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冬目作品の感想等

各作品毎に感想書いています。

以下の感想は2001年2月に書いたものであり、
コミックスの刊行の状況は当時のものです。


「黒鉄」

「羊のうた」

「イエスタディをうたって」

「百景」

「ZERO」

「僕らの変拍子」

kurogane


 

「黒鉄」

● モーニングにて不定期で掲載中
● 講談社 モーニングOPEN KC 1〜4巻

「くろがね」と読みます。 時は江戸時代、鉄の仮面で顔を覆った渡世人「鋼の迅鉄」が活躍する時代劇であります。 迅鉄は今でいうならサイボーグでしょうか、迅鉄は一度その命を落とすのですが、ある男の「からくり」技術によって身体の大部分を改造されて甦るのです。 鋼の身体となった迅鉄は、相棒ともいえる「銘刀 鋼丸」(なんと話す事ができる)と共に渡世人として諸国を放浪するのです。

時代劇としては「殺陣の動き」よりも「科白」で決めるタイプでしょうか。

作品の見どころはその迅鉄の魅力とエピソード毎に登場する女性キャラです(この辺が見どころというあたり、管理人の感性は偏ってます)。 

迅鉄は誰よりも渡世人やその世界を憎んでいます。 その憎むべき世界でしか生きられない悲しみが伝わってきます。

「あの小さな田舎町で地味に暮す そんな当たり前の幸せが俺は欲しかった」

迅鉄が時折見せるやさしさや行動は、その当たり前の幸せを持つ事のできる人達を守りたいと思う気持ちの表れなのかも知れません。 迅鉄に女性ファンが多いのは、その辺りがウケているのだと思います。

その迅鉄と関る事になる女性キャラもまたいいのです。 和服の綺麗どころが沢山拝めますので和服フェチにはきっとこたえられない事でしょう。  ちなみに管理人は、お焔さんと朱女ねぇさんに惚れました。

最後に「火渡りの錬司」について書いておきます。 錬司は迅鉄と同じく親分を持たない渡世人ですが、迅鉄よりもより渡世人らしくこの世界で生きています。

「俺ぁ・・・・どこまでも非情でありてえ」

たった一人で渡世を渡る人間にとって、このセリフはごく自然なものなのかもしれません。 錬司が渡世人になった経緯は作中にて明らかにされていませんが、もとは情の深い人間であった錬司が、渡世にもまれていくうちに非情な渡世人になりきろうとしたのではないでしょうか。 非情なアウトローの魅力を持ちながらも、心の中では情が深く、それを滅多に表に出すことがない。 錬司格好いいぜっ!!

迅鉄と錬司・・得票数同数にてW当選です。

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hituji


 

「羊のうた」

● コミックバーズにて連載中
● ソニーマガジンズ バーズコミックス 1〜5巻   スコラ スコラSC 1〜3巻(絶版)

都内の高校に通う高城一砂は、ある日突然に眩暈をおぼえます。 一砂は貧血にも似たその症状に疑問を持ちながらも、その時に見た夢に導かれるようにかつて幼い頃過ごしていた「家」に向かいます。 そこでは生き別れた一砂の姉である高城千砂との再会が待っていました。 姉である千砂は一砂に高城の家に伝わる奇病の事を伝えます。 そして自らも発病しているのだとも。 それは突然他人の血が欲しくなるという吸血鬼にも似た症状の病気でした。 一砂は自分が発病した事に気付きます。 

やがて千砂と一砂二人の姉弟は自分たちを世間から隔離するようにこの家で暮し始めるのです。 この物語はそんな二人の姉弟とそれを取り巻く人達によって展開します。

見どころは千砂と一砂のちょっと危うい関係(失礼)と魅力的な女性キャラでしょうか(またかよ)。

千砂は父の面影を残す一砂を父の身代わりとして側に置こうとします。 一砂はまわりの大切な人達を傷つけたくないとの思いから千砂と暮し始めます。 そんな二人が古い日本家屋で暮しているのです。 その生活は世間から隔離された空間としての意味も含めて独特の雰囲気を持っており、千砂の血を与える行為とその描写はある種のエロチシズムが感じられます。 

次に魅力的な女性キャラです。 この作品では千砂さん(なんでここから「さん」付けやねん)と八重外さんが人気を二分しているようです。 

千砂さんの魅力は、その美しさとわざと他人を突き放すような性格でしょうか。 あと病弱で床に伏せっているところや、家の中では和服なのもポイント高いです。

八重樫さんの魅力は、物語初期の不思議少女ぶりと自分の気持ちに気付いた後の一途さでしょうか。

『そんなの ヤダ・・・・』

もう高城君に会えないかも知れない、そう考えただけで彼女が泣いてしまうシーンは強く印象に残ってます。

ちなみに管理人は「千砂さん」派です(誰も聞いてねぇって)。

最後に・・一砂お前もて過ぎだよ・・・

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yesterday


 

「イエスタディをうたって」

● ビジネスジャンプにてシリーズ連載中
● 集英社 ビージャン YJC 1〜2巻

「イエスタディをうたって」タイトルの由来はRCサクセションの同名の曲だそうです。 

大学を卒業した後もフリーターとしてコンビニでアルバイトをしている青年、魚住陸男(リクオ)。 そんなリクオの前に野中晴(ハル)という女の子が現れます。 ハルはリクオに好意を寄せて暇さえあればリクオのバイト先のコンビニに通いますが、リクオの気持ちは大学時代の友人、森ノ目しな子に向けられており、ハルにはそっけない態度を取ってしまいます。 そんな三人の想いは重なる事のないまま、ゆっくりと時間は流れていきます。

この作品は、陸男、晴、しな子、そしてしな子の幼馴染みである高校生の浪、彼らを中心にそれぞれの想いとその日常を描いています。

作品の見どころは、まずコミックスの一巻全体とハルのキャラクター、そして彼らの関係でしょうか。 管理人としては「しな子」さんが一番の見どころだったりします。

2巻以降を否定するつもりは全くないのですが、この作品は一巻だけで完結してもおかしくないような気がします。 それだけ一巻の完成度が高いのかもしれません。 何度も読み返したくなる一冊であります。 特に一巻のラストシーンは大好きなシーンでありまして、読み終わった後の爽やかさが管理人をいい気分にさせてくれます。

次にハルちゃんですが、リクオ曰く

「やっぱ 変な女」

彼女の言動は確かにちょっと変わっています。 それだけに今までの既存のキャラクターとは違う魅力があるように思えます。 拗ねたり、照れたり、怒ったり、笑ったりくるくる変わる表情と、時折見せるするどいセリフもあいまって魅力的なキャラになっていると思います。

この作品で彼らは、それぞれが問題を抱えていています。 お互いに慰めあっても不思議でない状況の中でそれをしない彼らの関係は、管理人にとってかえって新鮮にうつります。 この新鮮さもこの作品の魅力の一つだとおもいます。

最後に管理人が全冬目作品で一番好きな「しな子」さんについて何か書こうと思ったのですが・・・・あまりにも長くなりそうで割愛します。 いつか独立したコンテンツでなにかやってみたい気がします。

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hyakukei


 

「百景」

● 「文車館来訪記」とイラスト及び未発表漫画を収録した「百景」のカップリング
● 「文車館来訪記」はモーニング新マグナム増刊にて連載
● 講談社 

−文車館来訪記− 

街の片隅にあるもう一つの「町」、そこは物の怪と呼ばれる者達が暮す場所です。 

この作品は、その「町」にある一軒の写真館「文車写真館」を舞台に、その写真館の主人「ヨオ」と生き人形の「イアン」を中心に、写真館に訪れる人や物の怪の「過去」や「想い」にまつわる物語をオールカラーにて描いています。

作品の見どころですが、全体が見どころと言ってもいいのではないでしょうか。 オールカラー漫画の特徴であるその色彩を、作品全体にわたって楽しめると思います。 管理人の個人的な好みでは、赤(朱、紅)が映えるような配色が好きです。

誰でも長年愛用している道具などに愛着がわく場合がありますが、ではそういった「物」たちの想いとは一体どういったものなのか?

この作品を読んでいると、ふとそんな事を考えてみたりしてます。


−百景−

漫画以外でのメディアや同人誌で発表したイラスト及び漫画、学生時代に描かれた絵などが収録されています。

これはもう単純にイラスト集として楽しめます。 また冬目先生の漫画以外の仕事や創作活動を知る事ができるのも嬉しいですね。

これを読んでいると、冬目先生は本当に金魚と妖怪と和服がお好きなんだなと感じます。

収録されている漫画「金魚を買いに行く」ですが、作中の二人の人物が「イエスタディをうたって」のリクオとシナコさん(髪の毛ロングの初期の頃の)にダブってしまうのは管理人だけでしょうか?       

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zero


 

「ZERO」

● コミックバーガーにて掲載
● ソニーマガジンズ バーズコミックス 全1巻  スコラ バーガーSC 全1巻(絶版)

正直に言います。 この作品を最初に読んだ時、その内容にひきました。

高校生の釘町は、以前の学校で刃傷事件を起こしたと噂される、間尾洋子と知り合います。 釘町は噂されるイメージと違う間尾の素顔を知り、彼女のことを少しだけ気にかけるようになります。 やがて間尾はあるグループと共に行動するようになりますが、そのグループに利用された結果、警察に捕まり学校も退学する事になります。

そして街から間尾洋子の姿が見えなくなって久しくなった時、事件は起こります。 全校集会に遅れて来た釘町が見たものは、大量の致死性ガスで死に絶えた生徒と教師達の死体、そしてこの結果を生んだ間尾の姿でした。

この作品は間尾が復讐にいたる経緯と、学校を脱出しようとする釘町達の闘いを描いています。

最初にも言いましたが、始めてこの作品を読んだ頃はその内容の痛さから、ほとんど評価していませんでした。 ところがです。 ある日この間尾というキャラクターの表情が意外と豊かなことに気付きました。 ただ単に、管理人が間尾というキャラクターを気にもとめていなかっただけなのですが、一度そういった事に気付いてしまうと作品全体も違って見えるようになってしまうから驚きです。

それから何度か読み返すようになり、本当に間尾の顔に傷はあったのか?とか、会長はやっぱり死んでいるのか?とか、最後の花火はどうかなぁとか・・・気が付けばZEROの事ばかり考えている自分がいました。 決して万人向けの作品でないと思いますが、冬目先生はこういった作品も描くのだ(描いたのだ)という意味でも一度読んで欲しい作品です。

最後に、間尾さんファンは多いです。 管理人もあの表情に惹かれる時があります。

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bokura


 

「僕らの変拍子」

● コミックバーガーにて掲載された短編を収録
● ソニーマガジンズ バーズコミックス 全1巻  スコラ バーガーSC 全1巻(絶版)

−僕らの変拍子− 

高校生の頃、友人が只の両切りタバコ(いやタバコもだめっすよね)だと思って吸ったら、実は・・・だったってのは実際にあった話しであり。 彼はあくまでそれとは知らずに吸ってしまい、後にも先にもそれ一回きりの経験なのですが、管理人も含めてかなりビビり入った覚えがあります。 という訳で僕らの変拍子を読むと、その頃の記憶が鮮明に甦ったりして妙な気持ちです。 

この作品は短編として巧くまとめてる感じがします。 できるなら冬目先生にはもっと短編を描いて欲しいんですが、今の仕事量を考えるとちょっと難しそうですね。

高校生の柳川君は、ある日同じ高校に通う有島さほと知り合い、彼女の開く非合法なパーティに参加するようになります。 それは今の自分に対する逃避でしかないのですが、やがてある事がキッカケとなり実際に逃避行を決行する事に・・・

この作品の有島さほの確信犯的なところ(ハッパの事では無くて、柳川君を巻き込むように行動するところ)がいいです。

で、彼女にはスカートは似合わないと思うのですが、どうでしょう? 後半のショート丈のパンツスタイルはよく似合ってる気がします。

最後に・・・違法なハッパはいけませんよ。


−幽霊のいるまち−

大人になっても記憶に残っている、少年(少女)時代の少しだけ不思議な思い出。 誰にでもあるんじゃないんでしょうか?  この作品ではそんな思い出を、そのまま漫画にしたような感じがあります。

一人の少年と幽霊のような女性の一時のふれあいがこの作品の軸となります。 作中では小道具として出てくる幻灯機(げんとうき)が、幽霊さんの存在をより不思議で神秘的なモノとして印象付けていると思います。 そして最後のモノローグの部分では「今でも探してしまう−中略−彼女の姿を」と語られて、お話しは少年の曖昧だけど深い思い出の記憶として終わります。 

読み終えた後に、切なさとちょっとだけの懐かしさが残ると言ったら良いのでしょうか。

幽霊さんの「でも・・・あたしはこの町で死ねて良かった」の時の表情が凄く好きです。


−現国教師RC−01−

この作品にはロボットの先生が登場します。 外見上はほとんど人間と変わらず、表情や仕草も人間のように振舞います。 その名も「鈴木RC−01」。

そんな鈴木先生の教え子である原田君は、彼女を所詮機械だと冷たく対応するのですが、何時しか彼女を気にかけるようになります。 そして鈴木先生のピンチの時には彼女を救おうとするのです。 しかし今度は原田君がピンチに・・・・その時鈴木先生は・・・・

作中の出来事だけ見てみれば、決して楽しい雰囲気ではないんですけど、作品からは何故か温かみが感じられます。 鈴木先生のデザインやコマ内の効果も面白く斬新です。

そしてラストが良いですね。 実は短編の中でも管理人の好きな一遍だったりします。

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−醒めてみた夢−

交通事故の直後、伊達川君が薄れいく意識の中で見た一人の女の子の姿、でもそれは実は疫病神でありました。

疫病神さんは、伊達川君が自分の存在を認識しているのが嬉しくて、好かれる疫病神をモットーに頑張ってしまいます。 退院後以前よりちょっとだけ不幸になった伊達川君、そんな彼を気にかけるクラスメイトの近江さん、そして人並みの感情をもった疫病神さん。

この物語は、不幸にも疫病神にとり憑かれた伊達川君の、チョットだけ不幸な日々をコミカルに描いてます。

あらためて読んでみると近江さんと疫病神さんの表情がいいですね。


−銀色自転車−

学生時代の付き合いであり、過去の事としてまだ完全には割りきれない時期、彼女は社会に出て働いているが男は未だモラトリアムの中。 学生時代の頃から変わらない男に対して散々当り散らした挙句、彼女は突然に結婚という現実を口にします。 

こう書くとシリアスっぽいんですが、作中では決してそんな事は無いんです。 むしろ少しコミカルです。 コマのバックの模様がかなり面白いですね。 

この作品に登場する大田君ですが、彼は彼女から結婚と言う現実を付きつけられる事でようやく動きだします。 

いつまでも同じ所には居られず、自分はそのままでも周りが変わってゆく、その現実に対して彼はどうするのか。

ラストはしっとりとした爽やかさで迎えてくれます。


−こんな感じ−

先の三作品と違って完全にコメディです。 この作品に登場する松原君は、他の作品の人物には無いテンションで描かれてます。

浪人生の苦労もなんのその、大学選びは不純な動機の松原君に幸あれ・・・でも懲りないのね君。


−六畳劇場−

この作品好きです。

OLのすずなちゃんが酔って転がりこんだ部屋はかつての彼氏の部屋、今は別の人物が暮していて、そいつは自身過剰の生意気青年。 青年の青臭くも夢を見ることに疑いの無い姿勢に、すずなちゃんは芝居への情熱がまだ捨てきれない自分に気付きます。 そして・・・青年の言葉に刺激されたすずなちゃんは・・・・

「やってられるかぁーーーー!!」

ラストはちょっと恥ずかしいぞ、でもそこが良いんだけどね。

すずなちゃんの死んだ金目鯛の時のコマが凄い好きです。

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