「教育新聞」2010年4月14日号でアニマシオンについて文章を発表しました。


「教育新聞」2010年4月14日号は「学校図書館特集」です。

「どう生かす国民読書年、学校図書館」というテーマで日本書籍出版協会理事長の小峰峰雄氏や学校司書の中山美由紀氏、司書教諭の小川三和子氏、の意見や日本学校図書館協議会理事長の森田盛行氏、文部科学省初等中等教育局児童生徒課長の磯谷桂介氏、文字活字文化推進機構理事長の肥田美代子氏、日本児童図書出版協会理事長の竹下晴信氏、川口市立飯仲小学校司書教諭の熊谷一之氏、の座談会なども収録されている。

その最後のページに私渡部康夫が、「読書へのアニマシオン」についての書かせていただきました。以下にその文章を紹介します。

 


読書へのアニマシオン
   人と人の心を結びつける読書活動


 読書とは「文字を読むこと」だけではない。本を読むことで五感を呼び覚まし、生活の中で食事をするように自然に感動し、自然に生きる糧にする営みである。そのためには、紙の上で文字や絵で表現される内容の意味や指し示す内容を読み取り、感じ取ることが必要である。しかし、文字を音声に直すだけであれば機械でもできるのであるが、その時に湧きあがる感情や意識といった心をも深めていく営みは人間でなくてはできないことであり、そのような読み取り方を支援するのが、読書指導の根幹であらねばならないと思う。また、それぞれの感じ方や思いは人により少しずつ異なるので、それぞれの感じ方や思いを伝え合うことにより、自分だけでないという連帯感が生まれ、人と人がつながりあうことができるのである。そんな人間同士の心の交流までを読書活動であると考える。
 「読書へのアニマシオン」は、ただ単に文章の内容を文字などを言語的に理解するだけでなく、読書活動を通してどのように心の交流を図っていくのかを目指した読書活動プログラムである。
 例えば、絵本を読んでから絵本の登場人物になって動いてみる「聴いたとおりにします」という作戦は、思わず登場人物になりきってしまう幼児にとって自然な活動であり、子どもたちにとって楽しい活動である。実際に出てくる登場人物に出てこない人物を混ぜたリストをもとに、誰が出てくるかを当てさせる「いたかないなかったかな」という作戦は、クイズの形を取りながらどんな登場人物が出てくるかを考えさせることによってそれぞれの登場人物を思い起こさせることができる作戦である。
 詩の本やなぞなぞの本を使って、言葉遊びやなぞなぞ遊びをするのも子どもたちが大好きな活動である。本を読むと自然にそうしたくなる活動である。一編の詩のフレーズをばらばらにして並び替える活動は、正解どうりにならず、順序が違っても趣のある詩ができて、言葉への関心を高めるのに有効な方法である。
 『ステラの絵本さがし』(リサ・キャンベル・エルンスト作 藤原宏之訳 童心社)は、ステラが図書館から借りた本がなくなって、ステラが絵本をさがすお話である。その絵本はいろいろな人の手を渡っていって結局図書館に戻るのであるが、一度絵本を手にした登場人物は、その絵本についての感想を述べている。その絵本についての感想の言葉を書きだしたカードを子どもたちに配り、それが誰の言葉かを当てさせることによってステラの探している絵本がどんな絵本かなという思いを高めることができる。誰の言葉なのか分かったら、それらの言葉をたよりにステラの探していた絵本はどんなお話だったのか想像させるのである。
 このような活動は、子どもたち自身が、本を読んだ後に自然に起こる、こうしてみたいなと思うことであり、無理なく活動ができる。
また、本は文字だけでなくさし絵や写真など様々な媒体で成り立っている。本で出されたものが、そのまま映画やアニメになる場合もある。子どもたちにそれらのメディアについてその特性や読み取り方を知らなくてはならない。場面の説明の文章のカードからその場面のさし絵を探したり、絵本の場面の絵から気がついたことを自由に発表して、一枚の絵の多様な表現に気づかせるなどの活動があり、無理なく子どもたちの自然な活動としてさし絵や写真の持つ意味について考えさせようとするのである。
 これらの活動は、読書だけでなく、いろいろな教科の学習で利用できるものではないかと思う。

川崎市立白幡台小学校 司書教諭
            渡部 康夫


読書のアニマシオンのページへ

子供の読書のホームページへ

ご意見・ご感想はここをクリックしてください。