水量50リッター程度の小型水槽でのサンゴ飼育

 

私の魚の飼育歴は淡水魚を含めて40余年になりますがサンゴ飼育はまだ序の口です。しかし今までの魚飼育の経験と現在のテクノロジーを有効に使い小型水槽でのサンゴの飼育を2年間してきたレポートとして、また備忘録として、ここにページとして完成したいと思います。また、皆様と一緒に考えていただけたら幸いです。

小型水槽のメリットは以下のようと思えます。

・箱庭感覚で楽しむことができる。メンテナンスコストがかからない。(ヒーター器具全部使用しても月1000円程度)

・調子が悪くなるとすぐに換水できる。その際もコストがかからない。

・地震などの災害では被害を最小限におさえることができる。(マンション住居では他人への迷惑を考える必要有)

などで、大型水槽飼育にはない楽しみが低コストで色々見出せるのです。

1、水質について

魚飼育で念頭にまず置くのはアンモニア対策です。アンモニアはバクテリアの働きでNH3(アンモニアイオン) → NO2(亜硝酸イオン) →NO3(硝酸塩イオン)と変化するというのは教科書の定番記述です。飼育当初はこの一連の仕組みの追求でした。NH3→N02へは時間はかかるけれど水槽で経験するごく基礎的な理論だったはずです。そしてNO3になって安心するけれどここからが問題!N03が魚であれば1リッターあたり50mgでも許容範囲ですが、サンゴはその半分程度ぐらいがリミットでミドリイシなどはゼロ付近でないと「溶ける」とされ、サンゴ飼育はこの格闘を経験しハードルを越えていかなければならないとされているわけです。

<POINTS>

魚水槽 → 1Lあたり50mg上限

サンゴ水槽→1Lあたり20mg上限

(ただしミドリイシなどは0〜5mg以下が必須とされる。)

過去の飼育方法では水変えが手っ取り早い方法でしたが現在では器具の開発やバクテリアの株の販売やその働きの解明で水変えの回数をかなり減らすことができるようになりました。

(しかし水変えだけでNO3は0にはなりません。水道水は3mg程度のNO3がもともと含まれています。)

2、現在のテクノロジーと理論の応用

水質の項で言いましたが

アンモニア対策が要であることから

・アンモニアの軽減

・アンモニアから発生する比較的無毒なNO3の対処方法

の2つのターゲットにせねばならないのです。私は現在のテクノロジーと経験則から以下の方法の選定が小型水槽ではその対処方法では有効ではないかと考えます。

A バクテリアプランクトンシステムの応用による 「ウオッカメソッド」の適用

B オゾンの投入

C ゼオライトのフィルター使用

A:ウオッカメソッド

ウオッカメソッドについての詳細はここを見てください。

簡単に解説すると飼育水にはさまざまなバクテリアが存在し、そのバクテリアの餌となる「炭素源」であるウオッカ(エタノール)を投入することでバクテリアは急激に増殖しその際水槽のNO3を消費しNO3をなくすという科学理論です。

この方法は商品名でいえばAZ-NO3や、NO3を緩慢に減少させ、NO3の上昇を抑え込むテトラ社のナイトレイトマイナスなどがウオッカを使用していませんが基礎理論はこれにあたります。

ウオッカは慎重に投入されなければならず、水槽のアンモニアが安定し硝酸塩が検出され限度レベルに達成した時点でスタートした方が安全です。それでも100リッターの水槽で当初の投入量はたった0・1mlというごく微量。それ以上は大変危険です。段階的にチャートを書きながら気長に投入することで間違いなくN03はゼロあるいはゼロ付近になります。(その間約1ケ月は必要です。)

<POINTS>

酸素は大量に消費するので強力なプロテインスキマー(マグネットドライブ式でないとだめ)が必須です。本来ウオッカメソッドは100リッター以上の水槽用ですが私はこの方法で45cm40リッター強の水槽でも安定した成績を収めています。

また、バクテリアの分布の偏りを少なくするため 食酢 や 砂糖 を加えることも可能です。(量についてはアクアリスト53号P73を参照のこと)

サンゴ水槽にはウオッカメソッドは大変有効と感じますが、魚水槽ではエロモナス病など魚病を引き起こす原因にもなるので注意が必要です。私の経験では30cm水槽で適用した際にエロモナス症でアフリカンピグミーとタテキン幼魚を失いました。

B:オゾナイザーの使用

オゾナイザーの使用についてはいまだ賛否両論があります。オゾンは適量だと絶大な効果がありますが過剰投入は生体やバクテリアの死を招きます。またその酸化能力のためPHを下げたり器具を老化させたりします。

しかし私がオゾンを推奨したいのは

・ウオッカメソッドに必要な莫大な量の酸素の保証

・アンモニアイオンNH3を直接NO3イオンに酸化反応により変化させてしまう。腐敗する有機物を強力に分解する。

化学式は アンモニア(NH3)がオゾンO3に触れると

NH3+2O3→NO3−+O2+H++H2O (なんと直接 硝酸塩イオンと酸素と水素と水になる!)

・病原菌、特に白点病の予防にも有効

などその効用を買ってのことです。ウオッカメソッドなどではバクテリアを殺すから使用禁止との説明もありますが大量投入は危険だけれど微量では大丈夫です。むしろ酸素を大量に必要とするのでオゾンの使用を推奨する人もいます。

<POINTS>

オゾンの量は50リッターの水量に毎時5mg程度投入。夜とか昼とか時間区切りでも良いと思いますが、ウオッカメソッドの場合は大量に酸素を必要とするので私の水槽の場合は常時投入です。これで問題になったことはありません。

ただし、魚が白点病でない時でも体をこすりつける仕草を見るとレベルを下げます。(本来ならORP酸化還元電位で計るべき)

酸化によりPHが下がるので定期的にPHを計測を。

C:ゼオライトの使用

ゼオライト鉱石には特殊な科学的l効用があります。それはイオン交換という特徴です。ゼオライト鉱石は常にそれ自体がマイナスに帯電しており(永久荷電という)プラスイオンの物質を引き寄せる効果があるとされます。プラスイオンはカルシュウムイオンやカリユウムイオンだったりしますがアンモニアイオンがプラスイオンに荷電しているのでゼオライトはアンモニアイオンを引き寄せ吸着します。ゼオライトは鉱石で硬いですが中の構造は硬いスポンジのようになっておりそこに各種イオンが吸い寄せられるとのことです。したがってこのセオライトを小型のフィルターやリアクターに入れて吸着材に使用すると半永久ではないものの長期間にわたりアンモニアを中心とするプラスイオンの科学物質を効率よく吸い寄せるので水槽の水はアンモニアが少ない状態になるのです。

ジェンス カルメイヤー氏のゼオライトフィルターの英文解説はこちら

ここまではゼオライトの一般的な効用ですがウオッカメソッドで大量にバクテリアが増殖したサンゴ水槽ではこのゼオライトにアンモニアイオンを食するバクテリアが大量に吸い寄せられ、そこで増殖をひきおこし、アンモニアのNO2化No3化そして最終はそこでNO3がN2窒素ガスとなって放出されるという説明になります。

この点は商品名でいうとZEOVITULTRALITHの名前で販売されているシステムはこれを応用しています。

<POINTS>

水槽の立ち上げ時にアンモニア対策でゼオライトを使用するのは定番ですがウオッカメソッドなどのバクテリアプランクトンシステムではゼオライトの効用がサンゴに与える影響度も大きいとされ、ウオッカメソッドで充分NO3が検出されないような安定した状況から様子を見ながら適用したほうが良いようです。

プラスイオンの物質を引き寄せるのでアンモニアだけでなくカルシュウムなども吸引されます。この点は注意が必要。カルシュウム、マグネシュウム、カリウムなどは添加剤で補う必要があります。私の場合アルガミルクを毎日少しずつとマクネシュウムのバッファ剤を3〜7日に1回程度投入しています。

ゼオライトは園芸用など他の用途にも使われているので必ず観賞魚用で海水用のものを使用します。

ZEOVITやULTRALITHの説明では毎日専用ゼオライトフィルターを攪拌しゼオライトについたバクテリアの膜をはがし、その水を餌としてサンゴに与えることが色揚げなどに重要とされているのでこれはやってみる価値がありそうです。

3:実際の運用について

以下が現在の私の45cmSPECです。

ろ過方式:外部濾過+内部濾過+スキマー併用方式

水槽サイズ 45cm 設置日時 1年半前

照明類 :45cm アクアホワイトレッド22w×1 カミハタネオビーム24w×1 アクアブルー18w×1

スキマー: プリズム

リアクター: なし UV殺菌灯: なし(ウオッカメソッドの為)

クーラー :テトラクールタワーCR3

ヒーター 45cm 200w

ポンプ類 エーハイム500(毎分8L)+HYDORクリスタル(毎分7L) +コラリアナノ(毎分10L)

エアーポンプはアデックス

浄水器 :オゾナイザー併用 サンダー50mg(運転は5〜MAX15mg プリズムのベンチュリーに接続の上量を調整)

使用海水 RED SEA 換水サイクル 1週間に20〜30%程度 半年に1度大掃除

生体 45cm:チェルブピグミー・ アケボノハゼ ・ハタタテハゼ 3匹のみ。

サンゴ約20種類(ミドリイシ2種、スターp3種、ディスク2種、トサカ1種、ウネタケ1種、ツツウミズタ1種、マメスナギン3種、アワサンゴ2種、、ウメボシイソギンチャク1種、、ムカシサンゴ2種、キクメイシ2種、サオトメシコロサンゴ1種、オオタバサンゴ1種、スカンクシュリンプ1匹

岩・砂 アラゴナイトサンド

餌 シュアー ・メガバイト・DELLなど

添加剤 アラガミルク・バッファ剤8.4・PO4吸着剤としてROWA

比重 1.024〜1.027程度

水温 冬24度 夏26度

pH(ペーハー) 8.0〜8.4

KH(炭酸塩硬度) 8〜10

栄養塩(硝酸・リン等 1リッターあたり) NH3= 0.1mg NO2= 0.1mg NO3= 0〜2.5mg PO4=約0.1mg

 

飼育の留意点とメンテナンス:

・あくまでサンゴがメインなので魚は小さ目のものを3匹程度で限定し入れない!現在チェルブ・ハタタテハゼ・アケボノハゼの3匹で固定。

・エーハイム500は ほとんどリング形状の ろ材 これはフィルターの下のほうは硝化バクjテリアが存在し、上の方は脱窒バクテリアが豊富と思えます。流水量は調整せず毎分8リッター程度でしょう。

・プロテインスキマーはプリズムでも充分と思えますが、ウオッカメソッドによる茶色のヘドロが結構たまりますので3日に一度は掃除です。3ヶ月に一度は大掃除

・オゾナイザーは毎時5mg程度。本来は酸化還元電位を計測して行うべきでしょうが微量の5mg程度なら影響はなさそうです。プリズムのベンチュリーパイプに調整の上投入

・クリスタルフィルターはゼオライトを100g程度。この量はZEOVITやULTRALITHシステムの量から割り出したもの。400リッターで1000gのゼオライトが必要とされるので40リッターなら100g程度。ULTRALITH・ZEOVITでは循環水量は毎分3リッター〜6リッターが望ましいとの旨らしいが現在毎分7リッターで運用(水が安定しているので)。毎朝 フィルターを取り出し手でシェイク。その上澄み液をサンゴに与える。

・ウオッカ(40度)の投入量は当初スタートはAZ−NO3による投入でN03をゼロにちかづけ、その後NO3が5mgになった安定を確認後、0・5〜0.7mlを毎日投入。水槽のカベに気泡がつくと投入を減少させています。現在その方法でNO3は0〜最大2・5mg。

・サンゴに必要なリン酸塩PO4対策はRHOWAの吸着剤が抜群の効果。たった10g程度を付属の布に入れて投入する。投入後翌日には0になる。通常はリッターあたり0.1mg程度で推移。スキマーでもウオッカメソッドによりかなりのリン酸塩が除去されている模様。

・添加剤はアラガミルクを毎日0.5cc、3〜7日でマクネシュウムバッファ剤を投入。KHは8−11

・水換えは半年に1度は大掃除。その間は毎週20〜30%(8L程度)を換水。

・バクテリアは バイオコム21と78を1週間に一度水換時に適量。REDSEAのNITROBACも使用。最近はPROBIOのBIO DIGESTを使用開始。その際、投入するときはエーハイム外部フィルターの吸い込み口にスポイトでガイダンスする。スキマーで先行して除去されないようにするため。

・餌はシュアーとDELLの混合。生餌は与えない。

・照明はメタハラ20wのネオビームをミドリイシに照射。直下は溶けるとされるがその兆候はまったくなし。補助ランプで22wレッドホワイト球とブルー球で照明補助。

4、これらの諸策で得られた成果

・ウオッカメソッドやゼオライトフィルターで得られたもの・・・それは アンモニアNH3 亜硝酸NO2 硝酸塩NO3の極端な低栄養水の実現です。(ULNSとよく言われますが、ULNSは自然の海のことで水槽ではありえません。)サンゴ飼育に必要なのは おおよそそれらが 0 であることが望ましくそれによりサンゴは成長し、ポリプを気持ちよさそうにたなびかせます。百聞は一見にしかず

朝にゼオライトフィルターをシェイクした水を水槽に放つとしばらくするとサオトメシコロサンゴがこのように長いポリプを出します。

 

NO3がともかく低い数値が必要なウミアザミは増殖します。

 

2月27日に購入した褐色のミドリイシが2ヶ月で成長し、下のようなあざやかなグリーンに変化。

 

 

ムカシサンゴやディスクコーラルも青く色が変化してきました。

5、最後に

私が上述しましたウオッカメソッドはバクテリアの無秩序な増殖をまねき危険と評価され、またゼオライトの使用もアンモニアだけでなくプラスイオンの科学物質を吸着するのでサンゴへの危険な影響もあるとされて推奨されていないことも事実です。またオゾンの投入も賛否両論があります。あえて、私がそのようなリスクを冒してまでも挑戦する意図は

・挑戦しないと進歩はなく過去のまま。(おかしなったら他の手を考えるか素直に修正します。) 

・商品開発に熱心なメーカーは結構だが、その手の上にのせられてユーザーは思いのまま操られる 

という二つの様相を避けたいからです。

良くご賢察いただき、小型水槽での飼育がもっと広がればうれしい限りです。ここまでごらんいただきありがとうございました。

 

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