「読書における(についての)アニマシオン」について

八王子市小学校教育研究会、学校図書館研修会資料
川崎市立白幡台小学校 司書教諭 渡部康夫


アニマシオンとは、
 「生命と動きをあたえ、活気づけるための活動や方法」である。
 フランスにおける最初の子ども図書館「たのしいひととき」館が1924年に設立された時以来、子どもセッションの担当司書たちが、その蔵書に生命をあたえるため、来館する子どもたちに適した多種多様な文化活動を構想してきた。・・・・お話の時間から朗読コンクールに至るまで、さらには作家との出会い、ラウンドテーブルでのブックトーク、演劇などの催し物や展示会など、司書たちが想像力と信念を持って、図書館にやってくるすべての子どもたちに図書館への興味を喚起してきた。これらがすべて、アニマシオンと呼ばれる。(『フランスの公共図書館60のアニマシオン』ドミニク・アラミッシェル著 辻由美訳 教育史料出版会 2010年 11ページ)

アニマシオンの源流は、フランスの民衆教育にある。
 辻由美さんのお話によると
 1789年、フランス革命のあと、王制が復活し、民主制がもろくも崩壊してしまった文化的な経験から、民衆教育が国家的な教育と対抗する形で受け継がれてきた。公教育が「よりよき国民」を育てるのに対して、民衆教育は「よりよき市民」を育成することを目的に下からの教育委運動として引き継がれてきた。
 1936年に「国民休暇法」が成立し、余暇の活用が国民的な課題となったときに民衆教育」が確立され余暇の過ごし方としての様々な文化的スポーツ的な活動が構想された。スポーツ、野外活動、演劇活動、音楽的な活動、絵画など芸術的な活動などの活動の中に読書活動も考えられた。ちょうど第二次世界大戦が勃発したため、一時衰退したものの、戦後落ち着いてから1960年代になってから、余暇の文化活動としての民衆教育の展開が見られた。そして、それとともにアニマシオンという言葉がその余暇の文化活動すべてを表す言葉として一般化していった。今日、アニマシオンは、普通名詞としてごく普通に使われることばである。1960年以降、アニマシオンをすすめるアニメーターは、国家資格となり、公的な仕事として市民権を得てきている。「社会文化アニマシオン」と言われる文化的活動である。
 フランスの小学校には、公認のアニメーターが配置され、アニメーターがアニマシオンを行っている。
 スペインのモンセラット・サルト氏は、フランスのアニマシオンの手法を使った読書活動プログラムを確立した、1993年モンセラット・サルトさんが「IBBY朝日国際児童図書普及賞」を受賞したことを契機に『読書で遊ぼうアニマシオン』が出版され日本にアニマシオンが紹介されることとなった。今日、アニマシオンといえば、そのモンセラット・サルトさんの「読書へのアニマシオン」しか知られていないが、その意味するものは大きい。

フランスのアニマシオンの文化的な役割

 1,幼いときから、子どもに読書の習慣をつけさせ、読書力を培う。
 2,あらゆる段階において個人的学習と公教育に便宜をあたえる。
 3,個性の創造的開花を促す。
 4,子どもと若者の想像力と創造性をはぐくむ。
 5,文化遺産を知らしめ芸術や科学的進歩や革新を理解させることに寄与する。
 6,演劇・映画などあらゆる文化的表現にアプローチさせる。
 7.異文化のあいだの対話を促進し、文化の多様性を重視する。
 8、口承の伝統をサポートする。
『フランスの公共図書館60のアニマシオン』(16ページ)

アニマシオンの個別的な役割

 1,想像する・感じとる。
 2,知る、理解する、興味を抱く
 3,調べる、情報を得る。
 4,よりよく読み、よりよく考える。

アニマシオンの様々なタイプ
 1,お話のひととき
  子どもたちに本を読み聞かせ、お話をすること
 2,個人的読みと読み聞かせ
  一人一人がめいめいに本を読み、子どもや司書の要求に応じて本を読み聞かせること
 3,ラウンドテーブルのブックトーク
  ブックトークによる読書喚起
 4,著者との出会いを準備する
  著者、イラストレーターとの出会い
 5,資料探しのアニマシオン
  図書館が所蔵する異なった種類の資料を見分け、探し出すテクニックを教える。
 6,ディスカバー型のアニマシオン
  一つのテーマで発見させることを狙った活動
 7,展示見学
  展示されたものを見る活動、見学をすること(博物館や美術館でのアニマシオンと共通する活動)
 8,おやつー哲学
  人々が行っている哲学カフェと同じような仕方で子どもたちがある主題をめぐって話し合う会合のこと。
 9,分析のアニマシオン
 知識の本の様々な叢書を比較し、適切な本を選択する方法を考える。

アニマシオンを文化的な活動ととらえること
 
 (「読む」ということを広い意味でとらえること。)
 
モンセラット・サルトさんの「読書へのアニマシオン」も、その一つの活動としてとらえ、いろいろな読書活動や図書館の活動を創造していくことを広くアニマシオンととらえることができる。

本日の作戦

@ 『ステラのえほんさがし』(リサ・キャンベル・エルンスト作 藤原 宏之訳 童心社  ISBN : 4-494-00739-0 発行年月 : 2006.6)でアニマシオン

1,いる?いない?
ねらい
●読んだ内容を理解する。
●登場人物を通しての体験を楽しむ。
●記憶力を引き出す。
●登場人物を識別できるようにする。

準備
●作戦に使う人物のリスト(実際に出てきた人物名と、架空の人物名をまぜておく)
●参加者全員が前もって読んでくるのに十分な冊数の本(読み聞かせでも良い)

実践方法
●アニマドールは、人物リストを一人一枚ずつ配る。一人一冊か1グループ1冊あれば、黙読する時間を作る。絵本などの読み聞かせから始める場合は、ストーリーを確認する意味で簡単にあらすじを確認する。
●子どもたちに、リストに出てきた人物に印を付けるように言う。
●子どもたちが印を付け終わったら、アニマドールは、本文中にだれがいて、だれがいなかったかを一人一人に言ってもらう。
●全員が発言したら、アニマドールは、合っているがどうか確かめるために、各人物が物語のどのあたりで登場したかを説明するように言う。
●いた人と、いない人が、はっきりしたら、終わりにする。

2,どんな絵本だった?

ねらい
●この本(物語)の言葉から、場面を想像し、自分なりの物語を作ってみる。
●お話のあらすじに興味を持つ

準備
●ステラのなくした絵本の内容について書かれた文章を抜き出したカード(人数分)
●参加者全員が前もって読んでくるのに十分な冊数の本(読み聞かせでも良い)

実践方法
●『ステラのえほんさがし』の本を読み聞かせる。
●登場人物を確認し、あらすじを確認する。ステラが絵本をなくし、その絵本を手に取った登場人物が絵本について述べていることを確認する。また、なくした絵本の登場人物について確認をする。
●絵本の内容について書かれた文章を抜き出したカードを配る。
●同じカードを持った者同士で、グループを作る。
●そのカードが誰の言葉かを考え、発表する。
●すべてのカードが誰の言葉かわかったら、その言葉からどんなお話かを考えさせる。
●グループで話し合って、それらのカードからわかるお話を作る。
●お話ができたら、グループごとにできたお話を発表しあう。
●全グループが発表したら、作戦を終わらせる。

作戦「どうして?」
1,『うさぎのおいしい食べ方』
 『あらしのよるに』と同じ時期にきむらゆういちが作ったお話です。
 『あらしのよるに』と比べると感動というより、ユーモアがありお話のおもしろさを味わうことができます。おおかみゴンノスケは、ガブに比べると、格調高くはなく、すぐに騙される、間抜けな親しみのある存在です。その点で庶民的であるとも言えます。

 
 「どうして?」という問題文の答えを、本文の中から答えをさがして答える活動です。

ねらい 
 掘り下げて読む
 登場人物の感情や態度に気づく

準備
 「どうして、」からはじまる質問を書いたカードを人数分用意します。

実践方法
 まず、読み聞かせをします。
 読んできた本の要約を簡単にします。
 次に、カードを一人一枚ずつ配ります。(グループに一枚ずつでも可)
 全員配ったら、カードに書かれた文章を、質問を考える時間を与えます。(問題の答えを考える間は、本を見ないこととします。)
 同じ問題のカードを持った子は、一緒に考えてよいことにします。
 カードを交換したい子は交換します。
 アニメーターは、一人ずつ自分のカードを読みあげます。子どもたちは、その答えを言います。答えがわからなかったときは、他の子どもにも答えてもらいます。また、他の子どもが別の意見があれば、意見をだしてもらいます。 

「うさぎのおいしい食べ方」問題文

1.どうしてうさぎは、ゴンノスケが「食べてやるぞ。」と言ったとき、「どうぞ、食べて・・・・」と言ったのでしょう。

2,どうして、にんじんを取りに行ったゴンノスケは、かけ足で家にもどり、そうっと、まどからようすをうかがったのでしょう。

3,どうして、うさぎは、毎日ゴンノスケの帰りを待っていたのでしょう。

4,どうして、ゴンノスケは、毎日、にんじんをさがしに森の中をかけまわらなければならなかったのでしょう。

5,どうして、ゴンノスケは、家の前に畑を作り、毎日畑をたがやしたのでしょう。

6,どうして、ゴンノスケは、ますますやせていったのでしょう。

7,どうして、ゴンノスケは、ぱたりと畑の上にたおれこんでしまったのでしょう。

8,どうして、うさぎは、畑でたおれたゴンノスケをだきおこして、ベッドまでひきずっていって、やさしく毛布をかけてあげたのでしょう。


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