やればできる卒論の書き方 第2部 研究と実験のやり方

中田 亨 

「かつてウエーバーに
『彼自身にとって彼の学問は一体どんな意味を持っているか』
尋ねたことがある。
『どれだけ耐えられるか、それを私は知りたい。』
これが彼の答えだった。」

—マリアンネ夫人『マックス・ウエーバー伝』

研究の心得

筆者が東大先端研にいたときに井街宏教授の授業で聞いたものをかなり含む。

  1. 下手でも気にするな。 「弱い犬ほどよく吠えるって言うけど、何にもしないよりはマシなんだぜ」(尾崎豊)
  2. 良いものは真似せよ。
  3. 工夫しろ。
  4. 道具を揃えろ。
  5. アイデアはすぐに具体化せよ。アイデアは天の恵み。だがすぐに他人に追いつかれる。
  6. 論より証拠。考えるだけではだめ。
  7. 専門家や本の言うことを安易に鵜呑みにするな。これらは断定的に語りがちである。
  8. 自分なりの仮説を常に持て。
  9. 統計結果を結果と思うな。それが何を意味し、何に使えるのか、生産的に考える。
  10. 逃げ腰は禁。弱気で成功する研究など、もう残っていない。
  11. 自分の専門を限定するな。
  12. 包括的に考えろ。鳥の視点から見渡す。
  13. 凝るな。凝ったアイデアより素朴なアイデア。問題に突き当たったら、直接的で露骨な力技に走るよりも、問題の前提を洗い直す。問題を分解する。「AもBも行うもの」は得難いが、バラバラにできるなら簡単になる。いっそAなしでBは出来ないか。思考の惰性を無くす。
    「複数の新しい変化を、いっぺんに試すな」 (The Edsel Edict, Gerald Weinberg)

実験の計画

「実験にかかる莫大な費用・労力・時間・失敗を考えれば、速戦速勝が最良の方策である」(孫子)

★格言その1
「論文を書いてから実験する」(ランドシュタイナー)
「勝ってから戦え」(孫子)

★格言その2
「自然の真理を知りたければ、優しく尋問してもだめである。自然を拷問にかけるべし」(ロジャー・ベーコン)
「敵の主力軍を、我が方の望む場所と日時に誘き出し、一気に決着をつける」(孫子)
“Good science is in the details.” 「科学は細部に宿る」(Allen Newell)

★格言その3
「みんなと逆のことをやれば、だいたい正解である。大多数の人間は間違っている」(マーヴィン・ミンスキー。金出武雄「独創はひらめかない―『素人発想、玄人実行』の法則」より)
「敵の虚を衝けば快進撃できる」(孫子)

★格言その4
「直せなかったら機能にしてしまえ」(The Bolden Rule, G. M. ワインバーグ)
「回り道をしているように見せかけつつ、実はゴールに先着するように策戦を立てろ」(孫子)


四つの格言の詳細はブルーバックスをご覧ください。
講談社ブルーバックス 講談社ブルーバックスより「理系のための即効!卒業論文術」

「卒論の書き方 第3部 研究者と社会」につづく