標題1

架空送電線(がくうそうでんせん)とは何でしょうか
What kind of facilities is the Overhead power transmission line?


2011.07.20 更新[ニュージーランド最高運転電圧情報修正]
(更新履歴:目次下に掲載)

100万ボルト西群馬幹線写真
<写真説明>
我が国最高電圧の、100万ボルト設計「西群馬幹線」経過ルート
場所は、長野県、南相木村。 
遠くに雪を頂いている山は、八ヶ岳。


目 次
・架空送電線とは何でしょうか
 
(What kind of facilities is the Overhead power transmission line?)

・送電線大容量化・高電圧化への挑戦
 
(The engineer always challenged technology to raise the voltage to increase transmission capacity.)

・送電電圧の上昇推移
 
(The change of the historic rise of the power transmission line voltage)  

・世界主要国の最高運転電圧一覧

(A table of the most high voltage of the power transmission line in various countries in the world)

更新履歴(2006.08.15以降)

更新年月日 更新内容
2007.06.03 「送電線大容量化・高電圧化への挑戦」追加
2007.06.07 送電電圧の上昇推移グラフ掲載
2007.06.23 送電電圧の上昇推移グラフ、海外送電線データ追記
2007.07.11 送電電圧の上昇推移、海外1969年765KV解説記事訂正
2007.07.15 送電電圧の上昇推移、海外1901年60KV解説記事掲載
2007.07.19 送電電圧の上昇推移、海外1898年40KV掲載
2007.07.21 送電電圧の上昇推移、訂正・掲載完了
2007.08.01 送電電圧の上昇推移、海外、旧ソ連500KV掲載
2007.08.30 送電電圧の上昇推移、海外、1923年、ドイツ220KV掲載
2007.10.20 世界主要国の最高運転電圧一覧
2007.11.01 世界主要国の最高運転電圧一覧、解説掲載
2007.11.11 送電電圧の上昇推移、八百津線訂正、鬼怒川線追加
2008.08.23 ロシア1150KV送電線の525KV運転情報追記
2009.02.01 中国UHV・1000KV運転開始情報追記
2009.09.01 各項目トップに英文掲載
2010.02.05 中国UHVDC+/-800kV送電線情報追加
2011.07.20 ニュージーランド最高運転電圧情報修正

トップページに戻るトップページへ戻る


・架空送電線とは何でしょうか (What kind of facilities is the Overhead power transmission line?)

The power transmission line is the electric track which links the power station to the Distribution substation.
And the Overhead power transmission line is the electric track (facilities to carry electricity) to by towers and electric wires; (is not underground cable).
 まず、発電所で発電した電気を、電線を用いて電気を使用する場所まで送る設備を総称して「電線路」という。

「電線路」


 「電線路」は、通常は発電所から出て、いくつかの変電所を経て、電気を使用する需要家まで地上又は地下に敷設され、電気の使用場所が一般家庭であれば最終的には宅内の屋内配線を経て各部屋のコンセントまで敷設されている。

 発電所で発電された電気は、すべて「電線路」を通って電気の使用場所まで送り届けられる。

 この電線路は、電力流通設備として瞬時も休むことなく稼働しており、我々の日常生活に欠かすことの出来ない重要なインフラストラクチャーの一つである。

「送電線」


 「送電線」とは、「電線路」のうち
 ・発電所と発電所の間を結ぶ電線路
 ・発電所と変電所の間を結ぶ電線路
 ・変電所と変電所の間を結ぶ電線路

をいい「電線路」のうち大電力を送る部分を指している。

 一方、変電所から電気を使用する各需要家までの「電線路」は、「配電線」という。

 したがって、
発電所で発電した電気は、いくつかの変電所を経由して「送電線」と「配電線」を通って各需要家まで送り届けられる。

 なお、大規模に電気を使う工場とか、大きなビル(デパートなど)にはその需要家内に変電所を設けて、配電線を介さずに直接送電線で電気を受け取る需要家もある。

 右図の赤線は、高い電圧ほど太く表現してあるが、太さが違っても赤線は全て送電線である。


「架空送電線」


 「送電線」をその設備形態で分けると、地上に鉄塔などの支持物を建ててそれに電線を張って電気を送る設備と、地下にケーブルを敷設し電気を送る設備の大きく2種類に分類できる。

 前者を
「架空送電線」、後者を「地中送電線」と呼んでいる。


 
このホームページでは前者の「架空送電線」についていろいろ解説をしていく。

 なお、「送電線」は、送る電気の種類(交流または直流)に応じて「交流送電線」と「直流送電線」に分けられる。

 日本では、ごく一部に直流送電線(津軽海峡横断および紀伊水道横断の送電線などで、その海上部分は海底ケーブル・地中送電線)があるが、大部分は交流送電線であるので、あえて「交流送電線」と呼称せず、単に「送電線」と言えば「架空送電線」でも「地中送電線」でも交流送電線を指していると思って間違いない。逆に、直流の電気を送電するものは「直流送電線」とはっきり呼称している。






・送電線大容量化・高電圧化への挑戦 (The engineer always challenged technology to raise the voltage to increase transmission capacity.)

The transmission capacity increases in proportion to square of the transmission voltage.
Therefore, the engineers wrestled with many efforts to raise the transmission voltage for transmission capacity increase measures desperately.
 本格的架空送電線は、1891年ドイツで誕生(「世界初の送電線誕生の物語」の項を参照)したが、それを出発点として今日(2007年)まで110年以上に亘り、送電線は我々の日常生活に欠かすことの出来ない重要なインフラストラクチャーの一つとして、社会・経済の発展と共に高度な進歩を遂げてきた。

 
送電線に関する110年以上の歴史を一言で表現すると、送電電圧の上昇すなわち大容量送電への挑戦であった。

 世界各地の大都市の発展、大規模工場地帯の発展は、大容量の電力を次から次へと呑み込んでいき、それに応えるため、電力・送電技術者は大容量化に挑戦し続けてきた。

 送電線の送電容量を増加させるためには、下記の計算式から分かるよう、電圧を上昇させることが必要であった。


 [送電容量=[電線係数]×[負荷係数]×[送電損失率]×
(電圧の二乗)/(送電線こう長)
(専門技術者の方のみ、注参照)

 送電線が送電可能な電力は、使用する電線性状および供給する負荷条件が同一であれば、送電電圧の二乗に比例し、送電線の長さすなわちこう長に反比例する。

 送電容量を増加させるため、電線を太くする方策もあるが、電線の製造条件、建設工事施工条件、および保守・管理条件などから、電線の太さは通常、直径が3〜4cm程度以下の太さの電線を使用せざるを得ず、無闇に太くできない。
 
 したがって、送電容量を増加させるには、送電電圧を上げることが最適な解決策であり、二乗に比例して増加するのでその効果は極めて大きい。

 しかし、送電電圧をあげるためには、下記の技術的難関が立ちはだかっていた。

(いきなり専門用語が出てきて恐縮だが、専門技術者以外の方は読み飛ばしていただきたい)

 ・絶縁性能の良い、高い強度のがいしの開発
 ・電線周りから発生するコロナ防止対策の確立
 ・高電圧送電線の開閉時に発生する特異な高電圧(開閉サージ電圧)対策
 ・高電圧・大電流を開閉可能な高性能遮断器の開発
 ・送電線周囲の他電線路への電気的影響防止対策の確立
 ・大型構造の支持物開発
 ・建設工事施工技術開発

などなど、列挙すべき課題はあげればきりがないが、電力・送電関係技術者は常にそれらの諸課題に挑戦し、克服し続けてきた。

 この結果、本格的送電線が初めて誕生した1891年(明治24年)には、送電電圧15KV(キロボルト、1万5千ボルト)、送電容量数百KW(キロワット)であったものが、今日では送電電圧1,150KV(115万ボルト)、送電容量900万KWを超える設備が稼働しているまでに発展した。さらに送電電圧は1,500KV(150万ボルト)のものが建設可能な状況になっている。

 本サイトの各項を、閲覧されるに当たり、このような発展の歴史的背景があることをご理解されると、更に分かりやすいであろう。

(注):実際の系統では、運転電圧の増大に伴い、変圧器のインピーダンスが増大することなどの影響で、厳密には電圧の二乗には比例せず、1.7乗程度に低減する。





 ・送電電圧の上昇推移  (The change of the historic rise of the power transmission line voltage)  

 我が国および海外における、送電電圧上昇の推移を掲げる。

 送電関係技術者が、送電線電圧の上昇に挑戦し、約120年に亘り幾多の困難を克服して、電圧上昇を達成した歴史を下記に示す。
記号の解説 KV:キロボルト=1,000ボルト、(例:500KV=500キロボルト=500,000ボルト=50万ボルト)




 <海外(Foreign countries)                   <日本>

海外記号 国名
The name of the country
電圧(KV) 建設年 設備概要 日本記号 電圧(KV) 建設年 設備概要
A ドイツ
Germany
15 1891
世界初の本格的送電線。(The world's first power transmission line)
フランクフルト国際電気技術博覧会場(Frankfurt International Electric technology exhibition)へ、170Km離れたラウフェンの水力発電所から世界初の三相3線式交流送電が行われた。
博覧会終了後、フランクフルト市への電力供給に用いられた。
当HP「世界初の送電線誕生の物語」掲載

B アメリカ
The USA
40 1898
ユタ州(State of Utah)、テルーライド送電会社(Telluride Power Transmission Company)により、プロボ(Provo)水力発電所〜メルキュァ(Mercur)間、約56Kmに木柱2回線送電線が建設された。

この建設は、同社とウエスティングハウスが共同で、「スコット実験」として有名な送変電設備の高電圧化に関する試験を、1895年からコロラド州テルーライドで行なったが、その結果を反映して、推進されたものである。

送電線建設ルートは、ロッキー山脈の山中で標高が高く、その最高地点が海抜約3,000mにも達するため、耐高標高、耐氷雪、耐雷設計に苦心し、がいしは特殊ガラスがいしを使用したのが特徴である。

A 11 1899(明治32年)
沼上線

郡山絹糸紡績により、沼上発電所〜郡山間24Kmに建設された。
黒瀬川広島線
広島水力電気により、黒瀬川発電所〜広島間26Kmに:建設された。

C アメリカ
The USA
60 1901
カリフォルニア州(State of California)、ベイ・カウンティ電力会社(Bay Counties Power Company)により、ユーバ川のノースフォーク(North fork )水力発電所〜オークランド(Oakland)間、225Kmに木柱2ルートの2回線送電線が建設された。(当時、世界最長距離送電線)

特筆すべきは、使用電線が1ルートは硬銅線、もう1ルートは硬アルミ線が使用されたこと、更にサンフランシスコ湾の一角を鋼より線と特殊鉄塔で、1,350mの長径間横断(1回線)をさせたことである。
当HP「送電線の分類・規模」→「世界記録・日本記録」→「注1」参照)

D アメリカ
The USA
72 1906
ミシガン州(State of Michigan)、マスキーゴン(Muskegon)川水系のロジャーダム(Roger's Dam)〜グランドラピッズ(Grand Rapids)および途中から分岐してマスキーゴン(Muskegon)間、148Kmに、グランドラピッズ・マスキーゴン電力会社(Grand Rapids-Muskegon Power Company)により建設された。
支持物は木柱、がいしは、笠計356mm、4重ピン磁器がいしが使用された。

B 55 1907(明治40年)
駒橋線

東京電灯により、駒橋発電所〜早稲田間76Kmに建設された。

E アメリカ
The USA
110 1908
ミシガン州(State of Michigan)、マスキーゴン(Muskegon)川の、クロトン水力発電所(Croton Power Plant)〜グランドラピッズ(Grand Rapids)変電所間、56Kmに1回線三角配列・三角鉄塔2ルートが、グランドラピッズ・マスキーゴン電力会社(Grand Rapids-Muskegon Power Company)により建設された。

特筆すべきは、前年の1907年、
E.M. Hewlettにより開発された、ピンがいしに代わる、懸垂がいし(ヒューレット型がいし)
(注3)を5個連結し、使用したことで、従来ピンがいしの限界だった7万ボルトが一気に取り払われ、高電圧化への未来が開けたことである。


F アメリカ
The USA
135 1911
ミシガン州(State of Michigan)、オーセーブル(AU Sable)川のクック滝水力発電所(Cook Falls Development)〜フリント(Flint)間、約200Kmに三角鉄塔・1回線が、グランドラピッズ・マスキーゴン電力会社(Grand Rapids-Muskegon Power Company)により建設された。
上記、110KV線路と同様、がいしはヒューレット型懸垂がいしを8個連結で使用した。

C
60




66






1912(明治45年)
(大正元年)

八百津線
名古屋電灯により、木曽川水系の八百津発電所〜荻野変電所間42Kmに建設された60KV送電線で、運転開始は、明治45年(1912)1月である。


鬼怒川線
 鬼怒川線は、鬼怒川水力電気が鬼怒川温泉に建設した下滝発電所の電力を、東京市電に供給するため尾久変電所まで、124Kmの間に建設された66KV送電線で、大正元年(1912)12月に運転開始した。

G アメリカ
The USA
150 1913
ビッグクリーク線(Big Creek Line)
カリフォルニア州(State of California)、シエラネバダ山脈(The Sierra Nevada)のビッグクリーク( Big creek )から386Km南方のロサンゼルス(Los Angeles)へ水力電力を送電するため建設された。
当時、世界最長の送電線。

なお、使用がいしは、上記ヒューレット型懸垂がいしを更に進化させた、現在の標準型がいしに近い、オハイオブラス会社製の懸垂がいし(ボールソケット型)を使用した。(設計、工事および保守管理が格段に便利になった)
当HP「世界初の送電線誕生の物語」掲載

D 77 1913(大正02年) 谷村線
桂川電力りより、鹿留発電所〜目白変電所間85Kmおよび途中から分岐して六郷変電所間95Kmに建設された。
E 115 1914(大正03年)
猪苗代旧幹線

猪苗代水力電気により、猪苗代第一発電所〜田端変電所間225Kmに建設された。

H アメリカ
The USA

ドイツ

Germany
220 1923
(アメリカ)

ビッグクリーク線(Big Creek Line)

上記150KV送電線を、増容量計画に基づき設備改造して220KVに昇圧した。
当HP「世界初の送電線誕生の物語」掲載

(ドイツ)
アメリカとほぼ同時期に、ドイツでも220KV送電線が建設された。
それは、Rhine-Westphalia Power Corporation (R.W.E)により、オーストリアの西端に近いBludenzからケルン市の西方Brauweilerの間、こう長960Kmの2回線送電線である。
この線路は、中性点非接地設計を採った。
このため、中性点接地系では各相の絶縁(がいし)設計は、(220KV/√3)=127KVであるが、本送電線ではフルに220KVにする必要があり、(中性点直接接地方式に変更すれば、線間電圧は、220*√3=380KVまで昇圧可能な設備となり)当時、世界で最も高い設計電圧の送電線と言われた。
(注4)参照

F 154 1923(大正12年) 甲信幹線(当時:京浜線)
京浜電力により、竜島発電所〜戸塚変電所間202Kmに建設された。
I アメリカ
The USA
287 1936
ボルダー線(Boulder Line)

ロサンゼルス電力局(Department of Water and Power Los Angeles)により、,ネバダ州(State of Nevada)、フーバーダム(Hoover Dam)のボルダーダム発電所〜ロサンゼルス間428Kmに2回線送電線が建設された。

その特徴は、中空銅線(インターロッキング10セグメント、直径35.6mm、260mu)を使用したこと、およびえぼし型鉄塔のウエストから下部が、線路方向と45度捻った構造になっていることである。

J アメリカ
The USA
300 1950
クーリー・コロンビア線(Coulee-Columbia Line)

オレゴン州(State of Oregon)、クーリー(Coulee)水力発電所〜コロンビア(Columbia)変電所間、123Kmに、ボンネビル電力局(Bonneville Power Administration Portland Oregon)により1回線が建設された。
支持物は、えぼし型(ウエストから下部が、線路方向と45度捻った構造)が使用された。

K アメリカ
The USA
330 1951
スプーン・カノーワ線(Spurn-Kanawha Line)

ウエストバージニア州(State of West Virginia)、カノーワ(kanawha)川のグラハム発電所(Graham Sta.)〜グラスゴー(Glasgow)間、100Kmに、アメリカン ガス&電力会社により建設された。
支持物は、2回線垂直配列型が使用された。

L スウェーデン
Sweden
400 1952
スウェーデンは南北に長い国で、電源の大半を占める水力発電所は北部に集中し、一方需要は中南部に集中している。

そこで長距離大容量送電が必要となり、北部のHarspranget水力発電所(945,000KW、ヨーロッパ最大)から南部のHallsberg(首都ストックホルムの西方)間に、こう長1000Kmの送電線が建設された。

電線には、世界初の2導体が使用された。
(注2)参照

G 275 1952(昭和27年) 新北陸幹線
日本発送電が黒部渓谷の水力電気を大阪方面に送電するため建設開始したもので、1941年(昭和16年)黒部側から建設が始まり、1951年(昭和26年)それを関西電力が引き継いで、第一段階として枚方変電所〜成出変電所間230Kmを部分的に275KVで運転開始させた。
M 旧ソ連
The former Soviet Union
500 1959
1955〜1958年、ボルガ川(The Volga)に2つの大容量水力発電所が、相次いで建設された。
すなわち、ボルガ川のカスピ海河口から約450Km上流のボルゴグラード(Volgograd)に1箇所(ボルガ発電所、約250万KW、1958年当初設備完成)、さらにそこから約700Km上流のクイブイシェフ地点に1箇所(ジュグレフスク発電所、約230万KW、1955年当初設備完成)である。

この2カ所の発電所の大電力を、それぞれ約1,000Km離れたモスクワに送電するため、それぞれに500KV設計送電線が建設された。
上流側の送電線が1956年に400KVで運転開始し、下流側の送電線も1958年に400KV運転を開始した。

このうち、後から運転開始した下流側の、送電線(ボルガ発電所〜モスクワ間、1,050Km、2回線)がまず1959年に500KV昇圧し、続いて上流側も、関連系統を含め約1,800Km以上が1961〜1962年に500KVに昇圧した。

N カナダ
Canada
735 1965
ケベック(Quebec)州のマニクアガン・ウタルド(Manicouagan Outardes)水系(セントローレンス川の、河口付近左岸に流れ出る水系)の大容量水力発電所から、ケベック市およびモントリオール市の間に、587Km,2回線、607Km,1回線、計3回線が建設された。

O アメリカ
The USA
765 1969
アメリカン電力(AEP)は、ケンタッキー州(State of Kentucky)に建設した、当時最大規模のビッグ・サンデイ(Big Sandy)石炭火力(80万KW)の電力を送電するため、765KV送電線を、約2,000Kmにわたり建設する大プロジェクトに着手したが、ケンタッキー州ベーカー(Baker)変電所(Ashrandの近く)〜オハイオ州マークゥイーズ(Marquis)変電所(Sargentsの近く)間、109Kmが、その第一ステップとして建設され、1969年5月に運転開始された。

現在もアメリカでは765KVが最高電圧で、運転中の大半は中東地域内のAEP系統のものである。

H 500 1973(昭和48年)
房総線

東京電力により首都圏を取り巻く外輪系統として東東京変電所〜房総変電所間63Kmに1966年(昭和41年)建設され、1973年(昭和48年)500KVに昇圧された。

P 旧ソ連
The former Soviet Union
1150 1988
現在はカザフスタン(Kazakhstan)の、カラガンダ地方の大容量石炭火力の出力をウラル方面に送電するため、第一段階としてエキバストゥズ(Ekibastuz)〜コクシュタウ(Kokucetau)間、こう長432Kmに建設された。

翌年以降、上記区間内ならびにエキバストゥズの東北東バルナウル方面およびコスタナイの北西チェリャビンスク方面にもルートを延ばして約1,000Kmを建設している。

しかし、1991年に旧ソ連が崩壊し、経済危機による電力需要の停滞に遭遇するとともにルートの中央部がカザフスタンに分離されたこと等の理由で、1991年以降、電圧を525KVに降圧させて運転している。

当HP「世界記録、日本記録」に掲載

I 1000 1992(平成04年)
西群馬幹線

東京電力により、西群馬開閉所〜東山梨変電所間138Kmに建設された。
1000KV(100万ボルト)設計であるが、現在(2007年現在)500KVで運転されている。

注1:「建設年」は、送電線が建設され、運転開始した「西暦年」を示す

 書籍によっては、送電線が工事竣工した年を掲げているものもあるが、歴史記録としては、正規の電圧を荷電して運用開始した年を掲載するのが妥当であろう。(除く、西群馬幹線)

注2:スウェーデンの送電電圧について

 アメリカなどの書籍では、スウェーデンの基幹系統の送電電圧を、380KVと記載しているが、自国スウェーデンでは、基幹系統を440KV系統と称しており、送電線使用電圧を400KVと表記している。したがって、当サイトでは400KVと表記する。

注3:ヒューレット型がいしについて  

 1907年、E.M. Hewlettにより開発された、ピンがいしに代わる、懸垂がいし(ヒューレット型がいし)は、
増結することにより容易に高電圧に対応可能
耐張状に使用し電線張力の引き留めが可能
となり、従来のピンがいしの限界だった7万ボルトが一気に取り払われ、かつ電線の高張力に耐えるため、大容量・高電圧化への未来が開けたことが、画期的、特筆すべき事柄である。

 右のモノクロ写真は、開発当初のもので、がいしを連結する金具は鋼ワイヤを使用した。

 カラー写真は、その後改良され、ボールソケット金具になったものである。

 
 

注4:ドイツ初の220KV送電線は、実は、なんと380KV設計であった   


 ドイツで初めて建設された、220KV超高圧送電線は、アメリカ、カリフォルニア州で建設された2つの220KV送電線と同じ1922年に建設が開始され、運転開始は区間によって異なり、1924〜1929年である。

 それはオーストリアとドイツをまたぐ、世界初の国際連系線であり、Rhine-Westphalia Power Corporation (R.W.E)により建設され、ドイツでは「南北送電線(North-South Powerline)」と言われ有名である。

 本送電線は、オーストリアの西端に近いVorarlberg水力発電所、および黒い森南部の発電所の電力をルール地方に送電するため建設された。

 起点は、オーストリアの西端に近いBludenzで、途中、Herbertingenにて黒い森南部のTingenからの第二ルートと接続し、Mannheim、Koblenzなどを経由し、ケルン市の西方Brauweilerを終点とする、こう長960Kmの2回線送電線である。

 しかし、弱電線を管理する郵政と鉄道当局から、送電線事故時の弱電線に対する電磁誘導障害の防止のため、中性点接地を反対されたため中性点非接地設計を採用せざるを得なかった。

 このため、中性点接地系では各相の絶縁(がいし)設計は、(220KV/√3)=127KVであるが、本送電線では220KVのフル電圧に対応にする必要があり、当時、世界で最も高い設計電圧の送電線と言われた。

 すなわち、R.W.Eは、各がいし装置を220KV対応としたため、中性点直接接地方式に変更すれば、線間電圧は、220*√3=380KVまで昇圧可能な設備を建設したことになる。

 したがって、R.W.Eは、初めての220KV超高圧送電線建設に当たり、将来、郵政と鉄道当局から許可が下り次第、すぐに送電線を次段階の電圧である380KV化できるように設計を進めた。

 このため、電線はコロナ防止の観点から太い直径の42mm銅線とし、経済的建設をするため、中空電線としてインターロッキング方式と、I ビーム使用のアナコンダ方式を併用した。

 我が国では、1923年(大正12年)当時、やっと154KV甲信幹線が完成し、超高圧などまだ夢の時代に、ドイツ技術者たちの、高度な技術力は380KV技術を消化したわけで、ただただ敬服するばかりである。

 なお、現在では、我が国の送電技術は、既に100万Vを完成させ、遂に世界に追いつき追い越し、世界のトップレベルにあると自負している。

 結局、380KV昇圧が達成されたのは、1929年の大恐慌、第二次世界大戦などの影響と思われるが、40年後の1964年であったそうである。

 ヨーロッパで220KVの次段階の電圧がその2倍の440KVにならず、何故、380KV〜400KVに止まったのか不思議であったが、上記の「南北送電線」の話を知って合点がいった。

 ヨーロッパでは、電圧階級は、大まかには、110KV〜220KV〜380KVまたは400KV、となっている。

 一方、アメリカでは、電圧階級は地域により、大きく二つの系列に分かれており、69KV〜230KV〜500KV、または138KV〜345KV〜765KV、が基本として採用されているようだ。

 




 

・世界主要国の最高運転電圧一覧 
(A table of the most high voltage of the power transmission line in various countries in the world)   

(表の後に解説掲載)

 2003年〜2010年現在での、世界主要国の最高運転電圧を示すと、下表の通りである。

記号の解説 KV:キロボルト=1,000ボルト、(例:500KV=500キロボルト=500,000ボルト=50万ボルト)
        DC:Direct current 直流のこと
国および地域
Countries and areas
1000KV以上
(UHV)
1000KV未満〜
700KV以上
700KV未満〜
500KV以上
500KV未満〜
300KV以上
300KV未満 備考
DC800KV以上
(UHVDC)
DC800KV未満〜
560KV以上
DC560KV未満〜
400KV以上
DC400未満〜
240KV以上
DC240KV未満
[アジア](Asia)
 日本(Japan) (500KV→1000KVへ即昇圧可能 500KV
(DC+/-250KV→500KVへ即昇圧可能)
DC+/-250KV 西群馬幹線、阿南紀北直流幹線、
を「歴史に残る送電線」掲載
 韓国(Republic of Korea) 765KV DC+/-180KV
 中国(China) 1000KV
DC+/-800KV
2009/01/06  1000KV・運開
2009/12/28  DC+/-800kV運開
 台湾(Taiwan) 345KV
 インド(India) 765KV DC+/-500KV
 インドネシア(Indonesia) 500KV
 カンボジア(Canbodia) 230KV
 シンガポール(Singapore) 400KV
 スリランカ(Sri lanka) 220KV
 タイ(Thailand) 500KV DC+/-300KV
 ネパール(Nepal) 132KV
 パキスタン(Pakystan) 500KV
 バングラデシュ(Bangladesh) 230KV
 フィリピン(Philippines) 500KV DC+/-350KV
 ベトナム(Viet nam) 500KV
 マレーシア(Malaysia) 500KV
 ミャンマー(Myanmar) 230KV
 モンゴル(Mongolia) 220KV
 ラオス(Laos) 230KV
[ヨーロッパ](Europe)
 アイスランド(Iceland) (400KV昇圧可) 220KV
 アイルランド(Ireland) 400KV
 アルバニア(Albania) 400KV
 イギリス(United Kigdom) 400KV,DC+/-280KV 「海外の送電線」に掲載
 イタリア(Italy) DC+/-400KV 380KV 「海外の送電線」に掲載
 エストニア(Estonia) 330KV
 オーストリア(Austria) 380KV 「海外の送電線」に掲載
 オランダ(Netherlands) 380kV
 ギリシャ(Greece) DC+/-400KV 400KV
 クロアチア(Croatia) 400KV
 スイス(Switzerland) 380kV
 スウェーデン(Sweden) DC+/-450KV 400KV 「海外の送電線」に掲載
 スペイン(Spain) 400KV 「海外の送電線」に掲載
 スロバキア(Slovakia) 400KV
 スロベニア(Slovenia) 400KV
 チェコ(Czech Rep) 400KV 「海外の送電線」に掲載
 デンマーク(Denmark) 400KV,DC+/-285KV 「海外の送電線」に掲載
 ドイツ(Germany) DC+/-450KV 380KV 次期電圧鉄塔建設中
「海外の送電線」に掲載
 ノルウェー(Norway) 400KV 「海外の送電線」に掲載
 ハンガリー(Hungary) 750KV 「海外の送電線」に掲載
 フィンランド(Finland) DC+/-400KV 400KV 「海外の送電線」に掲載
 フランス(France) (750KV鉄塔建設済) 400KV,DC+/-280KV 「海外の送電線」に掲載
 ブルガリア(Bulgaria) 750kV
 ベルギー(Belgium) 380KV
 ポーランド(Poland) 750KV DC+/-450KV
 ポルトガル(Portugal) 400kV
 ラトビア(Latvia) 330KV
 リトアニア(Lithuania) 330KV
 ルーマニア(Romania) 750KV
[NIS諸国]
(NIS countries)
 アルメニア(Armenia) 330KV
 ウクライナ(Ukraine) 750KV DC+/-400KV
 ウズベキスタン(Uzbekisten) 500KV
 カザフスタン(Kazakhstan) 1150KV
(1991年以降525KVで運転中)
「世界記録日本記録」掲載
 キルギス(Kyrgyz) 500KV
 グルジア(Georgia) 500KV
 トルクメニスタン(Turkmenistan) 500KV
 ベラルーシ(Belarus) 750KV
 ロシア(Russia) 1150KV
(1991年以降525KVで運転中)
DC+/-400KV 「世界記録日本記録」掲載
[北米](North America)
 アメリカ(The USA) 765KV DC+/-500KV 「海外の送電線」に掲載
 カナダ(Canada) 735KV DC+/-450KV 「海外の送電線」に掲載
[中南米](Central & South America)
 アルゼンチン(Argentina) 500KV
 ウルグアイ(Uruguay) 500KV
 グアテマラ(Guatemala) 230KV
 コスタリカ(Costa rica) 230KV
 コロンビア(Colombia) 500KV
 チリ(Chile) 500KV
 パナマ(Panama) 230KV
 パラグアイ(Paraguaay) 220KV
 ブラジル(Brazil) 750KV,
DC+/-600KV
「海外の送電線」に掲載
 ベネズエラ(Venezuela) 765KV
 ペルー(Peru) 220KV
 ポリビア(Bolivia) 230KV
 メキシコ(Mexico) 400KV
[オセアニア](Oceania)
 オーストラリア(Australia) 500KV
 ニュージーランド(New Zealand) DC+/-350KV    220kV
[中近東](The Middle and Near East)
 アラブ首長国(The UAE) 400KV
 イスラエル(Israel) 400KV
 イラク(Iraq) 400KV
 イラン(Iran) 400KV 「海外の送電線」に掲載
 サウジアラビア(Saudi Arabia) 380KV
 シリア(Syria) 400KV
 トルコ(Turkey) 400KV
 ヨルダン(Jordan) 400KV
[アフリカ](Africa)
 アルジェリア(Algeria) 220KV
 ウガンダ(Uganda) 132KV
 エジプト(Egypt) 500KV 「海外の送電線」に掲載
 ケニア(Kenya) 220KV
 コンゴ民主共和国(Dem.Rep. of the Congo) DC+/-500KV 220KV 「世界記録日本記録」掲載
 ザンビア(Zambia) 330KV
 ジンバブエ(Zimbabwe) 330KV
 タンザニア(Tanzania) 220KV
 チュニジア(Tunisia) 225KV
 ナイジェリア(Nigeria) 330KV
 マラウイ(Marawi) 132KV
 南アフリカ(South Africa) 765KV DC+/-533KV
 モロッコ(Morocco) 400KV

解説

○中国
 中国の経済発展は、誠にめざましく、電力需要はうなぎ登りで、ここ毎年5,000万KW以上(我が国全体の最大電力のほぼ1/3に相当)の電源開発を続けているようであり、将来ともこのペースは続くようである。

 その電源は、水力、火力(石炭が主力)とも、西部に偏在し、需要地の東部に送電するため、「西電東送(西部で発電した電力を東部に長距離送電する)」の多くのプロジェクトを進めており、特に直流送電線計画が多い。
 この送変電設備の増強計画の一環として
2006年に建設に着手した1000KV(100万V)送電線路が、2009年1月6日竣工し、運転開始された。

 2009年現在、世界で1000KV商用運転をしている唯一の国となった。

 
また、直流も2009年12月28日に、UHVDC+/-800KVの雲南−広東線が運転開始され、世界初のUHVDC送電線が誕生した。

 中国は、交流に加え直流もUHV送電線が建設され、交流、直流ともUHV化するという世界新記録を達成した。
 また、 2010年7月8日に+/-800kV向家堤(Xiangjiaba)-上海(Shanghai)線が運転開始したが、こう長が1,916.5kmで、世界最長の送電線となった
○インド
 インドは、中国ほどではないが、毎年1,000〜1,600万KW程の増加を予測しており、送電線の建設は全国的に多くのプロジェクトが進められている。

 インドでもUHV送電計画が検討されており、2013年〜2014年を目標に1200KV送電系統を建設し運用開始したいとの計画が進んでいるようだ。

○アジアにおける、インドネシア、タイなど500KV採用諸国
 インドネシア、タイ、パキスタン、フィリピン、ベトナム、マレーシアでは、500KVを最高電圧として採用しており、西欧の技術的先進諸国で採用されている400KVよりも高い電圧が使用されている。

 これらの国では、電源と需要地間の距離が、下記の通り、400〜1,500kmと比較的長く、また、系統構成上の必要性もあり、更に1980年代以降の比較的最近に建設されたため、技術的に確立された500KVを採用している。

 インドネシア:ジャワ島を東西に縦貫する送電線は、約1,000kmになる。
 タイ:北部のタイ火力と首都バンコクを結ぶ送電線は、約600kmになる。
 パキスタン:北部の水力と南部の火力発電所間約1,000km以上の距離を結んでいる。
 フィリピン:ルソン島を南北に縦貫する送電線は、約500kmになる。
 ベトナム:国が南北に長く、その南北縦貫送電線は約1,500kmにもなる。
 マレーシア:マレー半島のタイ国境に近い地点と、クアラルンプール付近の間を結ぶ送電線は、約400kmになる。
○ヨーロッパ
 ヨーロッパ諸国は、電源地点と需要地間の距離が比較的短く、送電系統はメッシュ状形成され、かつその建設された年代が古く、そのためその時点で建設可能な電圧である、400KVまたは380KVが採用された。

 その後、運用を適切にしてきており、上位電圧の必要性が切迫していないため、現在でもまだ上位電圧には移行していない。

 現在この電圧でヨーロッパ諸国は、国際連系され、円滑に運用されている。

 しかし、電力需要の増加に対処するため、フランス、ドイツなど、次期電圧の線路設備を既に建設している国もある。

 現在、ヨーロッパでの電圧階級は、大まかには、110KV〜220KV〜380KVまたは400KV、となっている。

 なお、直流線路は、海底ケーブルにより、近隣諸国との国際連系を図るため、建設されている。

 例えば、スウェーデンとデンマーク間はDC+/-250KVおよび285KV、スウェーデンとフィンランド間はDC+/-400KV、フランスとイギリス間はDC+/-280KV、また、イタリアとギリシャ間はDC+/-400KVで、それぞれ連系されている。

 
○ハンガリー、ブルガリア、ポーランドなと゜750KV電圧採用諸国
 ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、ウクライナ、ベラルーシなど東欧の諸国では、750KVの電圧を採用しているが、それは、1980年代の旧ソ連邦時代に建設されたものである。

 その時代、同盟地域間で連系送電するため、大事故で有名になったチェルノブイリ発電所をはじめ、多くの発電所のあるウクライナを核に、750KV線路が建設されたようだ。

 ウクライナでは、750KV線路が約4,000km(回線延長)あり、また、それを活用して近隣諸国に電力を輸出してきたが、近年は発電電力低下に伴い、輸出は低下しており、さらに送電線設備が老朽化し、しばしば電圧低下を生ずるなどの不安定な運用のため、ロシアをはじめ近隣諸国の系統から切り離されているようだ。

 ただ、ごく最近は、ロシアとの連系が復活しているとの情報もある。

○キルギス、ウズベキスタンなど、中央アジアの500KV電圧採用諸国
 キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、およびトルクメニスタンなどの中央アジア諸国では、国内の電力需要規模が500KV電圧を必要とするほど大きくないと思われるが、それが建設運用されているのは、旧ソ連時代にソ連邦の系統の一環として建設されたためである。

 この系統は、カザフスタンの南部とも連系し、その電力潮流の管理は一元的にウズベキスタンで行われているようである。
○ロシア、カザフスタンの世界最高電圧1150KV
 旧ソ連では、1985年に、1150KV設計送電線を、現在のカザフスタン国内の北部で東西方向に位置するエキバストゥズ〜コクシュタウ〜コスタナイ間(直線距離約800Km)の一部分(エキバストゥズ〜コクシュタウ間、こう長432Km)に建設し、同年750KVで運転した。

 更に翌年以降、上記区間内ならびにエキバストゥズの東北東バルナウル方面およびコスタナイの北西チェリャビンスク方面にもルートを延ばして約1,000Kmを建設し、上記のエキバストゥズ〜コクシュタウ間(432Km、鉄塔1,100基、平均鉄塔高60m)を第一段階として
1988(昭和63年)に1150KVで運転した。

 この1150KV送電線の支持物構造は、1回線設計で平均鉄塔高60mであり、懸垂箇所では、支線4条付V型ガイタワーで、耐張箇所は1相1基自立鉄塔を使用しており、カナダの735KV線路と同じような設計である。電線は水平配列、架空地線2条、懸垂箇所のがいしは左右外側は直吊りで、中央相はV吊りであり、外側〜外側電線幅は42mである。

 電線は、ACSR330mu 8導体(素導体間隔400mm、導体束径約1m)、がいしはガラスがいし一連45個(懸垂箇所は2連装置)を使用している。

 この1150KV送電線は、旧ソ連のシベリアからカザフスタンを経由してウラルに伸びる基幹系統に属し、エキバストゥズ炭田等に建設された大容量発電所の出力を旧ソ連のヨーロッパ地域に向けて送電するために建設されたものである。

 しかし、1991年に旧ソ連が崩壊し、経済危機による電力需要の停滞に遭遇するとともにルートの中央部がカザフスタンに分離されたこと等の理由で、1991年以降、電圧を525KVに降圧させて運転している。

 ロシアでは、2005年現在で、1150KV送電線は約800Kmの設備があり、また、カザフスタンでは、旧ソ連が建設した送電線をそのまま所有し約1,420Kmの設備があり、両国間で上記の通り525KVで国際連系して運転されている。

○アメリカ
 アメリカの送電電圧は、1969年以来、間もなく30年になるが最高運転電圧は765KVのままである。
 アメリカ全土の電力需要は、年率2%程度増加しているので、電力系統規模もこの30年弱の期間で1.7〜1.8倍に増加しているものと思われる。

 しかしながら、電力事業の規制緩和(電力自由化)に伴う不確実性は、必要とされる電力設備への投資を困難にしており、特に送電線の容量確保は、大きな問題となってきた。

 1997年のニューヨーク市大停電、および2003年8月に発生した北米東部とカナダの大停電など局地的な事故があったものの、全土的には新規送電線建設の減少によって、2003年頃までは重大な信頼度問題が引き起こされるまでには至っていなかった。

 これは、系統運用者が送電ネットワークを物理的限界近くまで運用できるコンピュータシステムを開発したり、直列コンデンサの設置による送電能力の増強を図ったりしているのと、新規ガス火力発電所が需要地の近傍に建設されているなどの効果があったためである。

 しかし、近年、西部のロサンゼルス、サンフランシスコおよび東部のニューヨークからバージニア州北部にかけては、送電線混雑状態が深刻で、その解消に向けた取り組みが必要であるとの調査結果が発表されている。

 そのためもあってか、停滞していた送電投資は2000年以降増加しており、2004年までの5年間の投資増加率は年率12%を記録し、2005年の投資は前年を25%上回ったとのことである。

 ちなみに、2001年から2005年の間に、601KV以上の線路の回線延長は、4,430kmから8,030kmへ、3,600km増加している。

 従って、765KV系統規模の拡大に伴い、あるいは今後多くの新設が予定されている原子力新規電源からの長距離送電線の建設のため、近い将来、上位電圧(1200kVと思われる)の送電線が必要となろう。

 ただ、オバマ大統領の施政方針に基づく「Smart Grid」の建設推進に伴い、上位電圧の導入時期は流動的と思われる。

 なお、現在の電圧階級は、地域により、大きく二つの系列に分かれており、69KV〜230KV〜500KV、または138KV〜345KV〜765KV、が基本として採用されている。

○ブラジル
 ブラジルのパラナー川がパラグアイ国境を流れる地点に設けたイタイプ(Itaipu)水力発電所〜サンパウロ間、約800Kmを結ぶHVDC+/-600KV送電線(630万KW)は、1985年に運転開始され、直流での世界最高電圧として25年間にわたり首位をキープし直流送電技術の高さを誇ってきた。

 しかし、2009年末に中国で+/-800kV送電線が運転開始されたため、現在は世界第2位となった。

 イタイプ(Itaipu)水力発電所〜サンパウロ間には、上記の直流送電線と平行して、750KV送電線も建設され、発電所全出力の1,260万KW(ブラジル側70万KW 9台 60Hz、パラグアイ側70万KW 9台 50Hz)の殆どをブラジル国内サンパウロ方面に送電している。

 すなわち、パラグアイ側には、電力需要が乏しいため、パラグアイ側の出力の殆どを、60Hzに周波数変換しブラジルに送電している。

 なお、国内の主要系統の電圧は、国内南北間連系送電線を含め、500KVが担っている。

 ところで、1982年以来世界一長い送電線として君臨してきたアフリカ、コンゴ民主共和国の、こう長1,700kmのインガ・シャバ(Inga-shaba)線は、2010年7月8日に中国でこう長が1,907kmの+/-800kV向家堤(Xiangjiaba)-上海(Shanghai)線が運開してその座を降りたが、最終的には、ブラジル、アマゾン流域の発電所から、需要地のサンパウロ等方面向けに現在建設計画中の、約2,500Kmの直流送電線が世界一長い送電線になるであろうと思われる。
○コンゴ民主共和国
 2010年6月まで、世界一長い送電線は、アフリカ、コンゴ民主共和国の、こう長1,700Kmのインガ・シャバ(Inga-shaba)線であったが、2010年7月8日に中国でこう長が1,907kmの+/-800kV向家堤(Xiangjiaba)-上海(Shanghai)線が運転開始したため、現在は世界第2位となった。

 インガ・シャバ線は、コンゴ川の河口に近いインガダム水力発電所(滝利用の発電所では世界最大、最終的には3,900万KWを計画)の出力を、建設当時のシャバ州で現在のカタンガ(Katanga)州の有名な銅山都市コルヴェジ(Kolwezi)に送電するために、アメリカの援助により、建設されたもので、電圧は、直流+/-500KV、こう長は、1,700Km、送電電力は、当面56万KWであり、1982年に建設された。

 長距離を送電する送電線は、交流の場合には、要所要所に電気所(変電所、開閉所など)を設け、送電特性改善のため、進相電流供給設備(コンデンサ設備など)を設けたり、系統分岐、系統連系するなど、起点、終点間で複数区間に送電線が分断されるのが普通であり、単一の長距離送電線は希である。

 一方、直流は送電特性が良好で長距離送電に適し、起点の周波数変換所から、終点の周波数変換所まで単一(単独)の長距離送電線となるので、長距離世界記録は、直流方式により作られると言える。

 なお、滝利用の発電所では世界最大のインガダム水力発電所が、もし、計画通り建設されれば、最終的には3,900万KWの電力を発電可能となり、中国の三峡ダムが2,240万KWの出力であるのに対してその1.7倍以上の規模となり、文字通り、世界最大の水力発電所となり、アフリカ全土で消費する電力を十分賄える電力をこの一つのダムで発電することが出来るようだ。
○南アフリカ
 アフリカで唯一原子力発電所を所有する国である。
 発電設備総容量は約4,300万KW でアフリカ最大(2位、エジプト、約1,300万KW)であり、その90%以上が石炭火力である。

 この国を核にして、自国を含めアフリカ南部の9カ国が国際連系して運用しており、そのために、DC+/-533KVおよび400〜220KVの線路をを国際連系送電線として運用している。なお、最高電圧の765KV(870km)は、国内運用している。

 これらの系統連系諸国は、南アフリカ、コンゴ民主共和国、ザンビア、ジンバブエ、モザンビーク、ボツワナ、ナミビア、レソト、およびスワジランドである。

 今後、更に、連系地域が北へ延びて、ケニア、タンザニア、およびザンビアとも国際連系する計画で、質的・量的に一層進展させていくようだ。

参考文献
・諸外国の電気事業  第1編  2003年版        社団法人海外電力調査会
・諸外国の電気事業  第2編  2005年版        社団法人海外電力調査会
・諸外国の電気事業  第1編  2006年版 追補版  社団法人海外電力調査会
・海外電気事業統計        2007年版        社団法人海外電力調査会
・諸外国の電気事業  第1編  2008年版        社団法人海外電力調査会
・諸外国の電気事業  第2編  2010年版        社団法人海外電力調査会


トップページに戻る

トップページへ戻る