ひ が ん ば な

彼 岸 花

美しいヒガンバナ

 彼岸花は曼珠沙華(まんじゅしゃげ)と呼ばれ、全国には四百を超える呼び名があるといわれます。
 わが国に生えている彼岸花のほとんどは、株分けによる他は殖えないと言われています。このためか、人の住まない山奥ではほとんど見かけないのが普通であるようです。
 河川の土手に多く移植され、地表付近に集まる根による土砂流出防止・土壌保全、球根毒による雑草繁殖抑制の役割も果たしていました。

 多くの草木の花々が散る頃、いつのまにか伸びてくる長い茎。葉も無く、あっという間に深紅の花を咲かせます。とても美しいのですが、嫌われるのが常でした。彼岸の時期になり、この世へ戻った人の魂が宿っているものというのが人々のこころにあったのでしょう。

 最近では珍らしくなりましたが、お墓の近くにも多く見られました。
昔、亡くなった方は土葬されていましたので、御遺体を動物が掘り起こし、荒されることがありました。これを防ぐためと、地中に眠る御遺体を養分とする草花の成長を抑えていたのであろうと老師の話です。

 彼岸花の球根は猛毒を持っています。ところが、球根を砕き潰し、水さらしを十分におこなうことにより毒が抜け可食となり、そば、ひえ等と同様に飢餓の時期の救荒作物として人々は飢えをしのぎました。
ヒガンバナ(花の部分)

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