生活科・図画工作科「合同授業」 

 [参考] 合科・横断・総合の意味するもの
「合科的」…複数の教科の内容や方法を生かして、ある教科の学習目標を達成しようとす
        る方法
「横断的」…教科や特別活動の各内容間で関連するものを統合的に組み合わせた単元を
        設定し、複数教科の目標を同時に達成しようとする方法
「総合的」…既存の教科や特別活動等の枠にとらわれずに児童生徒の興味・関心に基づ
       く課題や国際理解、情報、環境等の学際的な課題で内容を構成する
    
<総合的な学習の時間の実施に向けた学校・学年経営の在り方 都立教育研究所 平成11年>
「合科的学習」…教科本来の目標を達成するために、二つ以上の教科の内容や方法を生
        かして、ある教科の学習目標を達成させる学習指導形態
「合科学習」 …合科的、教科統合的単元を設定して、二教科以上の目標を同時に達成
          する学習形態
「総合学習」 …教科の枠にとらわれず、児童の日常生活に根ざした第三の領域ともいえ
        る性格を持ち、学習者の学習意欲に支えられ、教科を統合したり、教科外を
        統合したりする総合的活動を行う学習形態
「総合活動」 …豊かな人間性を培うための教科以外の領域を統合した生活カリキュラム
        の中核に位置づけられるもの(表現活動、制作活動、探求活動、生産・労働
        活動、娯楽・遊びの活動、運動活動)
             
<学ぶ力を育てる総合活動;筑波大学付属小学校初等教育研究会;図書文化>

 他教科等との関連を図る学習形態としては、上記のような内容が考えられるが、下記の指導例は生活科の授業であり、指導案には合科的とか横断的とかの記述はない。しかし、図工専科教諭がT・Tとし指導案作成から授業に加わることにより、授業の展開は「横断的」「合科学習的」な内容で進み成果も上がった。そこであえてこの生活科と図工科の授業を「合同授業」という呼び方で紹介する。東京都内公立小学校の校内研究で出会った授業である。

  
                  1・2学年 生活科学習活動案
                                           
                                        指導者 1、2学年担任
                                              T・T図工専科
                                                      
1 単元名 「つくって あそぼう」
2 単元のねらい
 ・1年生と楽しくあそぶために、身近にある物を使って、自分たちがつくりたいものを計 
  画し、協力して準備や制作ができる。【2年】
 ・同学年、異学年(1・2年)の友だちとのかかわりの中で、教え合ったり助け合ったりし
  ながら楽しく 活動できる。【1・2年】
 ・つくったもので楽しくあそびながら、自分や友だちのよさを互いに認め合うことができ
  る【1・2年】
3 児童の実態 略
4 研究主題との関連 略
5 指導計画
時間 ねらい 学習内容・活動
評 価


○学習内容と学習の流れを知り、
 見通しをもつ。
○グループで話し合い、何を作る
 か決める。
○友だちと協力して、設計図を作
 成し、計画を立てる。
 
・2年生が1年生をリードして、楽しく遊べるも
 のをつくる学習であることを知る。
・学習の流れについて聞く。
・基地や乗り物など、何を作るのかグループ
 で話し合い、決める
・設計図(絵や言葉で)を作成する。
・材料、用具を考え準備する
○2年生が試作し、見通しをもつ。
 【2年】
・自分たちのグループが作ったもので遊び、友
 だちとかかわり合う。
・他のグループが作ったもので遊び、友だちの
 よさに気づく。
・遊んで楽しかったことや工夫して遊んだことな
 ど、感想や気づいたことを伝え合う。
●楽しく遊ぶために、何を作るのか進んで考えようとしている
●これまでの生活科の学習で体験したことを生かし、工夫して計画を立てたり、準
 備したりすることができる。

○1年生にわかりやすく伝える
 方法について話し合う。
  【2年】
・教える1年生を分担する。
・1年生にわかりやすく伝える方法を考える。
・1年に伝える練習をする。
●1年生に分かりやすく伝える方法を考えることができる。

○計画したことを1年生に伝え、     楽しく作る。【2年】
○2年生の話をよく聞いて、楽 
 しく作る。【1年】  
・自分たちで分担したことを確認し、1年生に伝
 えながら作る。
・2年生と一緒に設計図を見ながら作る。
・工夫したいことがあれば2年生に伝える。
●設計図をもとにしながら、材料の特徴を生かして作ろうとしている。
●切ったり接合したりなどの工作を工夫しながら進め、実際に遊んでも壊れないも
 のを作っている。
●1年生・2年生がそれぞれの立場で、自分のすることが分かり、協力して作ろう
 としている

○作ったもので楽しく遊ぶ。



○遊んだ感想を伝え合う。
・自分たちのグループが作ったもので遊び、友だち とかかわり合う。
・他のグループが作ったもので遊び、友だちのよさ に気づく。
・工夫して作ってあることや、遊んで楽しかったことなど気づいたことを伝え合う。
●友だちが作ったもののよさに気づきながら楽しく遊ぶことができる。
●上学年だということを意識して、1年生と接しながら仲良く遊ぶことができる。
 【2年】
6 準備
 <児童> ・自分の使いたい材料  ・のり  ・はさみ
 <教師> ・段ボール箱  ・段ボールカッター ・カラーガムテープ ・色画用紙 
        ・カラーセロファン  ・スズランテープ など
 
 《指導案 以下略》


◆児童の活動
 

グループ編成と計画
つくるもの 2年 1年 内          容
きのこのお家 筒の柱できのこの形をした部屋を作り、その部屋で折り紙などして遊ぶ。
ジグザグチェアー 段ボール箱にボールや新聞紙などを詰めて丈夫にし、その箱をジグザグ・デコボコに並べて長い椅子を作り、歩いたり腰掛けたりして遊ぶ。
段ボール箱を並てべプールを作り、その中に新聞紙やカラーセロファンなどを水に見立てて入れ、もぐったり泳いだりしてで遊ぶ。
きりん きりんのように高く段ボール箱を積み上げる。背中にのったり胴の下を潜ったりして遊ぶ
ユーフォータワー 段ボール箱を積み重ねて城門のようなタワーを作る。そのタワーをくぐり抜けてクイズに答える。
じょうよう車 段ボール箱3つを組み合わせて一人乗りの自動車を作り、その車に入って運転の気分を味わう。
ねこがたロボット 段ボール箱をつつなげて、部屋のあるねこ形をしたロボットを作り、その部屋に窓を開けたり、絵を描いたりして飾る。入口の戸を閉めると、窓からの明かりだけの暗い部屋になる。
ロボット 段ボール箱20個を使って、二本足で立つ3b位の大きなロボットを作り、色画用紙などで飾る。
めいろ 体育館の床に段ボール箱で迷路のトンネルを作り、もぐって遊ぶ。
10 かまくらとくてんさがし 体育館の舞台の壁を利用して、解体した段ボール箱をはりあわせ、数人が入れる部屋を作る。その部屋で宝探しをして遊ぶ。

◆生活科と図画工作科の合科的関連的指導についての考察

 この授業を通して生活科と図画工作科の合同授業の成果を検証してみた
(1) 生活科と図画工作の学習内容の対比
生活科 図画工作





(6)身の回りの自然を利用したり、身
 近にあるものを使ったりなどして遊
 びを工夫し、みんなで遊びを楽しむ
 ことができるようにする。
(1)材料をもとにして、楽しい造形活動をする
   ようにする
 イ 土、木、紙など扱いやすい材料を使い、
   それらを並べる、つなぐ、積むなど体全
   体を働かせて造形遊びをすること。
(2)絵や立体に表す。つくりたいものをつく
   る。
 イ 表したいことに合わせて、粘土、厚紙、
   クレヨン、パス、はさみ、のり、簡単な小
   刀類などの身近な材料や扱いやすい用
   具を手を働かせて使い、絵や立体に表し
   たり、つくりたいものをつくったりするこ
   と。

 遊びをつくり出す楽しさや夢中になって遊ぶ楽しさを味わえるようにすることを目指している。また、友だちと一緒に遊ぶために遊び方を工夫したり、約束やルールを作ったりして、友だちとよりよいかかわりが持てるようになることを目指している。  低学年では、身近な自然物や人工物を材料とし、それらの色や形などの特徴から思いつき、体全体を働かせながら、並べる、つなぐ、積むなどの楽しい造形活動をすること
(2) 生活科・図画工作「合同学習」の成果
きのこのお家 素材(筒の棒)を生かしている。柱を丈夫にたてる工夫がなされている
<創造的な技法>
ジグザグチェアー 人が乗っても壊れない確かな工作<創造的な技能>。色テープの色彩を効果的に使って飾る。椅子の並べ方も工夫しリズム的である<デザインの能力>
新聞紙やカラーセロファンなどの素材の質感を体全体で味わい楽しむ<つくり出す能力><関心・意欲・態度>
きりん 全身で表現活動をする<関心・意欲・態度>。段ボール箱に印刷された形や色を生かして並べている<デザインの能力>
ユーホータワー 箱がシンメトリーに積まれてあり安定感があるまたカラーセロファンや新聞紙でつくったのれんなどが細やかにていねいにつくられている<創造的な技能><デザインの能力>
じょうようしゃ 車のドアを持ち上げて乗るなど、車の構造が工夫されている。また、全部青色で統一した配色がなされている<デザインの能力>
ねこがたロボット 猫の目を丸くくりぬいてカラーセロファンが貼られている<創造的な技法>
段ボール箱の斜めの線を生かして猫の顔を作る
<デザインの能力>
ロボット シンメトリーのロボットが、青色画用紙や青テープなど統一され、箱の接合もしっかりとしている。ムダのない洗練された大きなロボットを作った<デザインの能力><創造的な技法>
めいろ 箱にもぐってはい歩きながら全身で作る<つくり出す能力>。箱を解体し、工夫して長いトンネルを作っている<デザインの能力><創造的な技法>
10 かまくらとくてんさがし 場所の特徴を生かし、人が4〜5人入れる丈夫な部屋を作った<創造的な技法>。外の飾りも一人一人が自分の思いでそれぞれ作っている<つくり出す能力>
 写真がないので説明不足の感があるが、以上のように活動の成果があった。
 この授業は生活科単独の授業であっても同じような活動ができたかも知れない。 しかし、図画工作との合同授業によって、子どもたちが実際に楽しく遊べるようなしっかりとした丈夫な工作物が作られたということと、その工作物の様々な飾りが工夫されていたということは確かな事実である。このような工作物を作り、遊ぶことで、生活科の「遊びを通して人とのかかわりを深める」ねらいは一層確かなものとして達成されるに違いない。より質の高い生活科の授業になったと私には見えた。
 図画工作としても単独の授業であれば2学年合同という授業設定も難しく、人とのかかわりを含めた生活科の学習内容のおかげで、上記一覧表の<>に記されたように、造形遊びでねらう「造形的な創造活動の基礎的な能力」の育成が十分達成できたといえるのではないだろうか。
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