《ヴァーンフリートの庭》

 

ワーグナー CDs

 

 


 [最近聴いたワーグナーディスク]

■ティーレマン/ウィーン国立歌劇場の『トリスタン』 ■ロベルト・ワーグナー/インスブルクシンフォニーオーケストラの『トリスタン』

■カラヤン/バイロイトの『トリスタン』 ■クナッパーツブッシュ/ウィーンフィルの『マイスタージンガー』 ■シュトットガルト・オペラの『ラインの黄金』 他


 [ベストCD編]

現時点での、オデュッセウス、Forte111、アリストテレスのベスト盤を紹介します。

作品名

オデュッセウス  

Forte111

アリストテレス
歌劇『さまよえるオランダ人』     サヴァリッシュ/バイロイト 愛聴盤なし ベーム/バイロイト
歌劇『タンホイザー』 サヴァリッシュ/バイロイト

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愛聴盤なし   愛聴盤なし
歌劇『ローエングリン』 サヴァリッシュ/バイロイト

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愛聴盤なし 愛聴盤なし
楽劇『トリスタンとイゾルデ』 ベーム/バイロイト  バーンスタイン/バイエルンRSO
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バーンスタイン/バイエルンRSO
楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』    クナッパーツブッシュ/バイエルン国立O

ヴァルビーゾ/バイロイト

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カラヤン/ドレスデンSK カラヤン/ドレスデンSK
舞台祝祭劇『ニーベルングの指輪』

序夜『ラインの黄金』

クナッパ−ツブッシュ/バイロイト(57)  ベーム/バイロイト ブーレーズ/バイロイト
舞台祝祭劇『ニーベルングの指輪』

第一日『ワルキューレ』

クナッパ−ツブッシュ/バイロイト(57)  ベーム/バイロイト ブーレーズ/バイロイト
舞台祝祭劇『ニーベルングの指輪』

第二日『ジークフリート』

クナッパ−ツブッシュ/バイロイト(57)  ベーム/バイロイト ブーレーズ/バイロイト
舞台祝祭劇『ニーベルングの指輪』

第三日『神々の黄昏』

クナッパーツブッシュ/バイエルン国立O サヴァリッシュ/バイエルンSO ブーレーズ/バイロイト
舞台神聖祝典劇『パルジファル』 クナッパーツブッシュ/バイロイト(62)

ブーレーズ/バイロイト

カラヤン/ベルリンPO シュタイン/バイロイト

 


 [その他の作品のCDコーナー(選者:Forte111)]

■交響曲ハ長調 

○レーグナー/ベルリンRSO (TKCC-15038)

 ワグネリアンは、この作品を避けては絶対にいけない。この作品を聴くと、ワーグナーがいかにベートーヴェンを尊敬し、目指していたのかがはっきり分かる。さらに、彼がなぜ交響曲作家ではなくオペラ作曲家となっていったのかが理解できる。
 曲の構成や雰囲気はベートーヴェンの7番に非常に似ている。後にシューマン夫人となるクララが、この作品のライプツィッヒ初演における評価をシューマンにあてて書いた手紙が残っているが、そこでクララは、この作品のできばえはあまり良くないものの「ベートーヴェンの第7に似ている」ことを指摘し、さらに先を越されてしまった交響曲の分野でワーグナーに負けないように叱咤激励している。
 僕らのオケでいつかこの作品をぜひ演奏してみたい!

○フローリアン・メルツ/クーアゼクシッシェフィルハーモニー(VMS112)

 上のレーグナーなどでこの作品に親しんだ人がこの演奏を聴くと本当に驚くだろう。早いテンポ、奥深い古楽器の音色、そして、切り込みの鋭いティンパニの打ち込み、さらには、譜面の変更。第1楽章の冒頭を聴いた瞬間に驚愕し、驚きと喜びで最後まで聞き終えた。

とにかく、これまでに聴いてきた2枚のディスクとは似てもにつかぬもの。実は、これを演奏しているクアーザクセンフィルは、古楽器の演奏に非常に経験を持っているらしく、このCDでも、この作品が初演された1832年頃に演奏されていたであろういわば古楽器で演奏している。響きは朴訥としているのみならず、フォルテやフォルテッシモの打ち込みがなんとも激しくベートーヴェン的。これまでに聞いてきた2枚のディスクでもベートーヴェンに似ているなと感じる部分はあったが、この演奏ほど全編がベートーベン的ではなかった。生き生きとして、かつ衝撃的でさえある。とにかくリズムの饗宴。クララ・ヴィーク(のちのシューマン夫人)がベートーヴェンの7番に似ているとシューマンに報告したとおり、とにかく7番を彷彿とさせられる。少なくともこのディスクを聞いた多くの人がベートーヴェンの作品を古楽器で演奏したものだと勘違いするだろう。

しかも譜面がこれまでの2枚とはだいぶ異なる。序奏であまりに激しく打点を打ち込むティンパニに度キモを抜かれ、スコアを確認したところ、そんなパートは譜面に書いていない。その後も僕の持っているmphというミュンヘンの会社から出ているスコアに書いてないパートが続出する。逆に、実にワーグナーらしい響きがする第2楽章のトロンボーンのパートがコントラファゴットに差し替えられていたりするし、最終楽章のコーダー手前では、トランペットやトロンボーンら金管楽器を中心としたフーガが突如として始まって、これは本当に驚いた。何とも前衛的!

このスコアの改変は指揮者によるもの?と思ったが、解説を読んでその理由が判明した。この作品、1832年にプラハで初演され、1833年にゲヴァントハウスで演奏された後、1836年にそこの指揮者となったメンデルスゾーンに演奏が託され原譜が手渡された後、彼の早世後、散逸してしまった。しかし、1877年になってプラハでの初演に使用したパート譜が発見され、それを元にワーグナーの弟子であるザイトルがロマンティック楽器のためにスコアとして復元したものが1911年になって公開された。僕らがレーグナーなどの演奏で聴いてきたのはその復元版。しかし、今回のディスクは、1832年にプラハで演奏された原典版を使用しているのだという。

第2版が洗練されているのに対して、原典版のなんとも荒削りでパワフルなことか!大変な魅力。
レーグナーの指揮がマイスターとなったワーグナーによる演奏だとすれば、今回のメルツの演奏は、ベートーヴェンに憧れ、目指していた若者ワーグナーの演奏だろう。この2枚を持っていればこの作品の全てが分かると言っても過言ではないだろう。

こうなると、欲がどんどん出てくるが、個人的に、ティーレマンや飯守泰次郎による壮大かつ濃厚な表現で聴いてみたい、かなわぬ夢か…。              

■ウェーゼンドンクの詩による5つの歌曲

○ルートヴィヒ、クレンペラー/フィルハーモニアO 

 この作品はトリスタン好きには堪えられない作品。トリスタンを聴く時間がないときにこの作品を聴いてトリスタンを聴きたいという渇望を押さえている。
 ただ、僕は残念ながらよいCDを知らない。昔購入したLPをカセットに録音したこのルートヴィッヒの演奏を聴いている。 

(以下、2006.4.25追記)

 先日、『ルードヴィッヒ/クレンペラーの名演が忘れがたく、復刻CDの登場を長年待っていた』という僕らのHPの読者の方からのありがたい情報を得て、ルートヴィッヒ/クレンペラーのヴェーゼンドンクがCD化されたことを知った。早速、ネットで注文して、届いたので今日、満を持してスコアを読みながら聴いてみた。注文はこちらまで→http://www.7andy.jp/cd/detail?accd=C1030806

 これはやはり凄い名演だと思う。CD視聴では最近忘れていたような感動を味わう事ができた。深く澄んだルートーヴィッヒの歌と巨大なクレンペラーに率いられた味わい深いオケ!

ルートヴィッヒ この作品のこれほど素晴らしい演奏は、少なくとも僕は知らない。近年聴いてきた演奏とは全く別物と言ってもいいような格の違い、そして深さ!

 このHPで『トリスタンを聴く時間がないときにこの作品を聴いてトリスタンを聴きたいという渇望を押さえている』と紹介したが、この演奏ほど『トリスタン』との根源的な近親性を感じられる演奏を知らない。それは、旋律をトリスタンからとっている、とか、トリスタンの習作である、といった表層的な事実を越えて、この『愛と死』のドラマが持っている根源的なものと同様のものがこの5つの歌曲には流れているのを感じるのである。この演奏を聴いていて、渇望を押さえるどころか、トリスタンが無性に聴きたくなってしまった、そんな演奏である。

 さて、スコアを読みながらじっくり聴いてみて、クレンペラーはいくつかの点でスコアをいじっていることが改めて分かった。2曲目の《Stehe still/とまれ》の最後の和音で木管を抜いている。また、終曲の《Traeume/夢》についても同様に最後のピッチカートを省いて、消えるように処理している。

 また、24ビットのリマスタリングということで期待された録音にも非常に好意を持った。音をきれいにしてやろうというより、古くささをそのままに、実にアナログ的なザラザラした感触を残してくれた。

 まさにこの演奏、ワルターの一連のマーラーやベームのワルキューレなどと並んで、僕にとっての一生の宝物、この演奏があればこの作品の他の演奏はいらないというのが僕の結論だ。

■ジークフリート牧歌

○レーグナー/ベルリンRSO(TKCC-15038)

 ジークフリート牧歌に対する思い入れについては、《心に残る音楽作品》に書いたとおり。本当に凄い作品で、決して軽い作品ではないことに注意!CDは本当にたくさん出ているが、僕はこの演奏が一番好き。響きが豊かな会場で録音されたこの演奏は、指揮の良さ、オケの良さ、そして作品の良さ全てが味わえる。 

■ピアノソナタホ長調、変ロ長調ほか

○ミューラー(輸KOCH SCHWANN 3-1361-2)

 ワーグナーのピアノ作品全集。表記した初期の2つのピアノソナタのほか、円熟期に書かれた《マチルデ・ウェーゼンドンクのためのソナタ》などが収録されている。ワーグナーがピアノがあまり弾けなかったことは周知の事実だが、これらのピアノ曲からもそうした彼の不得意さがよく分かる(彼は、リストに相当の劣等感を持っていたようだ!)。ベルリオーズなどと同様、ワーグナーはやはりオケの作曲家なのだろう。
 それでもワグネリアンには楽しめる作品が多い。18、9歳のときに書かれたピアノソナタは、ベートーヴェン的だし、40歳で書かれた《ウェーゼンドンクのためのソナタ》からはトリスタンを彷彿とさせられる。
 1865年に「ルートヴィッヒU世にピアノを演奏して聴かせるワーグナー」(K.V.ロシンスキー作)が描かれた際、演奏されていたのはもしかしてこの作品かしら!なんて想像しながら聴くのもけっこう楽しい。

■リング管弦楽集

○セル/クリーブランドO(SONY SRCR2548)

 このHPにご来場いただいたワグネリアンから「うっそ〜!」なんて声があがりそうな選択。よりによってリング管弦楽集の選択がセル、しかもアメリカのオケなんて!と。
 でも、僕はこのCDが大好き。楽劇としてではなくて、純粋にオケの作品として聴いたときに、この演奏には本当に隙がない。例えば、ショルティ/ウィーンPOなど、他の演奏を聴いたときにどうしても感じてしまう本体とのギャップ、あるいは歌が入らないことによる欲求不満が、不思議とこのディスクからは感じない。たぶん、オケのメンバーが楽劇をあまり知らずに純粋に交響的な管弦楽曲として演奏したからなのではないだろうか。中でも、「森のささやき」が精緻な叙情性が感じられて素敵だ。
 実は、クリーブランドOはアメリカのオケの中で唯一の好きなオケ。結構お薦めです。

■その他の管弦楽集

○クナッパーツブッシュ/ウィーンPO(London KICC9231)クナッパーツブッシュ/ミュンヘンPO(ウエストミンスターMVC18001)

 先のセル/クリーブランドの選択はワグネリアンの罵声を浴びたかもしれないが、このディスクについては、ここで何か述べるまでもないだろう。ワーグナーの名演=クナの演奏。ワグネリアンでない方もこの方程式を覚えておけば間違いない。特にここで紹介したディスクは両者とも非常に状態のよいステレオなので初心者の方にも安心だ。中でも、ワーグナーとクナのすごさを知るには、《神々の黄昏》の2曲と《ワルキューレ》の「ヴォータンの別れと魔の炎」を聴けばよい。

■アリア(?)集

テオ・アダム、スイトナー/ベルリン州立O(ドイツシャルプラッテン32TC-131)

に書いたように、アダムは僕にとって唯一のヴォータンなのだ。(どんなにホッターがいいと言われても!)ベーム盤を聴く余裕がないときには、このディスクで楽しむ。中では、カラヤンとの名盤もあるマイスタージンガーの中から《リラの独白》が心にしみいる。