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監修 社会保険労務士 淺井事務所


 総務の豆知識
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アウトソーシング

 就業規則の部
1:就業規則の作成
2:就業規則の変更
3:就業規則の活用
4:
36協定
5:就業規則の判例
6:
パートタイマー規定
7:各種別規定
8:就業規則の罰則
9:就業規則チェック

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就業規則の部

就業規則についての基本的な知識をまとめてあります。

 (1)就業規則の作成



  就業規則は必ず作成しなくてはいけないんですか?

 いいえ。一定規模以上の事業場において義務となります。
 法律上は、
常時10人以上の労働者を使用する事業場で作成、労働基準監督署への届出の義務が生じます。 ここで事業場というのは、支店や支社ごとに判断しますので、同じ会社でも場所が違えば別の事業場ということになります。

  淺井事務所では、10人以下の事業場においても就業規則の作成をして、労働基準監督署へ届け出る事をお勧めしております。就業規則があることで、様々なメリットが生じます。

  10人にはパートさんも含めるのでしょうか?

 はい、含めます。
 例えば、本来はパートさんが7人の正社員3人で回している店舗ですが、ちょうどパートさんが一人辞めたばかりなので、今は9人になっている。しかし補充予定はある、というケース。 このような、常態として10人以上というケースでは、事業主は必ず就業規則を作成しなければなりません。

  作成手続きはどうなっていますか?

 就業規則を作成するにあたっては、労働者の意見を聞かなくてはなりません。もっとも労働者全員の意見を聞けるはずもありませんので、法律では次のように決められています。
 ・当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合
 ・そのような組合がない場合には労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)
 このように労働者を代表するものからの意見を聞いてください。そして、就業規則を労働基準監督署へ届け出る際には、この意見書を添付することになっています。


  就業規則に反対する意見であっても添付できますが、淺井事務所では出来るだけ労働者からの同意を得られるような就業規則の作成をお勧めしております。従業員満足が高い会社ほどその業績も高いからです。

  労働者の過半数代表者は、事業主が勝手に決めてもいいのですか?

 いいえ。事業主が勝手に決めてしまうと労働者の意見が不当に解釈される恐れがあるため、法律において選出方法についての決まりがあります。
 この過半数代表者は、就業規則を作成する際に使用者から意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等によって選出された者でなければならず、原則として
管理監督者以外の者であることが必要とされています。


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 (2)就業規則の変更


  就業規則を変更する際の注意点はありますか?

 
就業規則を変更する際に最も大きな問題になるのが、不利益変更の問題です。
労働者にとって、その労働条件などが不利になってしまうような就業規則の変更は、なかなか認められないのです。

 例えば「定期昇給を廃止する」などの変更は明らかに労働者にとって不利益変更です。しかし会社にとっては必要な施策かもしれません。そこで、
合理性があるならば不利益変更であっても認めるということになっています。

 合理性があるかどうかは、就業規則の変更の必要性や内容とそれによって従業員が被る不利益の程度を比較して判断されます。そして、合理性は、賃金・賞与・退職金等従業員にとって重要な労働条件に関して実質的な不利益を及ぼす場合には、より高度の必要性に基づいた合理性でなければならないと考えられています。

 ですから、就業規則を変更する際には、その変更がなぜ必要なのか?という部分をしっかりと説明できる事が重要です。従業員を集めての説明会を開催するなどのプロセスをしっかりと踏みましょう。

  合理性の基準って何かありますか

 おおまかに分けると、以下の7点がポイントになります。

 (1)就業規則の不利益変更によって従業員の被る不利益の程度
 (2)会社側の変更の必要性の内容・程度
 (3)変更後の就業規則の内容自体の相当性
 (4)代償措置その他の関連する他の労働条件の改善状況
 (5)多数労働組合又は多数従業員との交渉のプロセス
 (6)他の労働組合又は他の従業員の対応
 (7)不利益変更内容に関する同業他社の状況

 この内容を総合的に判断して、就業規則の変更が有効なのかが判断されます。

  不利益変更に納得しない従業員が何人かいるのですが?

 上記の7つのポイントを判断して合理的だとみなされる場合には、変更に納得していない(反対している)従業員であってもその就業規則に拘束されることになります。ですから、就業規則の決まりを守らない場合には合法的な処罰の対象とすることも可能です。
 
 最高裁判所ではこのようなケースについて次のような見解を示しています。
 【 就業規則の変更が不利益なものであるにしても、右変更が合理的なものであれば、これに合意しないことを理由として、その適用を拒む事は認められない 】

 淺井事務所では極力従業員の同意をもらえるような就業規則の変更を心がけています。会社と従業員との誠実なやり取りがあれば、それは可能です。どちらも一方的に自分の主張だけを押し付ける前近代的な労使紛争は避けるべきでしょう。 



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 (3)就業規則の活用



  残業代をなんとかしたいのですが・・・?

 残業代の支払いが会社の財務を圧迫するというのは昔から問題になってきました。サービス残業などという安易な方法でその問題に対処すると大変な事になるのもご存知の通りです。 ビックカメラがサービス残業による未払い賃金数十億円を支払ったというのは有名ですし、数年前には武富士や富士通なども同じくニュースになりました。
 
 ニュースにはなりませんがサービス残業を行っている小さな会社というのはかなりの数だと言われています。実際私もいくつかのご相談を受けています。そこで就業規則を活用することで、
残業代を組み込んだ賃金を作ってみてはいかがでしょうか。
少し細かい話になりますが、かいつまんでご説明します。
 === サービス残業の現状 ===
 ・就業時間 9時〜19時(10時間)
 ・休憩時間 12時〜13時
 ・休日 日曜日、隔週土曜日(年間78日)

 この場合残業代を考えると、一日9時間働かせていますので、毎日1時間分の残業代が発生します。また、隔週で出勤する土曜日9時間の残業代も必要です。
 このような場合は、そもそも週40時間という法律の基準をオーバーしていますので、変形労働時間制を用いて適法な制度にする必要があります。

 === 1年単位の変形労働時間制 ===
 ・就業時間 9時〜17時15分(8時間15分)
 ・休憩時間 12時〜13時
 ・休日 日曜日、隔週土曜日(年間78日)
 ・週平均所定労働時間 39時間54分

 こうすることで平均すると、39時間54分となり適法となります。
 ですが実際には19時まで働いてもらうわけですから、1時間45分は毎日残業代を支払う計算になります。暦を調べて見ると、隔週土曜日の出勤の場合最大の出勤日数がある月で25日になります。
 ・25日X1時間45分=43時間45分
 これが最大の残業時間です。 この残業代を現在支払っている賃金に組み込んであるものとするわけです。
 もちろん、労働者の同意を取る必要も生じますし、36協定も必要ですが、このような方法が取りうるのも就業規則あってこそだというのがお分かりいただけると思います。

 ちなみに、就業規則には以下の内容を記さなくてはなりません。
 ・基本給には割増賃金の一部が含まれていること
 ・実際の残業が賃金に含まれている部分を超える場合には、その差額を支払う
 ・実際の残業は36協定の範囲内において行う
 詳しくはご相談下さい。



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 (4)36協定




36協定とは労使協定のひとつで、サブロク協定と読みます。労働基準法第36条にあることからこのような名称で呼ばれています。

 労働基準法の基本的なルールとして以下のふたつがあります。

 ・
休憩時間を除き一週間について週40時間を超えて、労働させてはならない
 ・
一週間の各日については、休憩時間を除き一日について8時間を超えて、労働させてはならない

 しかし実際には、このルールの通りにはいかないのが現状です。そこでルールを超えて働かせる事の出来る例外的な措置が作られています。そのうちの一つが36協定なのです。
 36協定を届出ることにより法定労働時間及び変形労働時間制による労働時間を延長することが可能になり、法定休日に労働をさせることも可能になります。

 ただし、36協定が無制限に認められると労働者にとっては辛いことになりかねないので、次のような事を36協定では決めなくてはなりません。
 ・時間外または休日労働を必要とする具体的事由
 ・業務の種類
 ・労働者の数
 ・1日及び1日を超える一定期間について延長することのできる時間または労働させることができる休日
 ・協定の有効期間 
 (注意) 36協定のみでは効果が生じません。就業規則に次のような規定を組み込んでいなくてはなりません。
 ・
時間外・休日労働を命ずることがある

  有効期間ですが、36協定が労働協約に該当する場合は、労働組合法の定めによって、期間の定めのない協約を除き、3年までの期間を定めることができるとされています。 ちなみに36協定の届出書を見ると、一年間についての延長時間を必ず定めなければならないこととされています。ですから、一年で更新することが一般的と思われます。

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 (5)就業規則に関する判例


タケダシステム事件 (最高裁昭和58年11月25日)

 (事案の概要)
 多数労働組合の組合員である女子従業員らが就業規則の不利益変更について訴えたもの。

 就業規則における元の規定は 『女子従業員は毎月生理休暇を必要日数だけとることができる。そのうち年間24日を有給とする。』 であったのですが、 変更後の規定は 『女子従業員は毎月生理休暇を必要日数だけとることができる。そのうち月2日を限度とし、1日につき基本給1日分の68%を補償する。』 となっていました。
 そこで女子従業員らは、 「 旧規定の下においては、年間24日以内の生理休暇を取得しても、基本給を減額されなかったが、新規定の下においては、1ヶ月につき2日以内の生理休暇についても基本給を32%減額され、2日を超える分の生理休暇については基本給を100%減額されることとなった。」と主張しました。
 原審では、労働者又は所属する労働組合の同意なしに実質賃金を長期的に低下させるような不利益変更を一方的に行うことは許されないから、本件就業規則の変更は女子従業員らに対し効力を生じないとしました。つまり従業員サイドが勝ったのです。
 しかし、最高裁の判断は違うものになりました。
 
 (最高裁判決の抜粋)
 新たな就業規則の作成又は変更によって、労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないが、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されないと解すべきことは、当裁判所の判例とするところであって(最高裁昭和43年12月25日大法廷判決〈秋北バス事件〉)、今これを変更する必要を見ない。したがって、
本件就業規則の変更が女子従業員らにとって不利益なものであるにしても、右変更が合理的なものであれば、女子従業員らにおいて、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されないというべきである。

 そして、右変更が合理的なものであるか否かを判断するに当たっては、変更の内容及び必要性の両面からの考察が要求され、右変更により従業員の被る不利益の程度、右変更との関連の下に行われた賃金の改善状況のほか、会社側の主張のように、旧規定の下において有給生理休暇の取得について濫用があり、社内規律の保持及び従業員の公平な処遇のため右変更が必要であったか否かを検討し、更には労働組合との交渉の経過、他の従業員の対応、関連会社の取扱い、我が国社会における生理休暇制度の一般的状況等の諸事情を総合勘案する必要がある。

 しかるに、原審が長期的に実質賃金の低下を生ずるような就業規則の変更を一方的に行うことはそもそも許されないとの見解の下に、本件就業規則の変更が合理的なものであるか否かについて触れることなく、右変更は女子従業員らに対し効力を生じないと速断したのは、就業規則に関する法令の解釈適用を誤ったものといわざるを得ず、その違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決中会社側の敗訴部分は破棄を免れない。

  つまり、不利益変更には合理性があるかどうかをしっかり判断してから就業規則の有効性を見ましょうという事を最高裁があらためて述べたわけです。ちなみに上記文章は、判例文ではX・Yなどと表記されていますが、わかりやすくするために女子従業員・会社などと表記しなおしてあります。ご了承下さい。
 

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 (6)パートタイマー規定




パートタイマーを雇っていますが、パートタイマー用の就業規則が必要ですか?

 整備したほうが良いでしょう。
 ここで、パートタイマーという形態の労働者が法律上どのように扱われているかを説明します。

 パートタイマーとは短時間労働者のことをいい、パートタイム労働法には次のように規定されています。
 
 一週間の所定労働時間が同一の事業所に適用される通常の労働者(正社員)の一週間の所定労働時間に比べ短い労働者
 
 つまり、1日8時間労働で週5日のパートタイム契約を交わしたとしても、それは正社員と変わらないはずなので(週40時間ですからね・・・)、その労働者はパートタイマーとは認められません。

 また、パートタイマーだからといって年次有給休暇や残業代の支払いがないわけではありません。パートタイマーも法律でしっかりと保護されているのです。ですから、そのあたりの規定をしっかりと就業規則に盛り込む事で、パートタイマーの労働条件をきちんと整備しましょう。

 パートタイマー用の就業規則が未整備の事業場(あるいは、就業規則にパートタイマーについての条文が組み込まれていない場合)では、正社員用の就業規則がそのままパートタイマーにも準用されることになります。これはどういう事かと言うと、正社員用の就業規則に【昇給・賞与の規定】がある場合はパートタイム労働者にも【昇給・賞与の規定】適用されてしまうということです。 パートタイマーにとっては嬉しい事になりますが、経営者にとっては予想外のコスト増(あるいはそれが原因の労働争議)に発展する可能性さえあるのです。

 ですから、パートタイムの従業員を雇っている事業所では、パートタイムに関する条文を就業規則を追加したり、修正することが必要なのです。また、パートタイマーを主力として扱う事業場では、正社員用の就業規則とは別にパートタイマー用の就業規則を作成することも考慮すべきでしょう。




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 (7)各種別規定


  会社の規定を整備することになったのですが、どのような規定がありますか?

 業種によって必要な規定が異なります。
就業規則に盛り込むには分量が多くなりすぎるので、別規定として作成する主なものは以下。

 ・賃金規定

 ・職務権限規程
 ・退職金規程
 ・アルバイト・パートタイム就業規則
 ・機密保持規程
 ・出向・転籍規定
 ・出張・旅費規程
 ・育児介護休業規程
 ・個人情報取扱規程


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 (8)就業規則に関する罰則


労働基準法には罰則があります。ここでは主に就業規則に関係するものを紹介します。

以下の罪は
 6か月以下の懲役 又は 30万円以下の罰金 となります。

・男女同一賃金違反
・公民権行使を妨げた
・解雇制限を犯した
・解雇予告を怠った
・労働時間の原則を破った
・休憩を与えなかった
・休日を与えなかった
・割増賃金不払い
・年次有給休暇を与えなかった
・年少者に深夜業を行わせた
・年少者に危険な業務をさせた
・妊産婦を就業禁止業務に就かせた
・産前産後の期間に労働させた
・妊産婦に違法な時間外、休日、深夜労働等をさせた
・育児時間を与えなかった
・労災補償を行わなかった
・監督機関に対する申告を理由とした不利益取扱
・33条2項の行政官庁の休日、休憩付与命令違反
・その他行政官庁の発した命令違反

 以下の罪は
 
30万円以下の罰金 となります。

・例外を除いて1年以上の労働契約を結んだ
・労働条件を明示しなかった
・帰郷する労働者に旅費を負担しなかった
・貯蓄金返還命令に従わなかった
・退職時の証明をしなかったり請求しないことを書いた
・請求があって7日以内に金品を返還しなかった
・賃金不払い
・非常時に請求のあった既往賃金を支払わなかった
・休業手当を支払わなかった
・出来高払制の保障(給)をしなかった
・1か月単位の変形労働時間制の労使協定を届出なかった
・1年単位の変形労働時間制の労使協定を届出なかった
・1週間単位の非定型的変形労働時間制の労使協定を届出なかった
・1週間単位の非定型的変形労働時間制で予め各日の労働時間を通知しなかった
・災害時等の時間外・休日労働を事後遅滞なく届出なかった
・事業場外労働に関する労使協定の届出をしなかった
・専門業務型裁量労働制に関する労使協定の届出をしなかった
・年少者の年齢証明書を備え付けていない
・未成年者の労働契約を代わって締結した
・未成年者の賃金を代わって受け取った
・解雇した年少者に帰郷旅費を払わなかった
・請求があったのに生理休暇を与えず就業させた
・10人以上の事業場で就業規則の作成、変更の届出を怠った
・就業規則の作成、変更に当たって労働者代表の意見を聞かなかった
・減給制裁の制限を犯した
・監督官が職務上の秘密を漏らした
・使用者が労基法、就業規則、各種労使協定及び寄宿舎規則の周知を怠った
・労働者名簿を調製、記入していない
・賃金台帳を調製、記入していない
・労働に関する重要な書類の3年保存を怠った
・監督官等の臨検を拒み、妨げ、忌避した、尋問に陳述せず又は虚偽の陳述をした、帳簿書類を提出せず又は虚偽記載した帳簿書類を提出した
・行政官庁又は監督官の報告命令に従わなかった罪、虚偽の報告をした罪、出頭命令に従わなかった



 (9)就業規則の簡単チェック7項目




   あなたの会社の就業規則を見て次の項目にOXを付けてください

 1:懲戒・解雇の規定には、具体的な事実が規定してある
 2:人事異動・退職時の業務引継ぎの規定がある
 3:各関係者(社員・退職者・取引先等)との守秘義務の規定がある
 4:マイカーの業務使用についての規定がある
 5:競業避止義務の規定がある
 6:服務規律の規定がある
 7:セクハラについての規定がある
 
 どうでしょうか?
 このような事を念頭において就業規則を見てみると、会社にとってリスクとなりうる事を予防するのが就業規則の役割なのだということが分かるのではないかと思います。
 


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