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医学博士 白石洋介

顎関節のこと

 顎関節は、解剖学的構造が手足の関節とは違っています。「私は時々顎が外れる・・・」という方がおられますが、顎は基本的に外れないのです。慢性顎関節脱臼 Chronic TMJ dislocation は起ることがあります。高齢者が長期臥床についているとき、ポカンとして口を開けたままにしていると、本当に顎関節が脱臼してしまうのです。発見が遅れて放置されると頬骨と側頭骨の間にまで入り込んで外れてゆきます。なぜ顎関節は脱臼しないのか? それはもともと正常な顎関節でも、大あくびした時などは関節骨頭が関節窩の前方を乗り越えてしまう関節だからです。では、どうして顎が急に閉じれなくなるのでしょう。それは顎関節には関節内に円板と呼ばれる線維軟骨があり、それが関節頭の動きと連動できなくなり、円板が取り残されることで口が閉じられなくなるのです。
 また、顎関節の動きは頚椎の動きと連動します。特に上位頚椎(後頭骨・環椎・軸椎)との機能解剖学的・運動学的関連はとても強いのです。ですから顎関節症が生じることで肩や頭にコリや痛みなどを感じることも起きうるのです。
 顎関節についての専門医は口腔外科医(歯科医師)ですが、脊柱や四肢の関節を施術の対象とする柔道整復師との医療連携の上、治療されることを強くお勧めします。しかし、残念ながら、柔道整復師のほとんどは顎関節は脱臼すると教育されており、私以外に医科学的(形態学的)研究をしているものもおりません。以下に顎関節に関する形態学的研究の一端を示しました。顎関節症で悩まれ、当院へ来院の患者さんの安心につながれば幸いです。


ヒトの顎関節には、まだ知られていない機能的靭帯があります。1995年 白石洋介


両側の顎関節が慢性的に脱臼していた貴重な例

顎関節症の分類