オールタイムベスト10・2003年ベスト10児童書

「『児童書オールタイムベスト10」と『2003年に出た児童書のベスト10』を選んで教えてください」というアンケートに協力しました。
…そうしたら、結構、面白かったですよ。
こういう機会がないと、なかなかオールタイムベストなんて出さないですから、とても楽しかったです。
それにしても…我ながら選書が固いなあ!!そして記憶力のすごいこと…(苦笑)どうでもいいことはよく覚えています。

私は「好きと思ったらとことんまで読み倒す」タイプでしたので、ここであがっている本は幼少時、少なくとも半年くらいは毎日毎日毎日毎日…同じ本ばっかり読んでます。典型的な「ばっかり読み」なので「いつ、どこで」という記憶も鮮明です。
絵本では大人になってこの仕事(図書館司書)についてから『素晴らしい』と思ったものが入っています。
(なにせ絵本を読んでいた時期が短かった子どもなので。とにかく物語と図鑑が好きだった)


オールタイムベスト・絵本編(順不同)

小学生の時、産休補助で来ていた先生に「この本の読み方」を教えてもらって以来(ということは4年生の時です)20年以上ずーっと読み続けている絵本。特に『U』が一番のお気に入り。小学生に「この本の読み方」を教えると8割以上の確率で受けるので、学校向けのブックトークの時には必ずこれを紹介するようにしています。
この本の読み方、ですがご存知の方も多いでしょうが簡単に説明を。
まず絵本の見開きページには必ず「青い帽子と青い服の旅人が馬と一緒に」描かれています。まずその人を探す。
その次は絵本の見開きには必ず『何か』がかくれています。
『U』を例にとれば「木陰で読書をする少女が2人。そのそばに時計を持ったウサギがいて横には穴が開いている」絵がちょろっと描いてある。…アリス、ですよね、これ。他にもシンデレラやピノキオが隠れています。
あと『U』はイエス・キリストの一生が最初のページから最後にかけて描かれています。
それを探してはノート(スヌーピーのノート。柄まで覚えてる)にミチミチと書き付ける、子どもでした(笑)
旅の絵本が3,4と巻数を重ねると買い求め、また『探し物』に必死になってました。ですがこれを人様に話すこともせず十数年が経ち、司書の仕事をするようになり絵本の関係の人(読み聞かせボランティアとか文庫主催者とか絵本の講師とかそういう人たち)に会う機会が増え…世間話のついでに「私、小学生の頃…」と話したところ、ものすごく、受けがよかった!
『旅の絵本』をきっかけにして人脈が広がり、ボランティアさんたちとの垣根が低くなった気がしました。
そして子どもにも好かれ、人生が明るくなりました。これもこの本のおかげです(笑)あとは肩こりが治って宝くじが当たってくれて温泉でも掘りあてたらいいなあ(…せっかくの善い話なのに、腹黒い性格が最後に…笑)

大学生の時、本屋でバイトしている時先輩に教えてもらった本。
「絵本ってすごいなあ」と絵本の表現力をまざまざと感じ、絵本関係の仕事をやりたいなあ、と思ったきっかけの絵本。
それまで絵本は「ふわふわした色合いのパステル画みたいな甘い、かわいい」タイプのものばかりが目に付いていて
「子どもは『ぐりとぐら』読んでればいいじゃないの」なんてスタンスでいたもんですから、この絵本はかなり衝撃でした。
長新太の作品の中ではそんなに評価されている方ではないとは思いますが、この絵本は私にとっては『カルチャーショック』『パラダイムシフト』(おぉ!そこまで言うか・笑)の作品です。
追記(2005.2.28)
読み聞かせでこれを使いました。
こどもが笑うんですが…声を押し殺した笑い、下を向いて「ぐふっ」って笑うの(笑)こどもの忍び笑い、というのをはじめてみました。

ブルーナの絵本の中ではこれが一番のお気に入りでした。(うさこちゃんのシリーズも持ってましたが)
絵本の中に「なしをたべました。なしはからだにいいのです」というくだりがありまして、そこで描かれている梨が『洋梨』。それまで梨はいわゆる『二十世紀』とかしか知らなかった当時幼児の私にとって、ものすごいカルチャーショックでした。
もう1つ『ゆで卵たて』もこれで知りました。西洋文化を知った最初の本です。

本を買うことについては一切の制限がなかった家に生まれ育ったのですが、この本を買ってもらうときに
「なんでこの地味な本を…」と言われたことを覚えています。(祖母、でした)
カテゴリとしては読み物に入るかも知れません。なにしろ絵が「子どもっぽくない」あたりがとっても素敵、と思ったことを覚えています。買ってもらった場所もおぼえてます。自由が丘の不二家書房。自由が丘の老舗ケーキ屋『モンブラン』の包装紙に似ている、とおもったんだった…結構覚えているなあ。
この本1970年代後半の家庭文庫ブームのおり、家の近所にも家庭文庫開く人がいましてね、そこで声かけがあったんですよ。
「自分のうちにある本を持ってきてください」と。
当時から本好きだった私は喜び勇んでこの『ありこのおつかい』を持っていったら…寄贈本と思われてね。
「じゃあ、ここにある本はみんなの本だから、持って帰らないでね」
と言われ、泣きながら帰ったことがありました。
人様のうちに持っていく本は「自分の好きな本でないとならない」という7歳なりの信念(これは覚えている一年生の時だった)にもとづいた行動だったのでしょうが…。
一年生に説明をしないで寄贈本としてしまう文庫主催者も、親に相談もしないでただ本がいっぱいあるというだけで飛び出していく小学生(わたしだ)も、それを一切止めもしない親も…いろんな意味ですごいなあ、と今になっては思います。
またこの一件をきれいに忘れていて、図書館司書になっておはなしかいで『ありこのおつかい』を読んだ時に、パァァァっとこの時のことを思い出しました。

代表としてこの本を上げましたが、この大きさの本…ブルーナのうさこちゃんとか、かこさとしの『かず』とか『とけいのほん』とかまついのりこのこびとがでてくる算数の本とか、今フェリシモで復刊されている『ピクシー絵本』とかの『15センチ四方』の本がぴったり入る大きさの手提げかばんを持ってまして、それに入れてお出かけしてました。4、5歳にしてお出かけの時にはハンカチと本(笑)かばんの柄はブルーナのイラストでした
自由が丘のファミリアという子供服のお店で買ってもらいました。

おそらく絵本からよみものへ旅立つ時期の最後を飾った絵本です。
確か小学館のいろんな話を一冊にまとめた絵本(白地に金と赤の飾り罫がついた真ん中に表紙絵がはってある絵本)に収録されていたと思います。その後この話だけ収録されている絵本を見つけ、買ってもらいました。
幼年絵本で幼年時に買った最後の本だと思います。

ここからは司書になってからの、オールタイムベストです。
『人に読んでもらって』感動した本です。
自分で読んだ時はさほどの感慨が沸かなかったのですが、ほかの人がプログラムに使っているのを聞いて、ちょっと感動してしまった。そして素話で聞いたら、マジ泣きしそうになってしまいました。
素話のほうがいいんだ!これ!こすずめが弱っていく様子が見えてくるんだ!
『行きつ戻りつ物語』の基本のすべてをそなえた話だと、思います。奇想天外を狙いすぎたり、ナンセンスをはきちがえたり、お涙頂戴の話が多いので、この王道さがたまりません。

『みはからい選書中に読んで、うっかり泣いてしまった』本です。
お年寄りと子ども、という一番ツボにはまる組み合わせ。お涙頂戴なんだけどね、弱いんだよね。

『読み聞かせで使用した時子どもが全員集中していた』ことに驚いた本です。
こちらを向いている子ども20人くらいがみんな「クラウチングスタイル」になっていると、ものすごく驚きます。
途中入室してきたおかあさんがいたんですが、普通はその物音の方を振り返ったり一気に集中が途切れたりするんですが、まったくそんなことも気にせずこちらを向いたまま。(読み手の気持ちはちょっと逸れたのに)
これほどの集中を見せた本は…『まよなかのだいどころ』(センダック)で体験しましたが、このときは読み手ではなかったので。

『読み聞かせで使用した時子どもが全員笑い転げた』ことに驚いた本です。
途中まではそんなでもなかったのよ。普通に楽しんでいたの。だけどある時一線を越えてしまったらしくって…「くそうてかなわんわ」のところじゃないんですよ、未だどこがはじけたポイントなのかはわからないんです。
ですが一人の子が突然「ギャハハ!!」と笑い出しヒーヒー言いながら床に転がり、床をたたいて笑い転げ、そしてほかの子どもたちへもその笑いは伝染しそのあとはどこを読んでもその状態。
「ちょっと、あなたたち大丈夫…」とたずねたくなるほどでした。
それ以来毎年お盆の時期にこの絵本を読んでいるのですが…あの時ほどのはじけっぷりはまだ体験が無いです。
場の雰囲気、の大切さ重要さがよくわかりました。


オールタイムベスト・読み物編(順不同)

とにかく『図鑑ちゃん』でした。
物語や絵本にはあまり興味を示さず…と自分は思っていたのですが、まったくといっていいほどおもちゃに関心を示すことが無い子どもだったんです。なにせ親が女の子としてはあまりにも「おにんぎょう」に興味を示さないので、心配して買い与えたくらいに。
私に言わせれば、母も祖母も叔父も従姉もみーんな活字中毒者。一緒にお出かけすればデパートの後は本屋。商店街に買い物に行けば、最後には本屋。とにかくお出かけコースの最後は本屋、と決まっていたよう家庭に生まれ、自分たちが本買うことにためらいが無いから子どもにも遺伝するのでありました。
「図鑑ばっかり見てて物語はあんまり読まなかったんだよね」と人には言ってきましたが、それは単なる『マイ基準』であってそのマイ基準は「本の中では」ということなので、世間の目で見たら「やたら本が好きな子どもで、そのなかでもとりわけ図鑑が好き」なのでありました…。
好きだったのは「さかな・水の生き物」「昆虫」「どうぶつ」「しょくぶつ」の順番です。

前出の「小学館の絵本」に「モモちゃんのおてがみ」が載ってまして、その話の他にもモモちゃんの話が載っている本があるということを知りまして、それを探しに行きました。
「はじめて自分で探した本」です。
読みたいきっかけがあって、それを探したいと思って、探し当てた喜び、すべてがはじめてでした。

おばあさんが出てくる話が大好きでした。外国の物語のおばあさんはみんなかっこよく見えて、特にこの2冊のおばあさんたちが素敵だなあ、と思ってました。
おばあさんが作るシチューがおいしそうでねえ。マカロニとかがハイカラでさあ…。おばあさんは煮物とかおじやとか作るもんだと思っていたから、余計に素敵に見えました。

この2冊が何故同列に扱われているか?
初めて自分で買った文庫本が『だれも知らない小さな国』で、このとき一緒に買った文庫本は星新一の「気まぐれロボット」でした。3年生の時です。こんなに安くて話がいっぱい入っている!と感激しました。
そして初めて絵本専門店(自由が丘にあった『アリスの部屋』というお店です。開店直後に行きました)というところに行った時に買った本が創刊したての『講談社青い鳥文庫』の『クレヨン王国の十二ヶ月』だったのです。
内容云々よりも、文庫本を買ったという行為が嬉しかったですね。

出版社とかは覚えていないのだけど、小学校の図書室にあった『世界の七不思議』のような本をよく借りていた。
ナスカの地上絵とかサルガッソーとかバミューダトライアングルとかピラミッドとかUFOとかポンベイとかネッシーとかムー大陸とかアトランティス大陸とか幻の湖とか…そういうの。
『ケロロ軍曹』の冬樹くんがよく読んでいるような感じの本ですね。

『ガンバの冒険』が大好きで、原作がこれだと聞いて、買ってもらい、読んだら…原作とはまったく別物でびっくりした!という初めての経験をした本です(笑)とにかくものすごくびっくりしたことを覚えています。内容の素晴らしさが吹っ飛ぶくらいに。
冷静になって読めるようになるには数年かかりました(中学生になって再読した記憶があります。中学入学とともにアニメ誌デビューなので)
このあと、何度も何度も…幾度も幾度も…同じ思いをしていくことは予想していなかったなあ…(笑)

3年生の夏休みに「夏休みに読むといいよ」とプレゼントしてもらい(誰だったろう…従姉妹かなあ)夏中読んでいた。
かかとを3回たたく、という行為を癖としていたのですが、中学生になり英語のテキストで『オズの魔法使い』を使用して…それ以来苦痛を伴う本となりました。天国から地獄へ(笑)ハヤカワ文庫版に手を出せばいいんだろうと思いますが…さてさて。

4年生の夏休みに従姉の家に遊びに行き、そこにあった本。ほかに読むものもなく滞在中ずーっと読んでいました。面白い本でよかった、と思ったことを鮮明に覚えています。
このとき一緒に読んでいたのが星新一の『きまぐれロボット』でして家に帰ってから即買いに行きました。それが上記の「初文庫本」です。

5年生の時。友達同士自転車で10分のところにある公共図書館に行くようになって、初めて「こんな素敵な本は自分の手元に置いておかなくちゃいけない」とおこづかいで買った本。
それまでも学校図書室や図書館は利用していたし、たくさん借りていたのですが、こういう気持ちになって本を買ったはじめてのものです。
この3年後(中学生になって)梶尾真治にはまるのですから、一生このままの趣味なんでしょう。

3年生くらいのときに『不思議の国のアリス』を読んで挫折し(岩波か福音館の訳で読んだ記憶はあるのできっと文体がまだ早かったのだろう)誰かの文章に「『アリス』は12歳の時に読むといい」と書いてあり、まんまとそれにはまった形。何かに取り付かれたように好きだった6年生の頃。最後の「白騎士の詩」は暗誦できるほどでした。
ですので「ラーゼフォン」の劇場版の冒頭には卒倒しましたですよ!!
真綾ちゃんの声で!アリスを読むなんて!!劇場版の「大団円」(笑)で久川綾が!アリスを読むなんて!!
…萌え死ぬのではないかと思いましたです、はい。

あーあ、それにしても「世界の七不思議」に「オズの魔法使い」に「アリス」に「トムは真夜中の庭で」かあ…。
この2年間の私の「ラーゼフォン」への思いのたけ(もうあれへの愛情は自分でも常軌を逸している、思うときあるもの)を考えると、

三つ子の魂百まで

とはよく言ったものだよねえ…。


2003年児童書ベスト10(順不同)