D女友だち

 大好きな女友だちが北アルプスの麓に移り住んで三年。彼女は「ウテキアニ」という名の助産院をそこで営んでいる助産婦で、三人の子供を育てながら月数件のお産を受けている。
 私は時折訪ねては、彼女の持つ不思議な力に癒されて帰ってくる。
 温もりのある木の家には太陽がサンサンと当たり、庭には季節の野菜やラベンダー、カモミール等のハーブが植えられている。
 そこで赤ん坊の世話をし、お母さんたちの相談にのったりする。

E母になる

 お産に立ち会っていると、当たり前なのだが、夫婦の関係が垣間見えることがある。
 全てのカップルが仲むつまじく幸せいっぱいかというと、必ずしもそうではないのが世の女と男の不可思議さ。
 シングルマザーもいれば、出産後すぐに離婚というカップルにも出会った。
 子を持つことで夫婦の絆は強くもなり、また揺らぎもする。育児の悩みイコール夫婦間系の悩み。あーこれって、子育て真っ最中の私の実感でもある。
 妊娠から出産までの十ヶ月、長いようで短いこの期間に、親になるための意識が芽生え、育まれる。その間、実感が希薄な夫がしらんぷりだと、女はちょっと寂しい。
 出産の時に、温かいまなざしやねぎらいの言葉をかけてもらったら、きっと女たちは自分を肯定し、母性の根をうまく大地に伸ばしてゆけるだろう。

F赤ちゃんの守護神

 日本の新生児医療は世界でも名高い。小児科医、とりわけ新生児科医と呼ばれる医師たちの、昼夜を問わぬ、たゆまない努力がたくさんの赤ちゃんの命を救っている。
「NICU」という言葉をご存じだろうか。そこは赤ちゃんの救急病棟で、集中的に医療と看護が行われる場所である。たくさんの看護婦さんや医師がチームになって働いている。
 母乳育児を熱心にすすめる、長崎大学小児科の福田雅文医師もその一人。
 お忙しい先生の後ろにくっついて、そのお仕事ぶりを拝見した折に、お母さんに寄り添い、深く温かい眼差しで赤ちゃんに接しておられることを感じた。写真を撮る際、まぶしすぎぬよう赤ちゃんが怯えぬよう配慮され、そしてなんともよくニコニコと話しかけられていた。
 こんなに小さくても一人の人間。ああそうなんだ。
 人間味あふれる赤ちゃんの守護神は、けれども今、減少の傾向にあるという。

G保育園の四季

 働く親にとって保育園は大切な支えだ。0歳の赤ちゃんから就学前の幼児たちが集団で生活を共にする。
 早朝から陽が沈むまで、泣いたり、笑ったり、けんかしたり。小さな身体と心は親と離れる葛藤を経て、たくましく成長を遂げてゆく。
 子どもだけでなく、親も同様に胸を締めつけられたり、後ろ髪を引かれたりしながら日々を重ねてゆく。
 遠足など楽しい行事もたくさんある。お迎えの時、母親同士のおしゃべりもまた、心なごむひとときだ。
 そして、保母さんたちは悩める親子を温かく見つめてくれる。子どもの力を信じていてくれる。
 保育制度は今、そのシステムが見直されているという。
 子供たちが安全で心身ともに伸び伸びと過ごせるよう、安心して保育園に預けられるよう、願ってやまない。