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 手引きする人の手引書

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  2005年8月17日 記

 あなたは目の見えない人とお話をしたり一緒に歩いたりしたことがありますか? 街の中で目の見えない人を見かけて何かお手伝いをしたいけれど、どうしたら良いか分からない、そんな声をよく聞きます。この「手引きの手引き」が少しでもお役に立てば幸いです。 

 まず、目の見えない人を何と呼ぶか? 少し前までは「盲人」が一般的でした。しかし最近は、教育や報道関係者を中心に「視覚障害者」と呼ぶようになりました。ここでは紙面の都合上「盲人」とさせて頂きます。盲人に対して目の見える人のことを「晴眼者」と言います。

 ちなみに、「点字」に対する普通の文字を「墨字」と言います。活字も、手書きの文字も、ワープロの文字も全部墨字です。

 こういう言葉は盲人と話していると良く出て来ます。覚えておいてください。

 ところで本題に入る前に知っておいていただきたいのは、一口に盲人と言っても一人一人皆違うと言うことです。晴眼者にもいろんな人がいるのと同じように、盲人にもいろんな人がいます。話し好きな人、無口な人、スポーツの好きな人・・・・。また失明したときの時期によっても行動の仕方や興味の対象など随分違います。ですから盲人に接すると言っても一つの決まった形があるわけではありません。ここでは、是非これだけは覚えたおいて欲しいこと、そして多分ほとんどの盲人に共通すると思われることを拾って出してみました。

1.初めて声を掛けるとき
 街の中や駅で盲人を見かけたときは、「ご一緒に行きましょうか」、「お手伝いしましょうか」などと声を掛けてください。黙って腕を引っ張ったり背中を押したりするのはやめましょう。声を掛けないで思い込みで誘導すると事故に繋がることがあります。まず声を掛けて、盲人の必要や目的を確かめてからお手伝いするようにしましょう。 

 今までは初めての盲人に話しかける場合について書きました。これからは何らかの方法で知り合った盲人との接し方について説明しましょう。

2.盲人と話すとき
 @ 名前を呼んでから話しましょう。「田中さん、食事に行きましょう」「田中さん、こんにちは。佐藤です」このようにしないと、盲人は自分に話しかけられているかどうか分かりません。何人かで話していて、何かの事情で席を立つ時は、「ちょっと失礼します」のように声を掛けましょう。戻ってきたときもそれとなく知らせる工夫をしましょう。
 A 代名詞を使わないようにしましょう。あれ、これ、あっち、こっちなどはやめて、具体的に物の名前を言ったり、方向を右、左というように指示します。あなたと盲人が向かい合っているときは、あなたから見て右は盲人の左です。気を付けましょう。

3.一緒に歩くとき
 @ 晴眼者が半歩前に出る位置を取ります。後ろから押すと、盲人は怖がります。必ず晴眼者が前に出ましょう。晴眼者の肘か腕に盲人が後ろから手を掛けるか、あるいは、晴眼者の肩に手を置くか、その方はどうすれば歩きやすいか、率直に聞いて下さい。
  二人並んで歩く幅のないときは、晴眼者の真後ろを盲人が歩くようにします。また背の高い盲人と歩くときは、頭の上にも注意しましょう。
 A 普段歩き慣れた盲人なら、階段の手前で完全に停まる必要はありません。「上り階段です」とか「降ります」とか言えば大丈夫です。「階段です」だけでは上りか下りか分かりません。段数まで言う人がいますが、3段以上の階段は数え間違うことがありますから、言わない方が無難かも知れません。螺旋階段は出来るだけ晴眼者が内側を歩くようにしましょう。
 B 自動改札を通るときは、切符を入れるところを盲人に触らせて、晴眼者は先に、完全に通り抜けて下さい。盲人のことを心配して途中で立ち止まると、盲人の切符が入らなくなってトラブルの原因になります。
 C ホームでは晴眼者が線路側を歩くようにしましょう。電車に乗るときは、電車の入口に直角に向かってから乗らないと危険です。ほとんどの盲人は杖で入り口を確かめてから乗るでしょう。このとき晴眼者が杖に手をかけてはいけません。電車に乗るときだけでなく、どんな場合でも、杖は盲人が自由に動かせるようにしておいて、はじめて役に立つものなのです。
  なお、点字ブロックは特に独りで歩いている盲人のいのちを守る大切なものです。点字ブロックの上で立ち話をしたり、荷物を置いたりするのは絶対にやめてください。
 D エスカレーターとエレベーターを言い間違えないでください。いずれの場合も「エスカレーターです」、「エレベーターです」と言って乗りましょう。特にエスカレーターは上りか下りかを必ず言うようにしましょう。
  エスカレーターに乗るときは、最初の一歩を踏み出すのは、勇気が要ります。初めての盲人と歩くときは、どうしたらいいか聞いてください。ベルトにつかまったら晴眼者の手は離して貰った方が良いという人、普通の道を歩くのと同じで良いという人、「いち.にのさん」と声を掛け合って乗るのが良いという人、いろんな人がいます。
  エスカレーターから降りるとき、腕を組んでいる晴眼者が足を踏み出して先に降りると、盲人は前のめりになってしまいます。つま先を軽く上げて立っていると自然に降りられますから、盲人も降りたことを確認して歩き出しましょう。
  駅などで階段とエスカレーターが平行しているとき、又はエレベーターもあるとき、何が良いか盲人に聞いてみてください。「階段が良い」と言う盲人が意外に多いものです。
 E 車に乗るときは、ドアや座席、入口の上の部分(頭を打たないため)に触らせて上げてください。
 F 椅子に座るときは、背もたれに軽く触れさせてあげるのが良いでしょう。背もたれのない椅子なら座る面に手を触れさせて、背もたれのないことを伝えましょう。電車の席に案内するときは、盲人が空席の正面に立つようにして「正面に座れます」と言う方法があります。

4.食事をするとき
 @ 食事の席に着くときは、3人以上盲人が並ばないように気を付けましょう。真ん中の盲人の介助者がいなくなってしまいます。席に着いたら、先ずメニューの説明をします。時計の文字盤に見立てて、「6時の所にご飯、12時にサラダ」というように説明すると分かりやすいです。わさびやからしなどが一緒に置いてあるときは、その位置を告げて、盲人の希望によっては取りのけるなりしょうゆに解くなりしてあげてください。おかずのしきりやアルミ箔、彩りのための飾りなども入っている位置を告げて下さい。
 A 一通り説明したら、余り細かく気を使わないようにしましょう。食べているのを晴眼者が注目しているという感じを盲人に与えるのは良くありません。食べ終わった器を無断で次々片づけるのも控えた方が良いでしょう。単に注目されている感じになるだけでなく、せっかく覚えた器の配置が分からなくなってしまうからです。
 B お茶などの飲み物は盲人が手で触れて確認出来るようにしてあげましょう。確認した後は黙って動かしてはいけません。危ないと思って遠ざける人は意外に多い物です。しかしこれはかえってこぼしたりする原因になります。お茶を入れるとき、「お茶を入れましょうか?」、「足してもいいですか?」などと聞いてから入れるようにしましょう。「お茶を入れます」と言いながらついでしまう人がいます。晴眼者なら入れる前に断れるでしょうが、盲人はそれが出来ません。ある人が言いました、「飲みたくないのにつがれて、こぼすといけないから仕方なく飲むと、またつがれる。飲みたくないお茶を断る方法はないものか!」
  お茶に限らずどんな場合でも、まず声をかけて盲人の返事を確かめてから行動する習慣をつけましょう。

5.宿泊施設などで
 @ 部屋の中は、トイレ、洗面台、クローゼットなど、最初に説明すれば、後は一つ一つ心配しなくても大丈夫な人もいます。盲人の荷物は無断で動かさないようにしましょう。黙って動かすと盲人は見つけられません。
 A トイレは、便器の向き、ペーパーの位置、水を流すレバーの位置など一通り説明すれば、2回目からは説明の必要のない人もいます。
  手足などの障害のない盲人を障害者用トイレに案内する必要はありません。障害者用トイレは広すぎて盲人には使いにくいし、水の流し方、ドアの開け方の分からないことが多いようです。
 B お風呂はいろいろな形があって、書き表すのは難しいのですが、ここでも原則は晴眼者が前になる位置を取って移動することです。但し、滑らないようにゆっくり歩きましょう。   

6.まとめ
 盲人は何も出来ない人だと思わないでください。目が見えなくて目からの情報が入らないから、独りで移動出来なかったり、普通の文字が読めなかったりするだけなのです。盲人も良く慣れた所や自分の家では、もっと活発に行動しているのです。
 盲人と何回か接しているうちに、あなたもきっとこのことをご理解くださることでしょう。そう言う晴眼者が一人でも二人でも増えて下さることを、私たちは願っています。 

   

       
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