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南アメリカ ギアナ高地 UC0080 8月上旬
MS07B グフ

「ギアナで私を待っていたのは、今はもう動かない、鉄の巨人だった」

U.C.0080年 8月6日、

最近メディアで一年戦争と呼ばれ出した、あの忌まわしい惨劇が去って8か月、

部分的にではあるが、政府からようやくギアナ高地への立ち入り許可がおりた


私がここに来たかった理由は幾つかあるが、そのうちの最大のひとつは、

旧世紀より現地で確認されている希少な食虫植物「サラセニア科ヘリアンフォラ属」の

その自生地の再確認であった

しかし、そこで私達を待っていたものは、

サラセニア群落の上に重く座り込んだ、ジオンの巨大な青いモビルスーツだった

この鉄の巨人は、ひとつの生物種をあっけなく踏みにじって、

未来永劫消滅させてしまったかもしれないのだ!

森林限界を越え、空気が薄く頭が朦朧となる中、私は何とも言えぬ脱力感を憶えた


乗り捨てられて久しいこの青い巨人は、そんなことすらつゆ知らずという面持で、

ギアナの雲海の果てを力なく眺めているようだった



このギアナ高地の地下一帯には、自然の大鍾乳洞を利用して建設された巨大な地下軍事基地

「ジャブロー(宇宙軍艦のドックまで備えるという!)」がある、

地球連邦軍にとって、戦略的な重要拠点ということもあり、

この学術的にも非常に貴重なギアナ高地への調査許可は、戦前であっても、植物学者の私でも中々貰えなかった

そして戦後は戦後で、ゲリラ(ジオン軍残党)を警戒してか、更に厳しくなった感がある、

そのため今回の調査に関しては、許可待ちだけで麓の村で1か月過ごすことになってしまった


現在のギアナ高地はまったくひどいものだ

前世紀まで、拡がるところまで拡がった感のある地球圏の環境破壊、

それを回復せんがため、この数十年、先人達が今日まで懸命に、その自然環境の改善に努めてきた、

その結果、このギアナ高地のあるアマゾンに代表される、熱帯雨林などの植生はかなり改善されたのだ


しかし今はどうだろう、

ここに登ってくる間にも、焦土と化した(元)ジャングルを幾つも見ることになった

ちょっと道を外れると、まだ撤去されていない不発弾や対人地雷が、今でも沢山あるらしい、

付き添いで道案内をしてくれる連邦軍の仕官がいなければ、

うっかりそんなものを踏んづけていたかもしれないと、何度もゾッとさせられた

そして旅の終わりの極めつけは、

この貴重な植物の自生地に座り込んだ、朽ちた巨大な青いモビルスーツ、


・・・たった一年で、随分とまぁ変貌したものだ

 

 



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