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| 1999年10月中旬 「装置つけるときは時間かかりますので、朝から来てくださいね」 ということだったので、診療開始とともに待合室に入る。 数回に分けて入れることはせずに、一気にすべての装置をはめてしまうお約束だ。私としても一気に入ってしまったほうが景気がいい。やるときゃ一度にやってくれ、と思っていたので良かった。 診療台に座る。セパレーションがはずされる。そして、口を閉じないためにカポッとアーチ状の支えを入れられる。 「今日は全部の歯に装置が入ります」 前回の型取りから作られたリンガルアーチ(というそうだ)を見せていただく。上下の奥歯にバンドでこのワイヤーを固定するんだそうだ。 口を開けたまんまじゃ返事も出来ない。こくこくとうなづく。 口の中にこれでもかー、というほどにくるっとまいたガーゼ(名前あるんですってね)がこれでもかー、と入ってくる。唾液腺を押さえます、とのこと。 「歯にボンドがつきやすいように処理をします」 おぉ、そうか。結構謎だったのだ。歯に直接装置くっつけて大丈夫なのかなー、って。そうだよなあ、表面処理しないでボンドつけたりはしないよなあ! 「では、この間に歯ブラシ決めましょう。何色にしましょうか?」 って、しゃべれないって(笑)と心の中でつっこみをいれてみる。 歯ブラシは3本。矯正用。 ついでにワイヤーの隙間の歯磨きのやり方を説明。模型を使ってのご説明。 でも口は開いたまんま(笑) このときの自分をビデオかなんかに撮っておけば良かった…と思うくらい間抜けでいい光景だったと思う。(うちの相方は「装着中の姿を写真とってこい」と言っていた。余裕があればそうしたいとこだが…許可なんてでないだろうなあ) 「それでは、ボンドつけて装置つけていきます」 これで、みなさまおなじみの矯正スタイルとなるわけですねー、なるほどー。 黙々と作業を続ける先生と衛生士さん。 そして暇な私。眠いたくなってくる。しかし状況がそれを許してくれない。 ようやく口カバーがはずされる。1時間10分くらいかかったろうか。 「小さい虫歯がいくつかありますのでそれの治療をします」 とうながされ、治療装置が揃った台の方へ。 抜歯も小さい治療もここで行えるようだ。(保険外なんだろうが、楽) 「隙間ができたら虫歯だらけ」だったらしくって、少し恥ずかしい。 治療終了後、鏡を渡される。おお!ついてるついてるブラケット。セラミックなので思ったよりも目立たない。 そしてまた口をかっぽりあけてワイヤーとリンガルアーチを入れる。 …1時間後終了。治療台を移ったりなんだかんやで2時間30分以上かかっている。 「大体終わりました」 の声と共に鏡を渡される。受け取ろうとして返事をするも、上手くしゃべれない。 だらっと、唾液があふれてしまうのだ。 「ちょっとヘビートークかな」 と院長先生の登場。まるで総料理長さながらに治療フロアを巡回されてたりするのだが、装置が入ったというとこでいらしたようだ。 「しゃべりづらいですが、はじめのうちは舌がひっかかってしまいます。たくさんしゃべって、慣れてください…この人は治しがいがあるよー」 「ふぁい?!」 と、私。画面に移るカルテには (各診療台に端末ディスプレイがあって、カルテが確認できる。と言ったところで内容がわかるわけではないのだが) 難易度・9…と出ている。なんだろう、これは…。 「大丈夫、心配しなくてもちゃんと治りますから」 笑う先生。 こういうとなんだが、なんか、医者というより職人のような先生だ。前からそう感じてはいたが、私の中ではもう確定した。 職人肌の歯医者…格好いいじゃないか。『職人』『伝統芸』いい響きだ。 その親方の技をみて学ぼうとする若い職人たち…これも良い。 と、いうことで職人の手にかかった歯はどうなっていくのだろうか。 「次回から舌のトレーニングも入ります。あとものすごく虫歯になりやすい歯なので神経質過ぎるくらいに歯磨きしてください」 …職人の技を維持するためには管理者〔私)のメンテナンスが必要ってこと。 『なんでも鑑定団』でも言っている。 「保存状態が悪いと高値は望めません」と。 |