑定を受けた。それが僕が考古学と出会った原点で,その時の喜びを昨日のことのように覚えている。それまでも没頭するたちで,地図を見て世界の山野に思いをはせるどちらかと言えば机上派の地理少年であったものが,この時から一転,頭の中は原始の山海に生活する縄文人に思いをはせるフィールドワーク主体の考古少年に変わった。それから毎週末,多くは1人で時に友人と,人家もない畑の中で日没をむかえることになる。

 最近,ある人にこの話をしたら,博物館が身近にあった幸運,詳しい人が教えてくれた強運があって,考古学に目覚めたんだろうとのこと。確かにその通りだと思う。それ以来,間断はありつつも20年間考古学に興味を持ち続けていられるのもそのお陰である。最近では,僕が興味を持った年代と同じぐらいの歳の子供たちと話す機会も出てきている。そうすると,何がきっかけとなるかわからないという僕の体験を基に,ついつい土器拾いを薦めてしまう。
                                                 (16.8.28 記)
考古学を始めた頃のこと
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