伝わってゆくもの

  
 「ユークイ」「ユークイ」女たちが両手を掲げ、海に向かって声を
 あげる。
 青年たちが漕ぐ紅白2艘の船がしぶきを上げ、競って沖の小島を往
 復するフナクイの儀式は、沖縄・西表島に500年続くといわれる
 節祭(シチ)のハイライトだ。世乞い(ユークイ)とは、「幸せよ
 来い」との島人たちの願いが込められているという。
 なんて美しく切ない言葉なのだろう。

  
 沖縄・八重山地方には古くから、染織の仕上げに「海ざらし」とい
 う方法が伝えられている。
 西表島で工房を営む石垣昭子さんは、途絶えていた島の染織を甦ら
 せようと、芭蕉や苧麻(ちょま)を栽培して糸を取り、福木、藍、
 紅露(クール・イモ科)などの草木で染めて布を織る。
 絹や綿などの自然素材と織り合わさった芭蕉布はさらっと軽く肌に
 優しい。浦内川の気水域で自然のマブヤー(魂)を吸い込んだ清ら
 かな布が今、誕生を待つ。

  
 「あのね」 公園で出会った小さな二人はもう友達どうし。
 小枝や石ころで遊んだり、木登りしたり。
 寒さもへっちゃらで広い公園を自由に駆け回る。
 夕陽が二人を包むまで、魔法の時が流れている。

  
 大輔君は予定日よりひと月ほど早く、1448グラム
 で生まれた。母、友子さんは毎日病院に通い、
 つらい治療や検査を受けるわが子を見守った。
 今、大輔君は6歳。毎日元気に幼稚園に通い、下
 の子の世話もできる優しいお兄ちゃんに成長した。