【序 幕】
”じゃあ、行って来るよ” そう言って仕事に出かけて行った。お昼頃には、病院のベッドの上で意識はなく、全身管だらけで寝かされていた。
意識の戻ったとき、何か言いげな表情をしていた。彼の目の動きからそのように察した。すかさず左手に鉛筆を持たせ、紙を近づけると何やら文字らしきものを書いている。”ずゆん・・・?、すめん・・・?、何だろう。次に”ごゆん・・・?、ごまん・・・???と書き続けた。この言葉だけを繰り返し書いたので、何か意味があるに違いないと思っていた。
後日、この意味がこんな病気になって「すまん」 あるいは 「ごめん」と言いたかったのではなかろうか、と私なりに解釈した。
入院中は病院にお任せしただ頼っていればよかったが、いざ退院となると本人の不安もさることながら、私自身が一番パニックに陥ったように思う。
”案ずるより生むがやすし” 今ではそれほど気負う事もなく、ごく自然に接しられるようになった。発病後3年が経過したのを機に、今までを振り返ってみることにした。
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